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異世界でも殺し屋さん?  作者: なきもち
36/42

37話

よろしくお願いします。




小鳥遊 優香という女性は普通の女子高校生だった。至って普通の生活至って普通の容姿。


「よし!今日も頑張って行きますか~!」


鏡に向かい自分に向かって今日もいつも通りの掛け声をかけると優香は学校へと向かった。それが最後の登校になるとも知らずに。





学校は楽しい。

私にとって学校とは学び舎であり、友との交友の場だ。いつも楽しく振舞っていた私だけど、もちろん悩み事はある……。


「あっ!大輝君おはよう!」


「ったく。学校では関わってくんなって何度も言ったろ……。今日の委員会中も変に話しかけてきたら縁切るからな!」


「あははっ!大輝君を見かけたらつい嬉しくなっちゃって!ごめんね気をつけるよ……」


彼はそのまま教室へと帰って行った。

そう、私は彼に特別な感情を抱いている。元々私達は幼馴染で子供の頃はよく一緒に遊んでいた。だけど大人になっていくにつれ彼は私と距離を置くようになった。私とと言うよりは「周りから」距離を取っているようだった。

彼は俗に言う引きこもりで、いつもアニメやゲームなんかに夢中でいた。中学校の時はほとんど不登校で出会うことも無くお互い干渉しないでいたが、たまたま入った高校が一緒だった時は嬉しかった。これでまた昔のように戻れたらと思うとつい声を掛けてしまうのだ。しかし彼にとって私は……。


「って!何落ち込んでるの私!これはいけない気持ちなの!だから……彼が道を外した時は私が守ってあげる。それでいいじゃない!影から守る女って言うのもなかなかいいものね!」


1人考え1人解決する優香。

そしてお互いが教室に戻った時それ起こった。


「起立、礼、ちゃくせーーー」


号令とともにクラスの数名の足元が一気に光出したのだ。皆何が起こったのか理解出来ずにいる中優香もまた混乱の中にいた。

そう、その光は自分の足元にも出現していたのだから。


「えっ?何これ!?」


「きゃー!せんせー!これどうなって……?!」


「ふふっ……。ついに俺様の時代が来たようだな……」


それぞれが混乱の中叫び、また教師に助けを呼び、自らの願望が叶ったことを確信したのか嬉しさにガッツポーズをとるものと教室は騒然となっていた。

やがて足元の光は自分の体を飲み込んでいくように、上の方まで登ってくる。それと同時に光に包まれたもの達の意識もまたどんどん遠のいていった。


「ちょっと?!とりあえずみんな机の下に!」


遅れながらも正気を取り戻した教師は生徒に指示を出すが、光に包まれたもの達の意識は既になくその場に立ち尽くしており、やがて数人の生徒を巻き込むとその光とともに一瞬にして消えてしまった。

やがてこれは「何らかのテロ組織による陰謀」として世界を驚愕の渦に巻き込んだ。またほかの教室でも同じようなことが起こっており約20名ほどの生徒が一斉に地球上から姿を消した。








次に目覚めた時、優香の目には信じられない光景があった。

そこは映画の世界に出てきそうな中世のお城のようで、壁際には沢山の鎧を着た人が立っていた。また部屋の中央には髭を生やしたおじさんが偉そうに椅子にふんぞり返って座っていた。

よく見るとそのおじさんの頭の上には黄金に輝く王冠がはめられており、流石の優香も自分の状況を把握し始めた。


これって大輝君が読んでた本の内容にそっくり……。異世界転移物?


すると急いで周りを確かめるとそこには自分と

同じ制服を着た生徒達がいた。倒れているものや自分と同じく状況把握をする者その中に見知った顔の男がいた。


「大輝くーーー」


そこまで言いかけると彼はとんでもなく鋭い目で自分を見てきた。それは拒絶の目。今までのなぁなぁではなく初めての拒絶の目に思考を停止せられた優香だが、彼は自らの掌を眺めるとニヤリと笑った。

そして他の生徒達のことを自分の掌を見ていた時と同じように見渡すとまた笑みを浮かべる。

始めてみる彼の姿になにか嫌な予感を覚えた優香はもう一度声をかけようとした。しかしそれは別の声によって阻まれた。


「静かにせよ!」


その一言でその場の空気が止まったように感じた。その言葉を発したのは先程の王冠をかぶった男のようで、皆がその男を見ると、男は満足したのかさらに続ける。


「皆突然の事で混乱しておるだろうが、ここで騒がれるのも困るのでな。説明はこちらからしてやるとしよう」


するとその男の後ろから1人の女の子が出てきた。

アニメの世界から出てきたような美しくも可愛らしい女の子。その子の頭の上にもまた男と同じような王冠が乗っており王様と王女様なのかなと優香は思った。

皆がその美しさにただ呆然としていると、女の子は微笑みながら話し始めた。


「皆様。突然の事で混乱していらっしゃると思いますがどうか私の話を聞いてください。本当ならここで名を名乗るのが礼儀なのですが私はまだそれを許されておりません。お許しください」


