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異世界でも殺し屋さん?  作者: なきもち
27/42

28話後半





最近失敗ばかりな気がする。サカキがいれば何か変わったのかも知れない…………。


サキは改めてこの世界のkとおを知る必要があると判断した。

そしてこれからはもっと隠密に行動しようと。

するとロイズとギルが戻ってきた。


「いや、すまないね。私からの試験は以上だ。君はこれからD級の冒険者として頑張ってもらう。私はその手続きのため一旦本部へ戻るから訓練が終わったらまた声をかけてくれ」


「分かりました」


「おう」


そう言うとロイズは建物の方へと戻っていった。

残されたギルとサキは無言のまま向かい合う。

お互い見つめ合うだけで時間が過ぎていった。数分が経った頃、突然ギルから殺気のこもった一撃が飛んできた。

先程までのギルとはまるで別人の動き。

もしかしてさっきのロイズという男より早かったかもしれないとサキは思った。

しかしサキはその場から逃げず突っ立っていることしかできない。


「ひえ?…………」


サキはその場にへたり込むとギルを見上げる。

そんな反応を見てギルは突然笑いだした。


「アッハハハハハハハ!すまねえ!なぁに、ちょっとした冗談さ。お前さんがいきなりD級の冒険者になったからどの程度のもんかと思って攻撃してみたんだがなぁ、その反応だと今のは見えなかったか?」


笑いながらギルはこちらへ手を差し伸べてくる。先程までの殺気は微塵も感じない。


こいつも注意しておかないといけないかもしれない。


「いきなり目の前に剣があったので正直何が起こったかわかりませんでしたが………、死ぬかと思いました……。攻撃の後に風圧が来るなんて聞いたことないですよ~」


さも驚いてますといった表情。

ギルはその後も励ますようにサキを元気づけた。どうやらごまかせたようだ。


「よし!じゃあ剣術の基礎を教えようと思うが………。まずスキルについて、お前さん剣術スキルは持ってないって言ってたよな?」


「はい、ただ父の影響で少し扱える程度ですがまだスキル入手までは出来ていません………」


「そうか。俺もな……。生まれつき剣術のスキルを持っていたわけじゃないんだけどよ」


「そうなんですか?」


実際興味深い話だ。

女神達の話によれば生まれ持った職業以外はなかなか手に入らない。それを自力で手に入れたのだとしたら今後の参考にもなる。


「昔な、俺は冒険者に憧れてた。俺の生まれた村は貧相でな、おまけに俺の家は村で一番貧乏だったんだ。でも冒険者は違った。いくら貧相でもいくら金がなくても強くなって冒険者になれば金を手に入れられる。夢があるんだ。好きなものが買えて好きなものが食える。そう考えたら体が先に動いてんだ」


ギルの父親は元冒険者として活躍していたが怪我が元で引退。

そしてその父親から厳しい剣術の稽古を毎日毎日つけられていたのだそうだ。気づいたとき自分は成人、その時点から神の声が聞こえたらしい。

『スキル『剣術』を習得しました』


「その時はすごく嬉しかったぜ。何せスキルを持っていない人間がその系統のスキルを入手できたんだからな。でもその頃には両親は既に死んじまっててな…………。お礼も何もできずに嘆いたこともあった。でも俺はこれから冒険者になって死ぬほど金を稼ぐことで恩返しになるんじゃないかって考えたんだ。だから俺はそのあとも必死で訓練に訓練を重ねた。そしたらいつの間にか国に仕えるまでになってたんだ」


ははっと照れくさそうにギルは自分の過去を語った。


なるほど、先ほどの強さを考えるとギルはこの世界で上位に位置する強さなのだろう。


もしかするとこの世界の人間の平均レベルは低い………?いや、ギルみたいな人間が隠れているとしたらその考えは早計かな?


