第76話
『劣勢時に反応上昇。』
『保護対象隣接時、戦闘貢献度が急上昇。』
『負傷後、むしろ成功率が上昇。』
『転倒後、打撃精度が異常。』
『現行系統と不一致。』
レオンはしばらくそれを見てから、とてもゆっくり言った。
「文章にすると、なかなか人間ではないように見えますね。」
アデリアが淡々と受けた。
「だから今それを確認する。」
「正式クラスをですか?」
「ああ。」
彼女は少しペンを置き、レオンをまっすぐ見た。
「昨日受け取った北部の報告を最後に、記録は十分に積み上がった。」
「戦闘判定も明瞭で、お前の体に残った反応もまだ消えていない。」
「休息二日目の今日がいちばんいい。」
レオンは少し笑みを引っ込めた。
アデリアの言うことは正しかった。
今のレオンの体には、まだ北部の匂いが残っていた。
傷は治りきっておらず、肋骨は大きく息をすると痛み、肩にはまだ薬草の匂いが染みていた。
戻ってきたとはいえ、完全に日常へ沈み込んだ体ではなかった。
もっとも正確に測るなら、もしかすると今が正しかった。
アデリアが言った。
「お前の位置は曖昧だ。
セラのパーティーの中ではすでに戦力で、現場では中核対応者扱いを受けている。
だがギルドの帳簿上では、いまだに臨時協力に近い。」
レオンは頭をかいた。
「聞いてみると、紙の上で私は半分幽霊みたいですね。」
「生きているのに欄がない奴だ。」
「その表現のほうが痛いのですが。」
「だから今日は欄を作る。」
それは短かったが、妙によかった。
欄を作る。
居場所を作る。
初めて名前を得た日のことが浮かんだ。
レオン。
発音しやすい名前一つ。
その名前のおかげで、自分を呼べるようになった日。
欄というものも、もしかすると似たようなものなのかもしれなかった。
レオンは少し表情を静めて、うなずいた。
「わかりました。」
「ところで……」
「今までできなかったのはなぜですか?」
アデリアは率直だった。
「合わなかったからだ。」
「はい。」
「それに、お前の戦い方がとんでもなく説明しづらいからだ。」
「それは認めます。」
「剣士を当てると剣士たちが眉をひそめ、弓使いに入れようとすると姿勢がめちゃくちゃで、魔法使いと見るには魔力量が悲惨で、探索者というには隠密ではなく、特殊系統へ外すには基準そのものが足りなかった。」
レオンは少し考えてから尋ねた。
「魔力量が悲惨というのは、公式文ですか?」
「違う。」
「よかったです。」
「私の個人的感想だ。」
「それはまったくよくありません。」
アデリアはかすかに口元を動かした。
笑ったようでもあり、そうでないようでもあった。
そのとき奥の扉が開いた。
入ってきたのは、ギルド鑑定室担当の老人だった。
顔は乾いた胡桃のようにしわくちゃで、鼻先には眼鏡が掛かっていた。
背負った小さな木箱からは、水晶、金属板、古い羽ペン、香りのする粉が入った瓶がかたかた鳴っていた。
歩く速度は遅いのに、不思議と到着は早かった。
こういう種類の老人たちは、たいてい時間とだけ親しいわけではない。
歳月全体と糸がつながっている。
彼はレオンを見るなり言った。
「こいつか。」
レオンは不服だった。
「なぜ皆さん、私を指す最初の一言がそんなにぶっきらぼうなのですか。」
老人は答えもせず、自分の箱を卓上に置いた。
「座った姿勢のまま手を出せ。」
「それと今日は落とすな。」
「私がわざと落としているみたいにおっしゃいますね。」
アデリアが横から付け加えた。
「違ったのか?」
レオンは口をつぐんだ。
いい。
今日は味方の信頼を問う日ではなかった。
たぶん。
鑑定は思ったより退屈に始まった。
水晶板一つ。
金属の輪が三つ。
手の甲に垂らす銀色の薬液一滴。
息を吸い、魔力を流し、剣を握ってみて、また素手で拳を握り、最後に軽い木の盾まで持ってみるという流れだった。
最初はレオンも少し緊張した。
だが五つ目あたりになると、そろそろ退屈になってきた。
老人が水晶板をのぞき込みながらつぶやいた。
「力は標準よりやや上。」
次の水晶。
「敏捷は普通……」
「いや、移動軌跡がなぜこうなる。」
次の金属の輪。
「魔力適性は低い。」
「低いが、特定状況では高い。」
次の薬液。
「痛みに対する耐性が異常。」
次の板。
「屈辱反応値……」
「何だこれは。」
レオンの理解は一歩遅れて到着した。
「今、非常に聞きたくない項目を聞いたようなのですが。」
老人は無視して、アデリアのほうへ紙を押した。
「現在のクラス表にはないものだ。」
アデリアが書き取った。
「続けて。」
「保護本能の数値が高い。」
「それはいい言葉のようですね。」
「いいとだけは見づらい。」
「自己防衛より先に飛び出すという意味でもあるからだ。」
「あ。」
「落下反応……」
老人が言葉を止めた。
「これはなぜ上方補正が付く?」
アデリアも紙から目を上げた。
レオンはおとなしく手を上げた。
「それは私、少しわかります。」
「言え。」
「転ぶと次の行動がうまくいきます。」
老人が眼鏡越しにレオンを見た。
「冗談か?」
「いいえ。」
「悲しいことに、かなり真剣な私の人生の一軸です。」
アデリアが短く息を吐いた。
「だから数値があの有様なのか。」
老人は後頭部をかいた。
「今のクラス表にはない。」
「こういう奴は。」
レオンは急に少し不安になった。
ない。
それは名前を得られないという意味だろうか。
欄を作れないという意味だろうか。
それとも、ただ変な奴のまま残るという意味だろうか。
彼はなんとなく、いっそう笑顔で言った。




