表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でも殺し屋さん?  作者: なきもち
37/42

38話

よろしくお願いします。





「すいませーん、おじさん?」


本屋についたはいいが、そこは既に人がいる形跡はなくもぬけの殻だった。


情報を取り扱ってるだけあって退避行動も迅速か………。他にも情報集めたかったけど無理か。


サキはもうこの街ですべきことはないか確認を済ませると森に帰るための帰路に着こうとした。しかしそこであるものに目が行く。

本屋の男が書いていたであろうメモ帳だった。がさつながらも大量の文字が書き記されたソレをサキはアイテムボックスに入れると足早に森へ向かった。

帰る途中サキは考えていた。それは自分のステータスについてだ。


さっきの………。小鳥遊優香だっけ?俺の事を鑑定していたみたいだったけど、この世界ではであってすぐに鑑定する風潮でもあるのかな?勇者って言ってたし俺と同じ異世界人だから油断できないなぁ………。でもあの状況で出くわしたのは最悪だったかもしれない。


サキは思う。この世界で勇者に出会うにしてももっと別の形が良かったと。


しかもオーラなんて意味不明な単語も調べがついてないのに。そこらへんもしっかり調べるには………。結局のところモノシリウス学園には行く事になるし入学でもしてみようかなぁ。


その後も色々考えているといつの間にか森についていた。

森に戻ると女神達は心配そうな目でサキを見つめてくる。


「「ユキ様だいじょうぶでしたか?」」


「そうです!どこかにお怪我でもされていませんか?」


セラはそう言いながらサキの周りをひゅんひゅん飛び回っていたがサキが優しく「大丈夫だよ」とだけ言うとセラを休ませた。

シロもだいぶ回復したのか、しっかりとした意志でたっていたため大丈夫だろうとサキは判断する。


さて、これからどこへ向かおうか………。


サキは考える。今女神を三人も連れた状態で勇者たちの居るモノシリウス学園に行くのは危険ではないのかと。そう思うのも、以前聞いた話で勇者の中にも女神の声を聞ける者や姿だけでも視認できる者がいるという情報があったからだった。サキにとってそれは致命的であり、もし自分が女神を連れ回しているとバレれば先ほどの小鳥遊優香という勇者も今回のクリエストの主犯が自分だという真実にたどり着く可能性が上がってしまうだろう。それがほかの勇者であったとしてもまた別の問題もいくつかある。それに、昔と違い今はほぼ異世界の人間にしか見えない女神を連れているのだ、女神の力を悪用しようとするものに絡まれる可能性だってある。


そう考えると女神達とはどこかで別れたいけどなぁ。


そう思いつつ女神達をみる。アクエルはフレイアと一緒にこれからの旅でどうするかの情報交換をしており、セラに至っては自分がサキの助けになるといい女神通信や自分たちの姿が見えないことを駆使し情報を集めると大きく出ている始末。とてもこの状況で離れてくれるとは思えなかった。


それに契約しちゃってるし女神達は俺の奴隷状態。何か別の生き物に偽装するとか………。いっそ学園に居る間は別のところで情報収集でもしてもらうとか?でもそれでヘマされても変に足が付くかぁ。人をうまく使うって組織では当たり前のことだと思ってたけどなかなかうまくいかないものなんだね。


考えれば考えるほど女神達が邪魔に思えてきたため別の思考を始める。

その間女神達も情報交換をしていたが、サキが何かを考え込んでいるとわかると少し声の大きさを下げる気配りまでしていた。


信用されてることはいいけど流石にこれはなぁ。


そう思いつつ先ほどのクリエストの本屋で入手した一冊の本をアイテムボックスから取り出す。

タイトルには何も書かれていないが長年の情報が書いてあるのだろう。一冊分の厚さを明らかに超えておりページを付け足したあとが多々あったのだ。こんなものを本屋に置いていくとは無用心と思ったが、ここまで手の込んだ罠を作るメリットはあの男には無いと踏んだサキはその本をめくり始める。

そこにはサキの知らない情報がびっしりと書かれていた。男には魔法を使う機会がなかったようだが、情報屋なだけあって魔法の情報も記載されていた。


そっか………。直接本人に聞こうと思ってたけどコレなら聞く必要もないかな?


