表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/138

第87話

ギルドまで歩いて入っていく間、人々は何度も振り返った。


血をかぶった若い冒険者が一人。


肩を負傷した中継所管理者が一人。


足を引きずる伝令が一人。


そして後ろに縄で縛られ、ずるずる引きずられてくる密輸業者が一人。


絵面だけなら、なかなか騒がしく、なかなか立派だった。


リナが好きそうな絵だった。


実際、ギルドの扉を開けると、真っ先に飛び出してきたのもリナだった。


「レオオオン!」


彼女は駆け寄りかけて、オーウェンとキース、縛られた密輸業者、そしてまたレオンの顔を順に見て、目を輝かせた。


「わあ。」


「すごくたくさん拾ってきたね!」


マヤがすぐ後ろで足を止めた。


「ちょっと待って。」


「本当に一人で全部やったの?」


エリンはレオンの目元と肩の状態を見るなり顔をしかめた。


「またあちこち裂けてる。」


セラは一言も言わず、レオンに近づいた。


彼女の視線はいつもそうだったように、最初に傷を読み、それからようやく顔を見た。


レオンはばつが悪そうに笑った。


「はい。」


「ただいま戻りました。」


セラはとても短く尋ねた。


「完遂したか。」


レオンは後ろを振り返った。


オーウェンが苦しげに頭を下げた。


「烽火……」


「再点火完了。」


キースが歯を食いしばって言った。


「帳簿袋回収……」


「密輸業者は一人生け捕り。」


「残り三人は中継所に縛っておいた。」


レオンは最後に、手に持っていた依頼文をアデリアのほうへ差し出した。


「そして私は生きて戻りました。」


それまで内側から状況を見ていたアデリアが、ゆっくり前へ歩み出た。


彼女はオーウェンの状態を見渡し、キースの脚を見て、縛られた密輸業者の手首の結び目とレオンの肩の血、最後に回収された封印郵便の袋まで順番に確認した。


一つも見落とさない視線だった。


ギルドホールが少し静かになった。


アデリアが口を開いた。


「報告。」


レオンは一度息を整え、西の道の罠から中継所の状況、貯蔵庫の生存者二人、密輸業者四人の制圧、そのうち一人生け捕り後に直接連行、残り三人は中継所で拘束して回収待ち、烽火再点火、帰路の待ち伏せまで、できるだけ短く明瞭に話した。


途中でリナが二度ほど『本当に一人で?』


と言って割り込み、マヤは密輸業者の数を数えながら舌打ちし、エリンは『だからまた殴られたんでしょ』とつぶやいたが、アデリアは最後まで遮らなかった。


すべての言葉を聞き終えてから、彼女はゆっくりうなずいた。


「よし。」


その一言にリナが真っ先に笑った。


「お。」


「これ、本当にいい『よし』だ。」


アデリアはレオンの前まで歩いてきた。


彼女の手には、昨日見たあの古い文様のプレートがもう一つあった。


ただし今回のものは、縁に細い青銅色の線が一本巡っていた。


「レオン。」


「はい。」


「灰岩中継所の単独確認、生存者回収、敵対勢力一人生け捕り、現場拘束三人、烽火再点火。」


「すべて確認した。」


彼女はプレートをレオンの手のひらに載せた。


「今日付けで鉄から青銅へ上げる。」


「初昇級だ。」


レオンは今受け取った現実を、ゆっくり飲み込んだ。


とても小さく。


本当に小さく。


そしてその口元がゆっくり開いた。


「いいですね。」


リナが真っ先にわあっと声を上げ、マヤはとうとう笑い出した。


エリンはため息をつきながらも、口元が少し緩み、オーウェンは壁にもたれたまま疲れたように笑った。


キースはいまだ信じられないという顔で、レオンとプレートを交互に見た。


セラだけが最後まで静かだった。


彼女はレオンの手に新しく載せられたプレートを見て、それからレオンの顔を見た。


そしてとても短く言った。


「よくやった。」


レオンはその一言に、少しだけ笑みが止まった。


それは昇級の通知より深く入ってきた。


彼は結局笑った。


「はい。」


アデリアはそこで終わらせなかった。


「だが勘違いするな。」


レオンが顔を上げた。


「はい?」


「昇級は終わりではなく始まりだ。」


「そしてお前のクラスは古いぶん目立つ。」


「今日一人で生きて戻ったことで、より多くの連中がお前に目をつけるかもしれない。」


よし。


やはり最後には必ず冷や水を浴びせる。


けれど今は、それが嫌ではなかった。


レオンは新しいプレートを握ったままうなずいた。


「はい。」


「分かっています。」


「本当に?」


「いいえ。」


「実は実感しているところです。」


マヤが笑い、リナはまた椅子を叩いた。


エリンはうんざりした顔で言った。


「まず治療から。」


「同意。」


セラも短く付け加えた。


「歩く前に。」


レオンはその言葉が終わった途端、急に脚の力が少し抜けるのを感じた。


あ。


よし。


これはもう、安心して力が抜けるほうだ。


彼は気が抜けたように笑った。


「はい。」


「やはり戻ってきてから緩むのですね。」


その瞬間、目の前に文言が浮かんだ。


【単独完遂確認】


【保護対象生存】


【烽火再点火】


【昇級完了】


【個人的感想:はい。一人で行ったのに、結局は帰る場所がありました】


レオンはその文言を見て、とても小さく笑った。


本当に。


それが一番よかった。


死ななかったことも。


昇級したことも。


プレートを得たことも。


全部よかったけれど。


結局、一番よかったのは、扉を押して入ったとき、自分を見る目があったことだった。


それを知っている人間は、もう少し遠くまで行く。


生還者とは、たぶんそういう名前だった。


死なない人間ではなく。


戻るべき場所を持つ人間。


レオンは新しいプレートを手の中で一度転がして言った。


「よし。」


リナがすぐに反応した。


「今度はまた何が?」


レオンはぱっと笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