表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元勇者、転生聖女として俺を召喚し異世界救います。~惚れた大聖女に転生していました。中身は元勇者のおっさんですTS~  作者: 奏楽雅


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/37

第11話:実地訓練

勇者の実地訓練が始まる。


本日の課題はロックリザード。岩のように硬い外皮を持つ害獣だ。


害獣、魔物、魔獣、魔族へと課題をステップアップさせる予定だ。

(だけどさ…魔族って探して見つかるものではないし。人と目の色と肌の色が違うだけだから、見た目で躊躇する人もいるんだよね、ちょっとやっかいそう)


「ステラさん、ジャンロック様、ソフィーテア様。今日は宜しくお願いします」

惺と紫が品行方正な挨拶をする。


「勇者様に頼られるなんて今のうちだからな。何でも頼ってくれ。老後の自慢話になるよ。ぐわははは」

快活に笑うのは、剣技指導の近衛騎士ジャンロックさん。筋骨隆々のタフガイだ。


「そうね、勇者様の成長の早さには舌を巻くわ、私を置いてっちゃやーよ。ふふふ」

と楽しそうに笑うのは、魔術指導の宮廷魔導師ソフィーテアさん。眼鏡美人さんだ。


「けっ」

茶髪くんです。


そんな、みんなを見て私は笑顔を絶やさなかった。



「では、出発しましょうか」

私が旗振り役に任じられてしまったので、出発の掛け声を上げる。

ちなみに、遠征の時みたいにテクテク歩きではない、全員が馬上の人だ。

今日は、王都の南西にある渓谷を目指して馬を走らせる。


王国最大戦力と、勇者のパーティである。

こんなに心強いことはない、私は後ろで楽をさせてもらおう。



「なんとも、長閑ですね」

惺が呟いた。王都の周りには、農場と牧場が広がっていて、よく言うと長閑。普通に田舎だ。

「王都とは言え、人口が増加しないので、文明も発達しづらいのです」

私は声をおとして説明する。

「魔王ですか?」

「ええ、長い戦いで疲弊しています」

「ステラさんも戦いに行かれるのですか」

「それはもうちょくちょく…」

「危険じゃないんですか?」

私は惺の方を見る。「危険ですが私がいることで助かる命も、士気も上がりますので…」

(…とっても面倒くさいです)

「流石ですね、尊敬いたします」

「今後の勇者様のご活躍を考えれば大したことありませんよ」

「そんな、プレッシャー掛けないでくださいよ」

「ちっ」

「私、ステラさんが大聖女になられた、奇跡の聖女のお話を聞きました。街を魔族の手からお救いになったとか」

「う、噂には尾ひれが付くものですから…」

「私、本を読ませて頂きました。演劇にもなっているとか」


肖像権もパブリシティ権もない世界。

一銭も入ってこないのに、名前だけが勝手に広がっていく。


(もう少し、還元してくれてもいいんじゃないかと思う)


「お、お恥ずかしい限りです」

「何言ってるんですか、凄いじゃないですか」

「けっ」


「…迅様。何かご不満があればお聞きしますよ?」

(さっきから「けっ」「けっ」と煩いったらありゃしない)

「けっ。今のうちだ。今日俺の勇姿を見て惚れやがれ」

「……」

(いやいや、普通にそんな態度の人間に惚れんだろ。子供か?)


***


渓谷には害獣ロックリザードがいる。渓谷は主要な幹線で商人が良く利用する。

最近襲われたり、邪魔で通れなかったりする事案が頻発したため。間引きがてら勇者の実地訓練となった。


「いました」

惺の指さす方向に数匹のロックリザードが、…寝ていた。

最近寒くなったからなー

午前中は日向でお休みのようだ。


ジャンロックさんが、両手剣を片手に、ズカズカと進んでいく。


「ふん!」

気合一閃。

両手剣がロックリザードの見るからに硬い外皮を紙のように切り裂く。


見事、断面も綺麗に真っ二つ。


「おおお」

「凄い...」

惺と紫が感嘆の声を上げる。


(うん、凄い技術なんだけどね…)


「ジャン、あなたバカ?」


ソフィーテアさんの冷たい声が響く。


「剣で切っても勇者の訓練にならないでしょ」


「だ、だって、ソフィ。俺は魔法使えないし...」


「だったら、大人しく見てなさい」


そう、ロックリザードは名前の通り、岩の様に硬い外皮を持っている。

そのため普通は剣が通らない。魔法で倒すのが正しい倒し方だ。

なのでジャンロックさんが行ったのは、単なるスタンドプレーだった。


「あの、お二人仲は悪いんですか?」

紫が、尋ねてきた。

「いつもの夫婦漫才です」

「「夫婦?」」

「はい、お二人はご夫婦ですよ」

「「えー」」

「幼馴染だそうです。惺さん、紫さんと同じですね」

「そ、そうなんですね」

紫が惺を見つめていた…

惺は気づいていないようで、夫婦喧嘩を見ている。

(結局、紫とは結婚することもなく、俺は淋しいサラリーマンになったけどね…)

紫の横顔を見て、少し寂しさを覚える…


***


「こほん、では改めて。ロックリザードは魔法が良く効きます。ただ、風魔法には強いので紫さんは近づけないように支援に徹する感じにしてください」

ソフィーテアさんが、勇者の前に立って解説する。


「「はい」」


紫がその手に風を纏い始める。

惺と迅が炎の呪文を唱え始めた。


私は静かにそれを見守っていたが…人の気配を感じた。

(あ、この波長は…)


勇者が放つ先の、ロックリザードが突如氷に包まれた。


「え...?」


惺と迅の炎魔法が、氷の壁に阻まれて霧散する。


「何...?」


ソフィーテアさんが警戒の表情を浮かべる。


私は、気配のする方向を見た。


そこには―


お読みいただき有難う御座います。

少しでも面白いと思っていただけたら、どうか★をお願いいたします。

作者が折れないため是非ご協力ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