本には杖を使った魔法の発動に関してのメカニズムや無詠唱魔法の研究、また勇者の情報も書いてあった。その中でもやはり目がいったのは勇者の情報とこの世界の裏事情らしき文章である。

女神達の話では魔王やら魔族やらの話があったが、この本にはそれとは別の存在とそれに対して帝国が着々と戦力を集めている事が書かれていた。

その相手の名は『魔人族』。

更に魔人族に関して男がたくさんの情報の中で立てた仮設らしき説にはこう書かれていた。


『遥か昔、魔王が人間にその身を明け渡した時、人間達はその魔石も武器に変えようとしていたがそれを誰かが止め、その魔石は自分たち以外の人間を脅すための道具としてまた魔物たちに自分たちを攻撃させないように見せしめとして利用されていたらしい。しかしその魔石はただの魔石ではなく魔王の魔石。簡単に魔王の意志が抜けるはずもなく裏切られたと知った魔王の残留思念は人間達を恨んだ。その恨みの念が魔石から漏れ出し周囲の魔物に憑依したことで生まれたのが魔人なのではないか』と。しかし仮設にしては具体的すぎると思ったサキは次のページをめくる。するとそこには驚くべき人物の存在があった。

昔女神の恩恵で寿命が延びた男が居る。その男が目撃した話を元にこの仮説が成り立っていると書いてあったからだ。そしてサキにはその人物に心当たりがある。この世界で初めての依頼――――そのターゲットであった。


フレイアが生かした人間はまだ生きてる?………。その人間が目撃した情報が元ならばこの話の信憑性は高いということになるけど。


帝国は大国ではあるが、その素性があまり知られていないことから情報管理に関しては警戒を強めているとも書いてあった。そこには勇者の持つスキルが関係しているかもしれないとのこと。

帝国に関しての情報はあまり載っていないが、勇者に関しては違っていた。勇者のステータスに関してはこう書いてあった。


『勇者は転移した後特別なスキルが一つ授けられるという。更に全属性魔法の適正。しかしコレに関しては適正というだけでうまく使いこなせる者は少なく結果ひとつだけの属性特化や複合でも3属性程度と言われている。しかしスキルに関しては特殊な事例が多い。中でも神聖魔法と相手のスキルを奪う強奪やコピーする能力は強力である。これらは近年になって現れたものだがそのちからは絶大であるとの情報だった。彼らにとってレベルはステータスのおまけでしかないということらしい。そのせいか今となっては冒険者もレベルよりスキルを重視して見ている傾向にある。そのためいくらレベルが高くてもスキルがひとつしかない者よりレベルが低くてもスキルを複数持っている者のほうが重宝される。またスキルの数は普通初級魔法の火起こしや水を操る程度の能力が一般的なのに対し勇者は違う。勇者はその特殊なスキルを使うことで自分のスキルを無理矢理派生させたり{しすてむ}なるものの恩恵を受けているらしく、スキルの獲得数が異常なのだとか。鑑定スキルも初めから持っておりアイテムボックスもそれに同じである。更にその二つを使う際マナを消費しないというのだ。これらのことから一人召喚するのにも莫大なエネルギーを消費する。しかしここ最近帝国が他の大国から連れてきた魔法使い数百名を無理矢理奴隷状態にし、何日もかけて儀式を行い数十名の勇者の召喚に成功したという。これは極秘の情報で話した男は魔法をかけられていたのか話したその場で死んだ。また召喚後は世界のマナのバランスが大きく傾いたというがそれはまだ調査中とのことだ』


この世界にも頭をいじるスキルがあるのは当たってるみたいだね。あの時の冒険者もそうか………。俺の催眠にも限界はあるし、やっぱり早めにそれ関係のスキルをとっておきたいかな。この本によれば俺も勇者と同等のスペックと見てもいいかもしれないし。


サキは確証は無いが自分と勇者の共通点が多いこと、またスキルの入手とステータス統合が可能という{しすてむ}の恩恵を自分にもかかっているということから同じ扱いになっているのだろうと仮定した。そして貿易の国の情報屋なだけあってとても濃厚な情報だとあの男の評価を数段階上げておくのも忘れない。