そう言った彼女の顔はとても悲痛な面持ちだった。まるでこちらが悪いのでは?と思えてくるほどだ。

その後も彼女の説明は続いた。要約すると優香が予想した通り、ここは異世界であり自分たちは魔法によって召喚された勇者なのだそうだ。

そして召喚された勇者には特別な力「スキル」があるらしく、それを駆使して今の世界を救って欲しいと。この世界には昔から魔族という悪がおり魔物や魔族の脅威に晒されているのだと。もちろん対抗勢力として魔法使いや冒険者たちも頑張ってくれているのだが、それでも限界があり今ではジリ貧状態になってしまったのだと。そんな中ある情報がこの国に入った。


「近々魔王が復活し、この世界を混沌の闇に包み込むだろう」


そう言った魔族が居たらしく最初はただの戯言だと思っていた。しかし魔族の動きが次第に大人しくなり何かの儀式をしていると聞いて改めてその情報は本当だったのだと確信し、特別な魔法を用いて異世界から勇者を召喚したと。


ざっくりだけど、それって私たちの意思は関係なくこの世界のために戦えってことよね?流石に……。


そう考えた優香だったが、他の生徒達の反応は違った。


「私でも人の役に立てるなら……」


「ようやく俺の時代キター!」


「異世界……主人公か……。」


皆各々の願望が叶ったような嬉しそうな顔をしていたり、満更でもなさそうなのだ。


え?いくらなんでもこんなにすぐ適応出来るの??でも私以外みんな乗り気だし……。大輝君もさっきからにやけてばかり……。なら私に出来ることは彼を……!


こうして生徒達と優香は帝国の為に戦うことになった。

召喚され勇者は普通の人間より強いと説明があったが、いかに強くなっていると言われても普通はこんなにあっさり協力などしないだろう。

しかし帝国は勇者たちを召喚した瞬間に自分たちの隷属状態にする高位の魔法を唱えていた。

それは女神たちのステータスに出ているものよりも優れており、ステータスを開いても自分では確認できないもので、あくまで自我もある。しかし主人が望むと自分もその思考にそった考えになるというタチの悪い呪いであった。

優香は召喚された時に最初に勇者が手に入れられるランダムスキルの中でもレアな神聖スキルによりそれをレジストしていた。しかし大輝への思いが彼女の冷静な判断を鈍らせてしまっていることを彼女はまだ知る余地もない。


こうして生徒達はまんまと帝国の道具として召喚されたのだった。

しかし勇者と言ってもまだレベル1の戦闘のせの字も知らないような子供たちだ。流石に帝国もそれを分かっていたのか、彼らをモノシリウス学園という学園都市に通わせ、強くなったら国の兵器として使うために勇者のレベルを上げることに尽力したのだ。その間はいくら隷属状態だとしても意思があるため、ある程度の自由は認めてやる必要があり、各々自由行動を取らせることも帝国は許した。

そんな中で優香だけは学園である程度この世界の知識度強さを手に入れてから他の生徒たちと別行動を取るようになった。

というのも彼、大輝の行動が原因だった。

彼は前の世界ではオタクで異世界の知識も他の生徒より豊富だったため、同じレベルでも巧みにスキルを使いこなし私利私欲の為に力を行使していた。周りの生徒達も同じ勇者だが、力で叶わない大輝に怯えただただ従うしか無くなっていた。そんな状況を見かねた優香は学園外まで勢力を伸ばした大輝を止める為に自らのレベル上げに専念したのだ。


そう、全てはあなたが真っ当な道に戻るために初めたこと……。だけど流石にここまでくるとやりすぎよ……!


そう、優香のレベルは大輝には叶わないとしてもほかの勇者よりは強かった。そんな状況を見かねた帝国は抑止力の為に優香を利用しようと考えた。

優香にとってもそれは好都合だった。帝国は自分達のことを道具としてしか見ていないだろうと分かっていたが、歪み切った仲間を助けるためならと帝国の思惑を分かっていて協力を約束したのだ。そんな優香の気持ちを知る余地もない帝国は、勇者全員にかけた隷属呪いは上手く作動していると思い込んだ。

そして優香に帝国でも優秀な部下を数名貸し出すと大輝の行き過ぎた行為を止める為に行動をさせた。


そんなある日大輝がホワイトウルフを手に入れるためにクリエストの街付近へ冒険者を派遣したと情報が入った。

ホワイトウルフはA級の魔物。いくらA級冒険者を雇ったとしても容易い相手ではない。そしてクリエストの街に潜入していた部下の1人の情報により、クリエストの戦力……。女神のクリスタルが奪われたという情報を聞かされ驚いた。

