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第71話

「何よ、それ褒めてるの?」


「受け取る側の自由。」


マヤは結局顔をそむけて笑い、エリンもため息なのか笑いなのかわからない息を吐き出した。


セラは何も言わなかったが、口元がごくわずかに動いた。


いい。


都市へ戻ってきたという実感は、やはりこういうところで湧く。


剣ではなく言葉が行き交い、血の匂いの代わりにインクの匂いがして、そして誰かが実に淡々と「ご苦労だった」と言ってくれるところで。


アデリアはまた実務モードに戻った。


「よし。」


「当面のギルド側の対応は三つだ。」


「一つ目、北部と行き来する書類と物資の流れを確認すること。」


「二つ目、灰色眼球会の残党追跡。」


「三つ目……」


彼女はセラのパーティーをゆっくり見回した。


「お前たちは休め。」


リナがすぐに反発した。


「ええー。」


「反発は却下。」


「でも、あたしまだ殴れるよ。」


「だから休めと言っている。」


エリンがうなずいた。


「それはそうね。」


マヤも意外なほど素直に納得した。


「うん。」


「今回は休むほうが正しいね。」


セラは短く言った。


「何日?」


アデリアは紙をめくった。


「二日。」


「そして三日目にまた来い。」


レオンはその言葉を聞いた瞬間、心の中で思った。


おお。


二日も。


それはほとんど祭りではないか。


彼の目の前に文言が浮かんだ。


【休息予定確保】


【期間:二日】


【個人的感想:はい、世界はまだ完全に悪くはないようですね】


レオンは唇の内側でつぶやいた。


「その通りです。」


アデリアがペン先で彼を指した。


「それと、お前はまず回復室へ行け。」


「やはりですか。」


「やはりだ。」


レオンはため息混じりの笑いを漏らした。


まあ。


そうなるとは思っていた。


それでも悪くはなかった。


会議室の外では相変わらず都市の騒音が聞こえ、窓の下では人々の足音が行き交い、掲示板の前では誰かが依頼内容をめぐって言い争っていた。


世界は相変わらず忙しかった。


だが今回は、その騒がしさが嫌ではなかった。


北部で守り抜いた名前と記録が、今は都市の次の物語へ移っていく。


そんな感覚があった。


アデリアは最後に報告書をまとめて一つにそろえた。


「よし。」


「今日はここで切る。」


彼女が言った。


「残りは私が整理する。お前たちは生きて帰ってきたことに満足していろ。」


リナがにやりと笑った。


「うん。」


「あたし、それ得意。」


「そう見えるな。」


マヤが椅子から立ち上がり、矢筒を背負い直した。


エリンはメモの束を折って懐に入れ、セラは短くうなずいた。


レオンもゆっくり席を立った。


もちろん肋骨はまた抗議した。


「あいた。」


アデリアがそれを見て、実に淡々と言った。


「だから回復室だ。」


「はい。」


今回は反論しなかった。


反論したところで、この人相手では意味がない。


そして正直に言えば、少し休みたくもあった。


会議室の扉を開けて出る直前、レオンは一度だけ振り返った。


机の上の報告書。


整えられたペン。


窓から差し込む午後の光。


そしてそこに座り、もう次の問題を考えているはずのアデリア。


いいな。


北部の夜明けを終えて都市の午後へ移ってきたことが、まさにあの人の顔にいちばんよく表れていた。


戦場は終わった。


これからは整理と次の手が残っている。


それも悪くない。


レオンはふっと笑った。


「戻ってきたんですね。」


彼がごく小さくつぶやいた。


マヤが扉の外で振り返った。


「今度はまた何が。」


レオンは肩をすくめようとして諦め、笑った。


「いえ。」


「ただ、ここの空気が少し懐かしいという意味です。」


リナがぱっと笑った。


「うん。」


「ここはパンの匂いがして、アデリアは毒舌で、あんたは転がる。」


「完全にうちの町だね。」


「最後のは少し抜いていただけませんか。」


「だめ。」


あまりにきっぱりしていて、かえって笑えた。


ギルドの廊下は相変わらず忙しかった。


人が行き交い、紙がめくられ、誰かは笑い、誰かは悪態をつき、誰かは次の依頼を探していた。


その真ん中をセラのパーティーが通っていった。


北部で名前を守って帰ってきた者たち。


それでも都市のほうは、何事もなかったように次の一日を回している場所。


だからいい。


よくて、少し笑える場所。


レオンは回復室のほうへ足を向けながら思った。


今日はここまでだ。


応接室も終わり、辺境伯の話も閉じ、報告も済ませた。


あとは横になるだけだ。


それはかなり立派な結末だ。


少なくとも、今日一日の終わりとしては。


休日というのは、実に不思議な言葉だ。


響きは甘い。


いざ手にしてみるとぎこちない。


特に数日前まで剣を避け、床を転がり、名前が剥ぎ取られるのを防いでいた者たちにとってはなおさらだ。


休め。


その一言は簡単なのに、体は思ったほどすぐにはその言葉を信じられない。


まだどこかで誰かが飛び出してきそうで、扉が勢いよく開きそうで、報告がもう一つ入ってきそうで、呪いの匂いが窓の隙間からまた染み込んできそうな感覚が残っている。


それでも休みは休みだ。


都市の朝は北部の夜明けとは違う流れ方をしていた。


北部が長く病んだ人がようやく目を開けた顔だとすれば、こちらは寝ぼけた商人がもう帳簿を広げている顔だった。


灰色の屋根の間から立ちのぼる煙突の煙、焼きたてのパンの匂い、市場のほうから押し寄せる声、鉄槌の音、値段をめぐって言い争う人々、街角で雑に顔だけ洗って仕事へ走る人間たち。


止まることを知らない都市。


そしてだからこそ、いっそう人の暮らす匂いがする都市。

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