第78話
今使われている共用文より、はるかに荒く直線的な筆致。
だが翻訳注は下に付いていた。
アデリアが声に出して読んだ。
「生還者。」
レオンがそのまま固まった。
老人が低く付け加えた。
「開拓戦争末期、辺境崩壊期、集団撤退戦でのみまれに確認された廃棄クラス。」
アデリアがさらにページを読んだ。
「主な特性。」
「極限の受難の蓄積を戦闘力へ転換。」
「侮り、侮辱、負傷、劣勢、崩壊地形で反応上昇。」
「味方保護時に増幅。」
「定型化された戦闘姿勢より、破損した戦場への適応性が優位。」
レオンが口を開いた。
「少し待ってください。」
アデリアは読み続けた。
「備考。」
「一般的な剣士、戦士、魔法使いと違い、『耐えること』そのものが燃料となる特殊事例。」
「記録数が少なく、平時には役に立たない者と誤認されやすい。」
ごく短く、とても濃い静寂だった。
レオンは自分の胸をゆっくり指した。
「私ですか?」
老人がうなずいた。
「お前だ。」
「私の正式クラスが……」
「生還者?」
「そうだ。」
「それがクラス名なのですか?」
「そうだ。」
レオンはしばらく何も言えなかった。
不思議だった。
剣士のように格好よくもなく、武闘家のように華やかでもなく、魔法使いのように輝いてもいない。
なのに妙に、不思議に、恐ろしいほどよく合っていた。
生き残る奴。
転がっても帰ってくる奴。
壊れても、必ず立つ奴。
格好よく勝つ人たちの隣で、いちばん汚い泥を踏んでも最後には帰ってくる人間。
生還者。
その単語が、レオンの内側のどこかへ沈み込んだ。
ずっと昔からそこにあったかのように。
彼は小さな声でつぶやいた。
「いいですね。」
アデリアが視線を上げた。
「何が。」
レオンはまだページを見ていた。
「今まで私が変なのだとばかり思っていたのですが、一度くらいは世界のどこかにあった変さだということです。」
それは笑い話のように聞こえるかもしれなかったが、部屋の中の誰も笑わなかった。
なぜならそれは冗談ではなく、名前のない人間が自分の場所を見つけるときに出る声だったからだ。
老人が咳払いをした。
「まだ確定ではない。」
「最後の確認が残っている。」
レオンが顔を上げた。
「また殴られますか?」
「少しな。」
「嫌ですね。」
「それでもやる。」
アデリアはすでに記録室の一角にある空いた場所を片づけていた。
古い木人形が三体取り出された。
一つは正面攻撃用。
一つは側面奇襲用。
一つは後方の保護対象役だった。
実に誠実なことに、ギルドは人を困らせる装置まで保管していた。
アデリアが自ら木剣を取った。
「よし。」
「普段通りに動け。」
「ただし後ろの人形は守れ。」
「普段通りというのが、いちばん不安な指示ではありませんか?」
「始める。」
早すぎた。
アデリアの初撃は、試験らしくないほど鋭かった。
レオンは避けようとして遅れた。
木剣が肩をとんと打って通り過ぎた。
痛い。
ほんの少し。
だがその少しが、体の内側のどこかに触れた。
二つ目は側面の人形から揺れる刃物の模型。
レオンは防ごうとして足を踏み外した。
台の角をまた踏んだ。
本当に仇のように、その場にそのままあった。
「おっと。」
また転んだ。
アデリアが低くつぶやいた。
「いい。」
レオンは床を転がりながら自分の耳を疑った。
「今のその『いい』は、非常に危険な意味に聞こえるのですが。」
だがすでに体が反応していた。
転んだ位置がむしろよかった。
側面人形の攻撃線の下を、体がきれいに抜け、正面の木剣は空をかすめた。
レオンはそのまま後ろの人形の前へ低く入り、自分の剣を下から上へ弾き上げた。
かつ。
正面人形の首が回った。
続いて体をひねり、手首を打つ。
とん。
側面人形の腕が外れた。
そして最後、背後の保護人形へ向かってきたアデリアの剣に、身を投げるようにして立ちはだかる。
ひどい姿勢だった。
本当に見栄えの悪い姿勢。
だが止まった。
止め、すぐにつながった。
レオンは自分でも気づかないまま低く息を吐き、木剣を押し込んだ。
アデリアの剣先が半寸ほど押された。
三人とも止まった。
木人形三体のうち二体は半ば壊れており、一体はレオンの背後で無事だった。
老人が帳簿を閉じた。
ぱたん。
「確定だ。」
レオンはまだ息を整えていた。
アデリアが木剣を下ろした。
「正式クラス、生還者。」
それは記録室の埃に乗って静かに広がった。
高い窓の隙間から差し込んだ光が、ページの上の古い文字をなめた。
生還者。
とても古く、今ではほとんど誰も口にしなくなった名前。
だが今この瞬間だけは、不思議と鮮明だった。
レオンはぼんやり立っていたが、やがて尋ねた。
「ところで……」
「なぜ消えたのですか?」
老人が先に答えた。
「平和が長くなると忘れられる類いがある。」
アデリアが続いた。
「それに、こういうクラスは平時には歓迎されなかっただろう。」
「まともなときは曖昧で、すべてが崩れるときだけ真価を出すからな。」
老人が鼻で笑った。
「そのうえ、生き残る奴はいつも少なく、記録はさらに少ない。」
「英雄は歌に残るが、最後まで死なずに戻ってきた人間はたいてい酒場で冗談のようにだけ残る。」
それは不思議とレオンらしいと感じられた。
彼はふっと笑った。
「いいですね。」
「私に似合っています。」
「歌より酒場です。」
アデリアが言った。
「笑い事だけではない。」
「なぜです?」




