第12話:連邦の勇者と賞品
俺が感じた気配の男女が、こちらに向かって歩いているのが見てとれた。
それと…
「いやー危なかったね、ステラちゃん」
(…危ないわけ無いだろ、ロックリザードは寝てたのに)
「煌様。いつも言ってますよね。私の背後に回るのは止めて頂けますか?」
(撃っちゃいますよ)
俺が後ろを見ると、背後から滲むように、人が現れた。
軽薄そうな笑みを浮かべた、金髪の男。
「おっと、ステラさんには見えてたのかな?」
大仰に驚いている。
「気配で分かります」
「ふうん、流石大聖女様だねぇ」
「誰だぁ、こいつは?」
迅が俺の手を引いて煌の間に入って来た。
「連邦国の光輪の勇者。煌様です」
「え?勇者って私たちの他にもいるんですか?」
紫が、俺の横で興味深そうに聞いてくる。
「はい、紫さんたちを含めて7名いらっしゃいます」
「そんなに…」
「ステラちゃん、この子たちが、ラフィール王国の勇者なの?へー」
と言って迅が掴んだ俺の反対の手を取って引き寄せる。
「なんだ、テメエ馴れ馴れしいだろ」
(いやお前も大概だろ)
「ヒヨコ勇者が僕と張り合うつもりかい?」
「何年勇者やってるのか知らねえが。目的も達せられないヘボ勇者なんだろうが」
なんだかガンつけ始めたよコイツら。
「お二人とも、お止めください」
(人の手を掴んで喧嘩すんじゃねえよ、小童が)
「ふっ。僕は大人だからね…」
煌がそう言って手を離してくれる。
「ステラを賭けて決闘を申し込む」
(はぁ?ど、どこが大人なんだよ!)
「へっ、良いだろうシスターちゃんは勝ったほうのものだ」
(ちょっと待て、なんだそれは!)
「ステラちゃんモテモテねー」
ソフィーテアさんが、面白そうに言う。
「ちょ、ちょっと待ってください、私は…了承しませんよそんなこと」
「凄いです、ステラさんを争って男性が決闘なんて」
「紫さん、頬を染めてそんなこと言わないでください!」
「相変わらず、モテてますねステラ」
「これはマリア王女。ご無沙汰しております」
俺はカーテシーで挨拶する。こちらに向かって歩いていた女性だ。
「ステラよしてよ、今期の首長の娘って言うだけなんだから」
連邦国は、複数国家の王が、選挙で首長を決める国だ、そのためマリア王女は、一歩引いた態度をとっていた。
(構成国とはいえ王女に違いないのに)
まあ、そういう奥ゆかしいところに俺は好感を持っているんだ。
ついでに言うと彼女も聖女で何回かお会いしたことがある。
「この度のラフィール王国の勇者召喚に関して。勇者召喚国の一つとして表敬訪問に参りました」
「勇者だけだけどね...」
マリアが申し訳なさそうに付け加える。
「そうでしたか、歓迎いたします」
「でも、それどころじゃないみたいよね」
「マリア様、お止めくださいよ」
俺は半泣きである。
「やあよ」
「な、なんでですか」
「だって、面白そうだもの」
(…そういう人だった)
「俺も参加させてくれ」
こちらに向かって歩いて来ていた男性は。瀑氷の勇者だ。先ほどロックリザードを凍らせたのはこの人によるものだろう。
「氷河流様まで、何を言われるのですか」
「大聖女ステラフィール様と、お付き合いできると聞けば参加しない人はいないだろ?」
「なーに言ってんだ?みたいな顔で言わないでください!」
真顔で返された。この人は本気かそうでないのかが良く解らない。
「大丈夫です。ステラ様は僕が守ります」
「惺さん…」
「わ、わ、私も参加します」
「…紫さん?」
「がはははは、おもしれえな!」
ジャンロックさんが豪快に笑い、ソフィーテアさんも声を殺して笑っている。
(もう、やだ!)
***
私は一人、岩に腰かけ、足をブラブラさせていた。
俺を仲間外れにして、みんなが盛り上がっているからだ。
ふっ、三十路前のオヤジが拗ねていると思うなよ、俺はステラフィール。容姿抜群な少女が拗ねてるのは絵になるはずだ。
誰も見てくれてはないけどね…
みんな盛り上がってるなー(棒)
「……ステラ、拗ねてるの?」
「拗ねてません!」
マリアが向こうの輪から離れてきた。
「大変なことになったわね…」
「マリア様が止めてくれないせいですよ…」
俺は恨めしそうに見る。
「フフフ」
マリアが楽しそうに笑う。
(この人、絶対楽しんでるだろ...)
「訓練。続いてらしたのでしょう?良い息抜きですよ………きっと」
最後の方で視線が上で揺れられては、信用に値しない言葉だ。
「なにやら、ロックリザードの討伐数で決める方向になったようよ」
「そうですか…」
(もうどうでもいい)
「勝って欲しい人はいないの」
「……いないですね」
「あらまあ、みなさん可哀想に」
「まあ、惺さんか、紫さんが良いですかね…」
「では、どちらかの支援にお付きなさい」
「?」
「ハンデですって。ラフィール側の勇者には、ステラとソフィーテアさん、ジャンロックさんがコンビを組んでいいそうです」
「貴方なら自力で、何とかできるんじゃなくて?」
(おお、なるほど!)
「やってみます!」
(見てろよ小童ども)
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