{しすてむ}ってしすてむのことかな?だとしたら勇者たちにとってこの世界はゲームのように見えていると思っていいかもしれない。実際俺もアイテムを持ったり触ろうとするとその鑑定結果がゲームみたいに出るからね。


ここ最近と書いてあるが、サキもこの世界に来たのはまだ最近の為勇者たちが自分より先にこの世界に来たのはたしかだろうと思った。そのためレベルもスキルの熟練度も勇者の方が上であると警戒をしておく。


そんなのに今の状態で突っ込むのは愚策か………。


その考えに至ったサキはモノシリウス学園に行くのはもう少し後にすることにした。

更に別にのページをめくり続ける。

次にサキが目をつけたのは魔法に関してのページだった。この世界では無詠唱魔法が使えるのは高位の魔法使いでも珍しいが勇者は初めから無詠唱で魔法を使うことができる。どちらにしろ無詠唱魔法が使える人間は普通ではないと思ったほうがいいだろうと書いてあるがそこでサキはまたしても自分の過ちに気づいた。


ああ……。俺『ガイア』の時に水蒸気作ったけど……。あの時無詠唱で魔法使っちゃったよ。確実に勇者には怪しまれたかもしれない。


過ぎたことを考えても遅いと新たな思考に切り替える。今度は杖を使った詠唱、魔法発動のメカニズムのページだった。そこにはこう書いてある。


『本来魔法使いとは自身のからだのマナを杖を媒介にし、魔法名に込められたイメージを顕界させるものだと。そのため『ファイアボルト』の魔法は炎の球が意識した方向へと飛んでいく魔法。という認識、イメージが固定しているためその魔法をマナを使うことでで顕界できる。逆に言えばイメージの込められていない魔法名、つまりはオリジナル魔法は熟練の魔法使いでも使うことは難しいと言われている。不可能ではないらしいのだ。逆に言えばたくさんの人間が使える魔法程イメージが固定されており顕界させやすいのだという。その中で詠唱は自分のマナを操る為に必要なのだとか。そこで疑問となるのが古の女神の存在だ。女神が存在しなければその女神の司る属性の魔法が使えないという謎が残る。これは事実昔起こったらしいが詳しい情報は未だ手に入らない。もしかしたら女神が無意識に記憶している魔法が魔法名の固定されている魔法なのかもしれない。逆に言えば女神の意図しない魔法を使うのは自らが事象を起こすに等しい高位なため熟練の魔法使いでもできるものが少ないのだろう』と書いてあった。


あのおじさん、もしかしたらとんでもない人だったのかもしれない。これほどの情報を手に入れてここまでの仮説を立てることができるのは正直驚いたよ。もっと恩を売っておけば……。もしかしたら元の世界に戻る方法の手がかりくらいは手に入ったかもしれないね。まあ、生きてるだろうとまた会った時は全力で恩を売るのもありかな。


サキは魔法についてのメカニズムをある程度学ぶと男から貰った杖をアイテムボックスから取り出すと『ファイアボルト』のイメージを顕界させるために詠唱を始める。


確かこんなこと言ってたような。


「我、古の火の女神の力の一旦をお借りしたもう、我のマナを糧とし顕界せよ!火球!」


すると自分の中のマナがどんどん杖に向かって流れていく感覚があった。しかし魔法の方は杖の先が光っただけで火球が発動する事はなかった。


ん?


不思議に思いもう一度魔法を試そうとした時、火の魔法を使おうとしていることに気づいたのかフレイアが近寄ってきた。


「ユキ様、今「ファイアボルト」の魔法を使おうとしませんでしたか?」


「うん、一応杖を使って詠唱しながら魔法も発動できないと不審に思われるみたいだからね。でも杖からマナが吸われる感覚はあったけど杖の先端が光っただけで終わったんだよね~」


