第87話
ギルドまで歩いて入っていく間、人々は何度も振り返った。
血をかぶった若い冒険者が一人。
肩を負傷した中継所管理者が一人。
足を引きずる伝令が一人。
そして後ろに縄で縛られ、ずるずる引きずられてくる密輸業者が一人。
絵面だけなら、なかなか騒がしく、なかなか立派だった。
リナが好きそうな絵だった。
実際、ギルドの扉を開けると、真っ先に飛び出してきたのもリナだった。
「レオオオン!」
彼女は駆け寄りかけて、オーウェンとキース、縛られた密輸業者、そしてまたレオンの顔を順に見て、目を輝かせた。
「わあ。」
「すごくたくさん拾ってきたね!」
マヤがすぐ後ろで足を止めた。
「ちょっと待って。」
「本当に一人で全部やったの?」
エリンはレオンの目元と肩の状態を見るなり顔をしかめた。
「またあちこち裂けてる。」
セラは一言も言わず、レオンに近づいた。
彼女の視線はいつもそうだったように、最初に傷を読み、それからようやく顔を見た。
レオンはばつが悪そうに笑った。
「はい。」
「ただいま戻りました。」
セラはとても短く尋ねた。
「完遂したか。」
レオンは後ろを振り返った。
オーウェンが苦しげに頭を下げた。
「烽火……」
「再点火完了。」
キースが歯を食いしばって言った。
「帳簿袋回収……」
「密輸業者は一人生け捕り。」
「残り三人は中継所に縛っておいた。」
レオンは最後に、手に持っていた依頼文をアデリアのほうへ差し出した。
「そして私は生きて戻りました。」
それまで内側から状況を見ていたアデリアが、ゆっくり前へ歩み出た。
彼女はオーウェンの状態を見渡し、キースの脚を見て、縛られた密輸業者の手首の結び目とレオンの肩の血、最後に回収された封印郵便の袋まで順番に確認した。
一つも見落とさない視線だった。
ギルドホールが少し静かになった。
アデリアが口を開いた。
「報告。」
レオンは一度息を整え、西の道の罠から中継所の状況、貯蔵庫の生存者二人、密輸業者四人の制圧、そのうち一人生け捕り後に直接連行、残り三人は中継所で拘束して回収待ち、烽火再点火、帰路の待ち伏せまで、できるだけ短く明瞭に話した。
途中でリナが二度ほど『本当に一人で?』
と言って割り込み、マヤは密輸業者の数を数えながら舌打ちし、エリンは『だからまた殴られたんでしょ』とつぶやいたが、アデリアは最後まで遮らなかった。
すべての言葉を聞き終えてから、彼女はゆっくりうなずいた。
「よし。」
その一言にリナが真っ先に笑った。
「お。」
「これ、本当にいい『よし』だ。」
アデリアはレオンの前まで歩いてきた。
彼女の手には、昨日見たあの古い文様のプレートがもう一つあった。
ただし今回のものは、縁に細い青銅色の線が一本巡っていた。
「レオン。」
「はい。」
「灰岩中継所の単独確認、生存者回収、敵対勢力一人生け捕り、現場拘束三人、烽火再点火。」
「すべて確認した。」
彼女はプレートをレオンの手のひらに載せた。
「今日付けで鉄から青銅へ上げる。」
「初昇級だ。」
レオンは今受け取った現実を、ゆっくり飲み込んだ。
とても小さく。
本当に小さく。
そしてその口元がゆっくり開いた。
「いいですね。」
リナが真っ先にわあっと声を上げ、マヤはとうとう笑い出した。
エリンはため息をつきながらも、口元が少し緩み、オーウェンは壁にもたれたまま疲れたように笑った。
キースはいまだ信じられないという顔で、レオンとプレートを交互に見た。
セラだけが最後まで静かだった。
彼女はレオンの手に新しく載せられたプレートを見て、それからレオンの顔を見た。
そしてとても短く言った。
「よくやった。」
レオンはその一言に、少しだけ笑みが止まった。
それは昇級の通知より深く入ってきた。
彼は結局笑った。
「はい。」
アデリアはそこで終わらせなかった。
「だが勘違いするな。」
レオンが顔を上げた。
「はい?」
「昇級は終わりではなく始まりだ。」
「そしてお前のクラスは古いぶん目立つ。」
「今日一人で生きて戻ったことで、より多くの連中がお前に目をつけるかもしれない。」
よし。
やはり最後には必ず冷や水を浴びせる。
けれど今は、それが嫌ではなかった。
レオンは新しいプレートを握ったままうなずいた。
「はい。」
「分かっています。」
「本当に?」
「いいえ。」
「実は実感しているところです。」
マヤが笑い、リナはまた椅子を叩いた。
エリンはうんざりした顔で言った。
「まず治療から。」
「同意。」
セラも短く付け加えた。
「歩く前に。」
レオンはその言葉が終わった途端、急に脚の力が少し抜けるのを感じた。
あ。
よし。
これはもう、安心して力が抜けるほうだ。
彼は気が抜けたように笑った。
「はい。」
「やはり戻ってきてから緩むのですね。」
その瞬間、目の前に文言が浮かんだ。
【単独完遂確認】
【保護対象生存】
【烽火再点火】
【昇級完了】
【個人的感想:はい。一人で行ったのに、結局は帰る場所がありました】
レオンはその文言を見て、とても小さく笑った。
本当に。
それが一番よかった。
死ななかったことも。
昇級したことも。
プレートを得たことも。
全部よかったけれど。
結局、一番よかったのは、扉を押して入ったとき、自分を見る目があったことだった。
それを知っている人間は、もう少し遠くまで行く。
生還者とは、たぶんそういう名前だった。
死なない人間ではなく。
戻るべき場所を持つ人間。
レオンは新しいプレートを手の中で一度転がして言った。
「よし。」
リナがすぐに反応した。
「今度はまた何が?」
レオンはぱっと笑った。




