第97話
人一人を拉致して地下室の椅子に縛りつけておきながら、彼女はまるで夜の客を迎える前に服装を整え直した侍従長のようだった。
濃い茶色の髪は乱れておらず、袖口もきちんとしていた。
ただ首の近くを一度かすめていったセラの刃傷が、今は細い黒いリボンで隠されていた。
そしてそのリボンが、むしろ彼女をさらに冷たく見せていた。
レオンはゆっくり口を開いた。
喉がかすれていた。
「……会えてうれしくはありません」
マルセラがとても薄く笑った。
「あなたらしいですね」
「それは普通、褒め言葉ではない気がしますね」
「あなたには褒め言葉になるかもしれませんよ」
本当に、最後まで気に食わない女だった。
レオンは頭をほんの少し持ち上げた。
その小さな動きだけでも首の後ろが張った。
沈黙呪術の残滓がまだ抜けきっていないようだった。
舌先は重く、顎は鈍かった。
それでも彼は尋ねた。
「一つだけ……先に聞きます」
「どうぞ」
「あなた、確か捕まっていたのではありませんか」
マルセラは蝋燭の芯を細く整えるように、爪で触れた。
「捕まっていましたよ」
彼女はあまりにも落ち着いて言った。
「捕らえられ、押さえつけられ、連れていかれ、監視されました。おかげでとても多くのことを学びましたよ。あなたたち側の人間は、思ったより誠実で、思ったより悪辣ではありませんでした。それは長所にもなり得ますが、こういう盤面では致命的な欠陥でもあります」
レオンは目を細めた。
「まさか感嘆文ですか?」
「当然、苛立ちですよ」
マルセラは一歩近づいた。
蝋燭の光が彼女の瞳の中に細く入り込んだ。
暖かい色なのに、その目の中に入るとさらに冷たく見えた。
「あなたたちが北部で私を制圧した時、私は終わったとは思いませんでした」
「ただ、少し時間が必要だと思っただけです」
「灰色眼球会は、失敗した駒をすぐ捨てる組織ではありません」
「使い道がある間は、どうにか拾い上げて使います」
彼女はとても淡々と話を続けた。
「支部への移送途中でした」
「手錠、足枷、馬車、護衛四人」
「見た目には堅かったでしょう」
「ですがそのうち二人はすでに灰色眼球会側の金を受け取っていて、一人は怯えに弱く、一人は最後まで誠実でしたが孤独な種類でした」
「そんな護衛は長く持ちません」
レオンは心の中で舌打ちした。
やはり。
この女は人の心のきしみを一番先に見る。
マルセラはまるで帳簿を読むように淡々と言った。
「雨の夜でした」
「車輪を一つ、わざと曲がらせました」
「馬車が止まり、護衛が動き、雨音が大きくなり、視界が霞んで」
「その隙に灰色手袋が来ました」
「二人は死に、一人は逃げ、最後の一人は……」
「私が直接息の根を止めました」
「そして私はまた捕まりました」
「ただし今度は、あなたたち側ではなくこちら側に」
レオンは少し止まった。
「辛うじて、ですね」
マルセラの口元がほんの少し歪んだ。
「ええ」
「辛うじて」
その言葉が彼女の自尊心のどこかを引っ掻いたのは明らかだった。
「助けられたという言い方は嫌いです」
「まるで私一人では何もできなかったように聞こえますから」
レオンはふっと笑おうとして、肋骨が引きつり表情をしかめた。
「そういう場合が……」
「ないとは言えませんね」
ぱしん。
マルセラの手のひらが先に飛んできた。
強く打ったわけではなかった。
だがそれが余計に悪かった。
あえて殺そうとするわけでもなく、あえて顔を壊そうとするわけでもなく、正確に唇の切れた場所と頬の痣の場所を選んで触れた。
痛みを大きくするために必要な分だけ。
レオンの顔が横へ弾かれた。
「くっ」
「私の前で嘲笑わないでください」
マルセラの声は再び落ち着いていた。
「あなたはいつもその笑いが問題でしたから」
レオンは口の中に広がる血の味を飲み込んだ。
痛い。
実に適切に。
本当に嫌になるほど上手く殴る。
その時、部屋の反対側の闇が動いた。
灰色手袋の男が姿を現した。
レオンは無意識に姿勢を正そうとした。
椅子に縛られていたので、あまり意味はなかったが。
それでも体が先にそうした。
その男は相変わらず身なりのよい葬儀屋のようだった。
灰色の手袋は清潔で、黒い服には埃一つ見えなかった。
北部でセラが刻んだ細い傷は、今では痕跡だけが残っていた。
彼はレオンを見て、微笑に似たものを浮かべた。
「正気に戻りましたね、生還者」
その呼び方は名前より気分が悪かった。
レオンは口元を歪めた。
「貴重なお客様扱いではまったくないようですが」
「あなたは客ではありませんから」
灰色手袋がテーブルの横に立った。
「材料に近いですね」
その短い言葉が部屋の空気を一気に冷やした。
レオンは今度こそ本当に笑えなかった。
マルセラは横から静かに付け加えた。
「だからあなたを連れてきたんです。報復のためだけではありませんね。報復もあります」
「かなりあります」
彼女は認めた。
「あなたのせいで計画が何度狂ったか分かりますか?」
「北部でも、礼拝堂でも、応接室でも」
「あなたはいつも中心ではない場所に立ちながら、最後の一寸を台無しにしました」
「人が手間をかけて積んだ塔の下に隠れていて、一番大事な石を一つだけすっと抜いていく鼠みたいなことが、とても上手でしたね」
よし。
今度は虫から鼠か。
だんだん動物園が豊かになっていく感じだ。
だが灰色手袋はマルセラの言葉を遮った。