「むむう~。もしかしてユキ様……。何もイメージせずに魔法名を唱えましたか?」


そう言われると詠唱を思い出すだけでなんのイメージもしていないことを思い出した。


「そういえば何もイメージしてなかったかも?」


「ユキ様は最上級火魔法のスキルをお持ちなので、杖を持って魔法をイメージするだけでも発動しますが……。それではいけないのですか?」


「うん、そうするとこの世界の人間が一般的に使う火球とは違うモノになっちゃうからね。だからこそ練習したいんだけどなかなかうまくいかないね~」


難しいねと困った顔をするサキ。もちろん演技なのだがフレイアは真剣に考える素振りを見せるとこう言い出した。


「じゃあ、私が火球の魔法をお見せしますので今度はそれを意識しながらやってみてください!そしたら多分できると思います!もちろん飛ばす方向もしっかり意識すればスピードからその後の動きまで操ることができます!」


「それは良いアイディアだけど………。そのスピードを上げるとかその後の動きとかは他の人間でも出来ることなの?」


「はい!そこは私でもしっかり考えていますよ!しっかり勉強した人間には可能です!」


えへんと良い褒めてと言わんばかりのフレイアに「ありがとう」と伝え実際に火球を唱えてもらう。


「じゃあいきまーす!詠唱は……。私自身の力みたいなところもあったので端折らせてください……。レベルも低くなってしまったので威力は出ませんが……!火球!」


するとフレイアの指先から炎の球が飛びだしそのまま空中で霧散した。


「はぁ~~~………。途中で上空に行くようにイメージしたのですがやはり力が弱ってるので難しいですね……。あ!でもこれはユキ様のせいじゃないですからね!?」


慌てて訂正するフレイアだがサキはそれよりも先ほどの魔法の感覚を忘れないうちにもう一度詠唱を試した。

今度は先ほどと違いしっかり火の球を思い浮かべそれが目の前の岩に当たるようなイメージをそのままに同じ詠唱を始めた。


「我、古の火の女神の力の一旦をお借りしたもう、我のマナを糧とし顕界せよ!火球!」


するとはじめと同じようにマナが杖に吸い込まれていき杖の先から炎の球が出現するとフレイヤの時よりも少し早く岩に向かって飛んでいって消滅した。


なるほど……。イメージといっても実際にどんなものか知っていれば威力も何とでもなるのか。


「すごいですユキ様!一発で出来るなんて……!」


すごいすごいと自分のことのように喜んでいるフレイアに「ありがとう」と微笑むとその後も何回か火球の練習をするとなんとなく感覚を掴むことができたサキは女神達を呼び出し今後の話を始めた。


「みんな、次の行き先の事なんだけどいいんだけど………」


「「「ユキ様について行きますよ!」」」


この一言である。よほどサキのことを信じているのだろう。サキは嬉しそうに、だが呆れつつも三人を見つめる。


「とりあえずはこのまま森を抜けて帝国の領土に入ろうと思うんだ。そこでどこかの街を拠点に行商人としてじゃなく、冒険者としてダンジョンを攻略しに行きたいんだけど………。いいかな?フレイアの依頼も少し遅れることになる」


申し訳なさそうな顔で三人を見るが彼女たちは誰ひとりサキの言うことに反論の意思は見せなかった。それほど信用しているのだろう。サキは流石に反対の意見は出るだろうと思ったのだが拍子抜けだった。


「私は大丈夫です!本来なら叶うはずのない望みを叶えてくれるとユキ様はいってくれました。なら私はそれを信じてずっと待っているだけです!」


まあ本人たちがいいならいっか……。


「じゃあまずは森を抜けた先にある帝国の領地ってところに行ってみようかな。多少クリエストでも情報を入手しておいたからそこは信じてくれて大丈夫だよ」


少し嬉しそうに女神たちに微笑みかけると三人は慌ててこちらをみる。


「いいえ!ユキ様を疑うなんてそんなこと!するわけないです!」


「そうですよ!そんな事する奴私が放って起きませんよー!」


「さあ、ユキ様!帝国の領地へいざ行きましょう!私たちはどこまでもお供します!」


『ワォン!』


一同は、サキの意見に賛同するとクリエストから東にあるという帝国の領土へと向かった。









ブクマ評価大変励みになっております。これからも頑張りますので、どうかよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