「そうだったんですね…………」


「まあ昔の話よ!だからお前さんも練習すればスキルの入手はできずはす!すぐには無理だがきっとな?我流ではあるが俺が毎日やってきた基礎を教えてやるよ!」


「はい!お願いします!」


そこからギルとの剣術修行は夜まで続いた。











「はぁ………はぁ………」


「お前さん結構タフだなぁ~!?俺がお前さんくらいのときにはもうばててたぜ……?」


「いえ…………既に顕界で………す」


そう言いながらサキは息切れをしつつその場に座り込む。


「よし!少し休んだらロイズのところに戻ろう。そろそろ戻らないとあいつも流石に怒ってるぜ?」


笑いながらギルは語る。それほど二人は深い仲なのだろう。

頷きつつ少しの休養を取りロイズの待つギルド内へと向かった。

向かう途中もギルの武勇伝を聞かされた。王国に使えて沢山の悪者や魔物を倒してきた事。

そして最後に興味深い話を聞いた。

それは、異世界から召喚された勇者と模擬戦をしたこと。サキはギルにはまだ情報網として使い道があると思いこれからも友好関係を気づいていこうと思った。

その日はギルドでステータスカードを受け取りそのままヤドリギへと戻ることにした。






ヤドリギへ戻ると女神達が出迎えてくれた。


「おかえりなさいユキ様!」


「おかえりなさいませ」


「ただいま、二人共」


「ステータスカードは無事にお作り出来たのですか?」


アクエルはいつもより少し嬉しそうな雰囲気で聞いてくる。

彼女なりに心配してくれていたのだろう。


「うん、一応偽装もできてるからただの駆け出し商人で、魔法に少し適正があるって事になってるよ」


「その年で魔法適正がある人間もなかなか………、いえ。私っちが居た時代はそうでしたが今だとどうなんでしょうか」


「ねえアクエル」


「?はい、なんでしょうか?」


「何かいいことあった?」


何故突然そのような事を聞くのか、そしてそれが的確だったのかアクエルは驚きを隠せない。


「何故……ですか?」


「いつもより口角が上がってたり………、まあ色々判断材料はあるんだけど雰囲気とか?」


「ユキ様は本当に人間なのでしょうか?私はいつも不思議に思ってしまいますよ………」


アクエルは観念したのか目をそらしながら嬉しそうに話し始めた。嬉しいのか後ろめたいのか半々といったようだ。


「実は今日、ユキ様を待っている間少しフレイアと外に出かけていたのです。あっ、勝手に外出してしまい申し訳ありません………」


ああ、別に許可を出してるんだか謝る必要ないんだけどなぁ。


しかしサキは不思議に思う。何故外出してはいけないと思っているのに謝るのを覚悟で外に出たのか。アクエルの性格上そのようなことはしないと思ったからだ。


「それは大丈夫。許可を出したのは俺だからね」


「ありがとうございます。それで私とフレイアはいつも通り部屋でステータスの確認や雑談を交わしていたのですが、ふと声が聞こえたのです」


声。ここは少し大きい街だ。声が聞こえてもおかしくないが、アクエルのいう声はそれではないのだろう。


「私達女神は特殊魔法を持っていて、昔は神々も一緒にどこにいても話が出来ていました。しかしそれぞれの女神が封印されてしまってから連絡が途絶えてしまっていたのです」


初耳だった。


女神達からももう少し情報を聞き出しておくべきかな……。最初はほかの女神も封印されてるみたいなこと言ってたけどその通信で分かったとか?わからないなぁ。


「ほかの女神は全員封印されてるの?てっきり二人は人間に裏切られてっていう特殊なケースだと思ってたんだけど」


その言葉にアクエルの感情に、悲しみや怒りの感情が混ざり始めた。


「いえ…………。先程もお教えしたとおり私達には特有の通信魔法がありました。その魔法で封印されている間も通信はできるはずなのですが何分なかにいるだけで意識が朦朧としていたので………。それに今までは声も聞こえていませんでしたしてっきり………」


