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第75話

「私自身です。」


「気の毒に。」


「担当者がうるさすぎる。」


レオンは不服そうな顔をしたが、反論はできなかった。


事実だった。


そのとき扉を叩く音がした。


こんこん。


マヤが顔も向けずに言った。


「開いてるよ。」


扉の隙間から顔をのぞかせたのは、ギルドの使い走りの少年だった。


まだ声変わりも終わっていない顔なのに、こういう子どもたちは不思議といつもいちばん早く知らせを運び回る。


都市の雀は翼で動き、ギルドの雀は足で動くという言葉があるのも無理はなかった。


少年は息を整えもせずに言った。


「レオンさん。」


「支部長がお呼びです。」


レオンが目を瞬かせた。


「私をですか?」


「はい。」


「今すぐにと。」


レオンは少し窓の外を見た。


都市は確かに平和そうに見えた。


だから余計に不吉だった。


彼はとてもゆっくり自分の胸を指した。


「もしかして私と同じ名前の、まともで立派な誰かが他にいたりしませんか?」


少年がきっぱり首を横に振った。


「いいえ。」


「転ぶレオンさんで合っているそうです。」


マヤがついに吹き出した。


「ぷっ。」


レオンは傷ついた。


「ギルド内で私を識別する基準が、あまりにも屈辱的ではありませんか?」


少年は困った顔で付け加えた。


「あ、それとセラのパーティー全員ではなく、レオンさんだけ先に来るようにとのことです。」


今度はマヤの笑みが少し消えた。


「レオンだけ?」


「はい。」


「クラスの話だと聞きましたけど……」


「詳しいことは私も知りません。」


クラス。


その一単語が、部屋の空気をわずかに変えた。


レオンも笑みを引っ込めた。


これまでレオンは、正式にクラスを持ったことがなかった。


セラのパーティー所属。


臨時戦力。


特殊状況対応可能。


よく身を投げる。


この程度は皆認めていたが、それがすぐギルド式の呼称になるわけではなかった。


戦士、武闘家、剣士、弓使い、槍兵、魔法使い、治癒師、探索者などなど。


世の中は人を理解するためにクラスを付けるのが好きだった。


ところがレオンは、そのクラスのどれにもきちんと入らなかった。


剣を使うには使う。


だが剣士から見るとあまりにめちゃくちゃだ。


よく体を飛ばす。


だが本人の意思と関係ない場合が多い。


守りもする。


だが姿勢が美しくない。


美しいどころか半分は転がっている。


決定的に、力が噴き出す条件が悪すぎた。


殴られ。


壊れ。


見下され。


追い詰められ。


そして誰かを背中の後ろに置いたとき。


誰が見ても教本に載せる種類ではなかった。


マヤが先に笑って肩をすくめた。


「いいよ。」


「その代わり、変だったら呼びな。」


リナがすぐ手を上げた。


「うん。」


「悲鳴を大きく上げてね。」


レオンは不服だった。


「なぜ皆さん、私がギルドの中でまで救難信号を出す前提で話すのですか?」


部屋の外の廊下のどこかから、エリンの声が飛んできた。


「戦績が派手じゃない。」




その後、リナがくすくす笑い、セラの足音もごく短く止まってからまた遠ざかった。


全員が休みの日だと言っても、結局ギルドの中に集まっているあたりが、このパーティーらしかった。


レオンはふっと笑った。


「いいでしょう。」


「では、できるだけ形を保ったまま戻ってきます。」


マヤが言った。


「うん。」


「今日は休息二日目だから、せめて半分くらいは人の形で。」


「その基準がすでに低いのですが。」


「あんたにはちょうどいいよ。」


そうして扉が閉まり、レオンは一人でギルドの奥へ歩いていった。


ギルドの建物は朝日を浴びても、なお働く顔をしていた。


広いホールにはすでに依頼書をのぞき込む冒険者たちがいて、窓口前の列はまだ長くなかったが、じきに人の匂いと不平でいっぱいになりそうな勢いだった。


掲示板には新しい紙が貼り足されていて、訓練場のほうからは木剣がぶつかる音と誰かのうめき声がリズムのように流れてきた。


世界は誰かの秘密と血と危機を一晩かけて噛み砕き飲み込んでも、朝になれば何事もなかったように次の仕事を差し出す。


だからギルドはいつも妙に薄情で、妙に頼もしかった。


レオンが奥へ入ると、受付台の奥に座っていたアデリアが顔を上げた。


彼女は今日も乱れがなかった。


書類をめくる手は薄い刃のように整っていて、灰色がかった髪はしっかり結ばれていた。


眼差しはいつものように落ち着いていたが、その落ち着きが時には人をいっそう緊張させた。


嵐より怖いのは、数字をすべて数えている人間の表情であることがある。


アデリアが言った。


「来たか。」


レオンは丁寧に頭を下げた。


「呼ばれて来ました。」


「知っている。」


「そうですか。」


「座れ。」


「もう怖いです。」


「座れ。」


きっちり二度言わせる人間は、たいてい長く生きられない。


あるいは長く生きたとしても、周囲の神経を削り取る。


レオンは自分が後者に少しかかっていることを否定しなかった。


彼が席に着くと、アデリアはすでに用意していた書類綴りを一つ押し出した。


分厚かった。


非常に分厚かった。


レオンはそれを見て本気で言った。


「私はそこまで多くの事故を起こしましたか?」


アデリアが淡々と答えた。


「まだ全部まとめてもいない。」


「いいですね。」


「高く評価されていますね。」


「褒めていない。」


「はい。」


彼女は書類綴りの一枚目を開いた。


そこには北部遠征中の戦闘記録、個別証言、現場判定メモがびっしり詰まっていた。


廃礼拝堂交戦。


運搬作戦。


辺境伯城攻防。


秘密金庫突入。


そしてレオンの名前の横には、驚くほど頻繁に似た言葉が繰り返されていた。

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