第94話
「パーティー、アンブレイカブル・ローズは即時救出、関係者の生け捕り、背後の追跡を含む正式後続依頼への切り替えを要請する」
マヤが付け加えた。
「要請っていうより、ほとんど通告だね」
エリンが乾いた声で訂正した。
「文だけ違うけど、意味は似ているわ」
アデリアはすでに書類を広げていた。
今回は屋根の上の簡易手続きではなかった。
本物のギルド文書だった。
厚い羊皮紙、事件番号、関連事件併合項目、被害者識別欄、武力承認範囲、動員可能人員、外部報告優先順位。
一文増えるたびに、私的な怒りは公式な構造になった。
彼女は筆ペンを持って言った。
「今からこの事件はギルド緊急特殊依頼に再編する」
「被害者救出優先」
「関係者の逮捕および尋問権限付与」
「北部事件連動として上部へ自動報告」
「受諾パーティーは…」
彼女が顔を上げた。
セラが答えた。
「アンブレイカブル・ローズ」
そのパーティー名がギルドホールの真ん中ではっきり響いた。
それは格好よく宣言された名前ではなかった。
むしろ鞘から書類綴りへ書き写される瞬間に、さらに重くなる名前だった。
アデリアはうなずき、そのまま書いた。
アンブレイカブル・ローズ。
そして赤い封蝋を落としたあと、支部長印を深く押した。
カチッ。
短い音。
だがその音は、ついさっきまで荒れ狂っていた感情たちに骨格を立てる音のようだった。
「できた」
彼女が言った。
「今からこれはギルド緊急回収および救出依頼だ。お前たちは私的に暴れるのではなく、ギルド名義で動く。だから誰か一人が死にそうな勢いで飛んでいっても、最低限、理由は文書に残る」
リナが手を上げた。
「半分以上殺しておくのは大丈夫ってことだよね?」
「あなたは本当に聞きたい言葉だけ選んで聞くのね」
エリンが冷たくつぶやいた。
だがその冷たい口調の端に、とても薄い安堵が混じっていた。
エリンも分かっていた。
名分は重要だ。
公式文書一枚は、時に剣一本より長く人を生かす。
セラは再びアデリアを見た。
「追加で教えることは?」
アデリアの視線が短くレオンのプレートへ落ちた。
「ある」
彼女はカウンター横の記録保管室の扉へ顎をしゃくった。
「中へ入れ」
記録保管室は、昼より夜のほうがさらに古い場所のように感じられた。
高い棚ごとに革の帳簿と封印された巻物が幾層にも差し込まれており、ランプの光はその間に挟まった埃を古い雪のように漂わせていた。
空気はひんやりしていた。
紙、革、墨、封蝋、そして人が忘れてしまった事実だけを長く腐らせた匂いがした。
都市が外で騒がしく生きているなら、この部屋は逆にすべての騒ぎが記録として冷めていく場所のようだった。
アデリアは棚の内側から薄い書類綴りを一つ取り出した。
「生還者に関する古い記録を少し追加で調べた」
「完全に確実というわけではないが…」
「捕獲状態、孤立状態、一時的敗北状況で、むしろ帰還確率が上がるというメモがいくつかあった」
マヤの目が細くなった。
「どういう意味?」
「簡単に言うと」
アデリアはプレート裏の削られた印を指でこつんと叩いた。
「あのクラスは逃げる時だけ生きるわけじゃない」
「捕まっても最後まで道を作る」
リナが真っ先に反応した。
「つまりレオンが今やったことが…」
「偶然じゃないということだ」
アデリアが切って言った。
「ナイフを残し、プレートに方向を削り、わざと途中経由地を紛らわせた。そういう判断が、朦朧とした精神状態でなお続けて出てきたということは、生還者というクラス自体が『生きて帰るための思考』を最後まで掴ませてくれると見るほうが正しい」
エリンがごく小さく息を吐いた。
「…性格に合っていて、よく似合うわね」
マヤはにやりと笑った。
今回は少し、本物の笑みに近かった。
「よし」
「じゃあ、あのバカが完全に無力なまま連れていかれたわけじゃないってことだね」
リナもすぐに受けた。
「うん」
「じゃあもっと早く見つければいいね」
セラは何も言わなかった。
ただ腰の青銅プレートの上に置いた手に力が入った。
アデリアは最後に付け加えた。
「もう一つ」
「その記録には、こんな文章もあった」
「『生還者は一人で生き残る者ではなく、帰る場所を最後まで残す者だ』」
それは説明のようには聞こえなかった。
むしろついさっき屋根の上に残された折り畳みナイフと青銅プレートを、遅れて別の名前で呼んでくれる文章のようだった。
そしてアデリアはそこで言葉を切った。
ほんのわずか。
本当に短い沈黙だった。
ところがその短さが、むしろ妙だった。
マヤが先に目を細めた。
「その顔なに」
アデリアは手にした薄い書類綴りを一度閉じ、また開いた。
それでもすぐには言葉を続けなかった。
普段の彼女ならすでに結論から切って言っていただろうに、今回は珍しく言葉を選ぶ表情だった。
エリンもそれにすぐ気づいた。
「まだ何かあるのね」
アデリアは小さく舌先を押した。
「あるにはあるが…」
「まだ調査が足りない」
リナが顔をしかめた。
「なんで途中で言うのやめるの」
「確かでないことを確かなことのように言えば判断を壊すからだ」
アデリアの声は低かったが、軽くはなかった。
彼女は棚の上に書類綴りを置き、ランプの灯りの下で古いページ一枚を指で押さえた。
「生還者に関する記録は、そもそも少なすぎる」