つまり女神封印は………。同じ時期かほぼ近い時期に一斉に起こった?……。


「先ほど聞こえたのはその通信魔法からの声でした。私たちはすぐさま声の聞こえる方へいったのですが、それは王城の中にありました」


ここまで聞くと流石に理解できた。


「クリスタル?」


「はい………」


悪エルは寂しそうな顔をする。

王城のクリスタルという時点で嫌な予感しかしない。


「王城への侵入は容易でした。なんせ私達の姿は普通の人間には見えませんから」


「そうだね」


「宝物殿らしき場所に私達と同じ女神がクリスタルの中に閉じ込められていました………。初めは仲間がまた封印されていたたのかと怒りで我を忘れそうになりましたが、フレイアが居てくれたおかげでなんとか持ちこたえました」


「………………。この空気で言うのもなんだけど、アクエルって結構感情的だよね」


「!?」


顔を赤くしながら羽をばたつかせるアクエル。

そこへずっと黙っていたフレイアが会話に混ざる。


「そうそう!アクエルは本当は感情的で自分に正直すぎるんですよー!私みたいなおねーちゃんが居ないとといけませんね!ワプッ!?」


フレイアの顔面にアクエルの鉄槌が下る。


「ゴホン。その女神の話しですが、彼女の名前はセラといいます。彼女の司る属性は光。そして女神達のな赤で一番心優しい女神です」


アクエルは過去に何度もセラに助けられたという。

村のことで相談に乗ってもらったりもしたそうだ。そして今回そこでクリスタルの中でも意識を保っていたセラと話すことができたのだそうだ。

きっと司る属性が回復やサポート系のためか意識を保つことはできたのだろうと二人は考えたという。

自分たちは今人間に助けられたという話だけをすると彼女は自分のことのように心から嬉しそうに笑ったのだそうだ。彼女に会えたことがアクエルの機嫌を良くしていたのだろう。


「なるほどね。始めて聞く情報も沢山あったけど、それは置いておこうか。問題は二人がそのセラって女神をどうしたいか。それを教えて」


「………………」


アクエルは暫く考え込む。フレイアもまた一緒に考え込んだ。

ゆっくりと時間をかけて悩んだ末アクエルは口を開いた。


「私は………。ユキ様がいなければ今までと同じ、グレムの魔法の道具にされていたでしょう。きっとセラも人間達にいいようにいいように使われていると思います。もしユキ様が許してくれだるのであれば……」


「私もアクエルと同じです!」


ふたりの女神はセラを開放して仲間にしてあげたいようだった。

しかしサキにも考えるところはある。それは勇者の情報を持っているギルがこの街に在住しているということ。

もちろんセラのクリスタルを奪ってくることも可能だろう。しかしそんな問題が起きている中そこそこ有効関係を築いた人間が居るにも関わらず怪しい行動をとるのはまずいと考えたのだ。


それに………。自分の力を過信したらその時点で俺は死んでいるってよく言われたからね。


大事な人から教え込まれた言いつけ。

サキの中には今でもサカキという存在が大きく根付いていた。

一向に返事をしてこないサキに不安になったのか二人の女神あバツが悪そうな顔をする。


「やはり私達のわがままが過ぎましたよね………」


「ごめんなさ――――――」


「いいよ」


「「!?」」


女神たちはまさかいいと言われると思っていなかったのか、その場で泣き出してしまった。


「どうして今の状況で泣いちゃうのかな………」


「わ、私達………。最初はユキ様を騙そうとしまでしたのにここまで良くしてもらって………。それに、友達まで助けてくれるって言われてしまったらもう……ふええぇ……」


「仲間なんだから当然だよ」


最初のことで学んだサキは演技に力をいれ女神達のケアもしっかりしていた。その効果か二人も次第に心を開いているようだった。


なんか俺が思っている以上に女神達は『ユキ』を信用しているみたいだ。

それはそれでいいんだけど、サキに戻ったとき面倒にならないといいなぁ……。

サキは空気を読めていない思考をしている時ふとおもった。


「そういえば二人共お風呂入った?」


「「ふえ?……。ま、まだです」」


女神達もサキの唐突な質問に困惑しつつも素直に答える。


「じゃあ前回と同じ丸太風呂を沸かすから待ってね」


まあこれ以上話すこともないしやることも残っているしね。


しかし女神達からは、お風呂に入って心を落ち着けて欲しいという親切心だと勘違いしているがサキがそれを知ることはない。



















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