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悪霊令嬢 あくりょうれいじょう ~とんでもないモノに憑りつかれている私は、そのまま異世界に転生してしまいました~  作者: にわとりぶらま


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第073話 コロン嬢とのお出かけ

「レイチェル、コロン様の時間割はちゃんと調べたわね?」


「ちゃんと調べたわよ、この授業の後は時間が開いているはずよ、貴方の方こそ、チケットは持ってきたの?」


「ちゃんと、持ってきたわよ…高いチケットだったんだから…」


 そういって、マルティナはチケットを取り出して見せる。


「高いって一体いくらしたのよ?」


「日本円にして一枚18万…」


「高か! 貴方、今月のお小遣いはあの本で使い切ったんじゃないの?」


「だから、来月分のお金を使い込んだのよ…」


 毎月、仕送られてくるのではなく、纏めて渡されて、自分で管理しながら使っているのか、マルティナにしてはちゃんとやりくりをしているのかな?


「分かったわ、マルティナは色々と良くしてくれるから、私の分とコロン様の半分は私が出すわ」


 日本円にして27万円か…結構キツイ…


「ありがとう~レイチェル~ 私の心の友よ~」


「ちょっと、その国民的アニメのガキ大将みたいなセリフを言わないでよ、そのセリフなら私があのノブ太君みたいじゃないの」


「あれ?レイチェル、ノブ太君嫌いなの?」


 これ、答えないとダメなのであろうか…


「それより、コロン様が来たわ、行くわよ」


「なんだか、今から拉致して誘拐するみたいね」


 マルティナはお小遣いをかなり使い込んだ為か、なんだかテンションがおかしい。私も一々構っていられないので、小走りでコロン嬢の所へ向かう。


「コロン様、おはようございます」


 私はコロン嬢に声を掛ける。


「あら、レイチェル様と、マルティナじゃないの?、おはようございます」


「おはようございます、コロン様」


 コロン嬢は多少、眉間に皺の跡があるが、私とマルティナには普通に受け答えしてくれる。


「コロン様、この後、授業はございますか?」


 私はコロン嬢にこの後、授業がないことを知った上で尋ねる。


「いいえ、先程の授業で今日の授業は終わりましたわ」


 コロン嬢は計画通りの言葉を返してくれる。私はマルティナに目配せすると、マルティナは頷いて答える。


「では、コロン様! これから私たちと遊びに行きましょうよ!」


 マルティナはコロン嬢が逃げ出さないように、手を掴む。


「えぇ?いきなり、なんですの?」


「コロン様、私、オペル座のチケットを手に入れたのですよ! 今、話題のものですよ!」


 マルティナがコロン嬢の手を引きながら、馬車の駐車場へと進んでいく。


「えっ? あの新しい男役が決まった、『ナンタンの薔薇』のことですの!?」


 コロン嬢の眉間の皺が一気に消えて、花が咲いたような明るい表情になる。


 マルティナの情報ではコロン嬢は、日本で言う所の所謂ヅカファンのようで、この様な劇場での公演に目がないそうだ。ちなみに、今日、公演される『ナンタンの薔薇』は、日本の『ベルばら』、所謂『ベルリンの薔薇』をこの帝国の首都の名称のナンタンに置き換えたものである。しかし、こんな所まで、日本の文化侵略が進んでいるとは…


「勿論ですよ、コロン様!」


 マルティナのその言葉を聞くと、手を引かれていたコロン嬢は逆にマルティナを引きずる様に前に出る。


「では、急ぎますわよ! 馬車は私の家のものを使いましょう!」


 二人でコロン嬢を引っ張っていく予定がいつの間にか、コロン嬢が先頭を進む形になっている。


「デビド! 馬車を回して頂戴! これからオペル座に行くわよ!」


 コロン嬢が、通学生徒の執事や使用人が控える部屋に声を飛ばす。


「分かりました、コロンお嬢様! すぐさま、馬車を…」


 いつぞやの黒い執事は、私の姿を見て語尾を詰まらせる。


「どうしたのよ?デビド」


 黒い執事の不可解な様子に、コロン嬢は首を傾げて尋ねる。


「いいえ…なんでもありません…すぐに馬車をご用意いたします」


「私のお友達のレイチェルとマルティナも同乗するからよろしくね」


 コロン嬢がそう告げると、黒い執事はビクリと肩を震わす。


「よろしくお願いしますね」


 私は黒い執事ににっこりと微笑んで言葉を掛ける。


「このコロンお嬢様の専属執事のデビドにお任せあれ…」


 デビドは出来る限り平静を装って一礼する。


 その様子を見て、私は『見える人』は苦労するなと思う。他の人には見えないのに自分だけ見えて騒ぎ立てる事が出来ない。しかし、先生はそんなに怖がらないのに、この黒い執事は物凄い怖がり用である。


 先生は慣れているだけかも知れないが、もしかすると、この黒い執事は、より詳細に『アイツ』が出現した時の姿まで見えているのかも知れない。そう考えると、そこまでの能力を持った人物がなぜ執事などやっているのか不思議に思う。その能力を生かせば他の仕事もできるのではないだろうか。まぁ、執事をやっているが、たまたまそんな能力を得たのかもしれないが。


 そんな事を考えていると、コロン嬢の家の馬車が私たちの前に回ってきて、私たちは次々と馬車に乗り込んでいく。


「あら? デビド、貴方、馬車の中には乗らないの?」


 御者台に向かう黒い執事にコロン嬢が声を掛ける。


「はい、今日はお客様が多いので、私は御者と共に御者台に乗りますので」


 黒い執事は引きつった笑顔で答える。私から逃げたな…


「まぁ、いいわ、それでは出してもらえるかしら」


 コロン嬢はそう言うと、馬車はゆっくりと動き始める。私は馬車が動き始めた事で、改めて、馬車の内装を確認する。やはり、侯爵家トップのロラード家の馬車はかなり豪華な作りとなっている。


「立派な馬車でございますね、コロン様」


「ありがとうございますわ、レイチェル様、でも、レイチェル様も先日私の家にいらした時も大層素晴らしい馬車でいらっしゃった様ですが」


 あぁ、あのお茶会の時の馬車の事か。


「あれは、コロン様の所へお伺いする馬車がございませんでしたので、ディーバ先生がご厚意でお貸しくださったのです」


 ここは、自慢の為に嘘などつかず、正直に答える。


「あら、そうでしたの、いって下されば、お迎えをご用意いたしましたのに。私の不手際ですわね、申し訳ございません」


「いえいえ、お気になさらずに、それよりもコロン様はオペル座にはよく行かれるのですか?」


 私も馬車の事を深く追求するつもりはないので、話題を変えてみる。


「えぇ、昔はよく行っておりましたが、学園に入ってからは学業に専念するために、会の方を退会致しましたの…」


 会に入るほどのファンだったのか。


「昔は総見にも行っておりましたが、会を抜けた手前、たまに見に行くのも憚られて…」


 ちょっと、専門の言葉が入っているのでどういう事なのか理解できない。


「えぇ! コロン様は会員が全員そろって公演を見る総見にも参加されていたのですか?」


 マルティナが説明的な話を始めてくれる。これはオペル座の事を知らない私への配慮であろう。正直助かる。


「そうですの、だからこうしてお誘い頂けるのは本当に嬉しいですわ」


 一人で行くのは気が引けるけど、誘われて行くのだからオッケーということか。というわけで、久々のオペル座にここ数日の不機嫌は嘘だったように、コロン嬢は上機嫌にもどったのであった。



 


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もご愛読頂ければ幸いです。

※はらついの次回は現在プロット作成中です。


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