自分が向かおうとしている場所でそんな出来事があったのだ。このままでは停戦状態は解かれ戦争になるかもしれないと。

そう思った優香は帝国から連絡が来るより先に自分が使者としてクリエストの街に向かうと国王に提案した。すると王は「なかなか気が利くではないか」とだけ言うと、優香に使者としての役目を任せた。

そして今クリエストの王クロンガムに開戦屈服かを提案しに来たのだが、そこで気になる人間を見つけたのだ。

どことなく不思議な雰囲気の男。屈強な肉体で縛られていたのか開放されたのか床にはロープが落ちている。しかし謁見の間に縛られてくるという事は只者ではないだろう。そう思い鑑定をかけたのだが、驚きの結果が出た。


(鑑定できませんでした)


つまりこの男は自分より高い艦艇スキルを持っているということだ。

今までにも自分の周りには鑑定レベルの高い人間はいた。しかしそれは全て勇者であり、この世界の人間ではまだ見たことがなかった為優香は気になったのだ。


もし私より強いか同等の戦闘力なら……。彼を止められるかもしれない……。


かつて特別な感情を持っていた彼を止める為の力になるかもしれないと思った。

そして国王との関係を聞き出そうと質問したが一向に返事が返ってこないためおかしいと思った。


いくら突然の事で混乱しているからと言っても何も話さないのは何故かしら?……。


不思議に思った優香は再び彼に問い質そうとしたが、先に動いたのはの男だった。


「俺とそこの王様との関係は深くない。盗人扱いをされてここに呼び出されていたのさ」


クリスタルが盗まれたとは聞いていたがこんな横暴なやり方で問いただしていたなんて……!


許せないと思った。知らない人間が相手でも権力を使い無理矢理罪もない人に罪を着せるようなやり方はどうしても許せなかったのだ。

しかしクロンガムは怒り狂った顔で叫んだ。


「何を!この街で怪しいのは最早貴様1人で!証拠も…………!!!!」


「フリーズ!」


しかし優香の一言により王は突然静かになった。それは彼女のすきるのひとつで相手の思考を止める為スキルだった。


「無理矢理権力を使いこんな悪事を働く王に降伏の選択肢なんてないわね。一時的にあなたの思考を止めました。帝国はクリエストの街を攻めることにします。最も……私一人でも十分だとは思いますが。」


周りの近衛兵も状況を理解したのか誰も手を出すものはいなかった。


「おいおい、いいのか?愚王でも一応王だぞ?」


男は心配していますと言う顔でしかし嬉しそうに言う。


「心配いりません。どのみちその男は殺される運命にあるのです。それよりも……、あなたは何者ですか?私の鑑定スキルが通じない人間なんて他の勇者以外では初めてです。この意味が分かりますか?」










やれやれ参ったね……。変な魔法で王様を黙らせるし勇者より高いスキルなのがバレてるし。


サキはこの状況で手に入れた情報を的確に整理する。

彼女、小鳥遊優香は帝国の使者。そしてこの国は多分もう終わりだろう。

更に勇者よりも高い鑑定スキルを持っていたことから彼女のサキへの鑑定は失敗し、興味を持たれた。

そして魔法。先程の魔法だけじゃないかもしれないが思考を止める魔法。そんな厄介なものを使われては流石のサキもただでは済まないだろう。


ここでできることは1つか……。


「そんなことより王様との会話が終わってないだろう?俺もあんたも忙しい身だし、ここは詮索はなしで終わろうぜ」


「なっ、私より強いかもしれない人間をこのまま放置出来る訳が!ーーーーーー」


するとサキはその場で魔法を行使した。

水と火の魔法を一緒に発動させ水蒸気を発生させる。

圧倒的火力によって作り出された水蒸気は直ぐに謁見の間中に広まるとそこから窓の割れる音が聞こえた。


「悪いね、今急いでるんだ。王様もそろそろ喋らせてあげないといけないんじゃないか?」


「なっ、何よこれ!ゲホッゲホッ!」


優香は急いで音のする方へと走ったが、謁見の間の高さから地上へはかなりの高さがあった。


「さすがの私も無理ね……。いつか絶対話を聞かせてもらうわよ」


優香はその場は諦めることにし再び謁見の間にいる王の元へと戻って行った。






一方サキは地上に降りるとすぐさま裏路地に入りガイアの変装をといた。


「はぁ……。上手くいったけど最悪の状況なのは変わらないね……」


既に街から出たはずの「ユキ」をロイズやギルに見られる訳には行かなかったサキはなるべく人目のない場所を通りながら本屋のある方へ足早に向かうのだった。


しかし本屋の男は既に情報を聞き出したことで身を案じ街から脱出していることをサキが知るのは少し後の話である。







少しずつ状況が動いていますが、質問や誤字脱字などありましたらご指摘お願い致します。

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