第69話
レオンはうなずいた。
「その通りです。」
マヤが扉の外から振り返って尋ねた。
「今度はまた何がその通りなんだ?」
レオンは肩をすくめようとして諦め、笑った。
「いえ。」
「ただ、今日は思ったより悪く終わらなかったという意味です。」
リナがぱっと笑った。
「うん。」
「死ななかったし、食べたし、勝ったから。」
エリンが後ろからぼやいた。
「辛うじて奪われなかったって言ってるでしょ。」
「それでもいいじゃん。」
リナがとてもあっさり言った。
その言葉が妙に長く残った。
そうだ。
それでもいい。
レオンは夜明けの光が薄く差す廊下へ歩き出した。
壁ごとに掛けられた肖像画は相変わらず厳めしく、窓の外の空はまだ完全には晴れておらず、城のどこかにはまだ血と埃と眠れない夜が残っていた。
それでも足取りは、応接室へ飛び込んだ時よりずっと軽かった。
今日は名前を守った。
それだけでも十分に良い結末だ。
少なくとも、この夜半の物語としては。
街へ戻る道は、来た時より短く見えた。
もちろん錯覚だった。
道そのものが縮んだのではなく、人のほうが先に擦り減ってしまったのだ。
戦いが終わったあとの体は奇妙だ。
確かに生き残り、確かに一息つき、確かに温かいスープまで食べたのに、いざ城門を出る頃になると、そこでようやく体のあちこちから後回しにしていた抗議が押し寄せてくる。
レオンは馬の鞍の上で、とても真剣に思った。
あ。
これ、今になって本当に痛いな。
北部の夜明けの空気は冷たかった。
ベルハルト城を包んでいた灰色は少しずつ晴れていたが、城壁と塔、岩と落ち葉と濡れた土の上には、まだ夜の残滓が残っていた。
切り出した鉄片のような陽光が木々の間へ斜めに差し込み、遠くの谷の下では霧が寝坊助のように地面を引きずっていた。
振り返れば、ベルハルト城は変わらずそこにあった。
完全に無事ではなかった。
一晩中毒を吐き出した人間のように窓がいくつか乱れ、外壁のあちこちには急いで片づけた跡が残っていた。
それでも妙に、だからこそ持ちこたえた家のように見えた。
崩れなかった家。
辛うじて。
本当に辛うじて。
それでも立っている家。
リリアとエドモンド辺境伯は城門の前まで出て見送った。
リリアは昨日よりずっとしっかりした顔をしていた。
印章箱はすでに内側に預けていたが、両手はまだ何かを握っている人のように組まれていた。
エドモンドは相変わらず疲れており、老けて見え、傷も残っていたが、少なくとももう奪われた人の顔ではなかった。
長く挨拶はしなかった。
この家の人々は長い言葉をあまり好まないらしかった。
レオンはその点が気に入った。
リリアが先に頭を下げた。
「街に着いたら……」
「必ず知らせてください。」
マヤが肩に弓を掛けたまま笑った。
「うん。」
「そっちもまた崩れる前に先に送れよ。」
「そういう不吉な挨拶はちょっと……」
レオンがつぶやいた。
リナはすぐににっと笑った。
「でも本当のことじゃん。」
エドモンドはセラに向かって短く言った。
「借りは覚えておく。」
セラも短く答えた。
「依頼は終わりました。」
エドモンドはそこで一度目を伏せ、顔を上げてレオンを見た。
「レオン。」
「はい。」
「次はもう少し転がらないようにしろ。」
レオンは思わず目を瞬かせた。
そして笑った。
「できる方向で努力してみます。」
リリアがついに笑いをこらえられなかった。
いいな。
本当に。
このくらいなら、北部辺境伯領側の挨拶としては十分だった。
これ以上長く引き止めれば、余計に湿っぽくなる。
それはよくない。
今は戻らなければならない。
街へ。
ギルドへ。
そしてアデリアのいるほうへ。
帰り道の大半は、正直に言ってレオンには半分ほどよく覚えていなかった。
眠っていたからではなく、疲れすぎると記憶が薄くなる。
馬上で揺られ、揺られながらうとうとし、はっとして目を開けると森道が終わっていて、また少し経つと岩が野原に変わっている。
時々意識が戻るたび、誰かの声が聞こえた。
マヤが前方の地形を読む声。
リナが腹が減ったとぼやく声。
エリンが「うるさい」と切り捨てながらも、結局自分の言葉のほうが長くなる声。
セラが必要な言葉だけを落とす声。
そして何度かは、自分の名前も聞こえた。
「レオン。」
「はい。」
「落ちてないな?」
「まだは。」
「まだだって。」
リナがくすくす笑った。
「馬から落ちたら、それは本当に伝説だよ。」
レオンはぼんやりした意識で思った。
いや、すでに応接室の床と階段で十分伝説的だったのに。
それ以上の栄光は遠慮したい。
正午が近づく頃、木々の間からようやく街の外郭が見えた。
灰色の城壁。
屋根が層のように重なった低い建物たち。
煙の柱。
城門へ集まる荷車と人々。
遠くから聞こえてくる金槌の音と市場のざわめき。
北部辺境伯領の城が古い傷を縫った貴族の顔だとすれば、この街は忙しい人間が無理やり顔だけ洗ってまた仕事に出てきた顔のようだった。
疲れていても止まらない場所。
体面より速度が先に来る場所。
息が上がっても、飯代は稼がなければならない場所。
レオンはその姿が懐かしかった。
そうだ。
やはり自分には、こういうほうが合っている。
城門の警備兵がセラのパーティーに気づき、すぐ道を開けた。
その瞬間、実感が湧いた。
あ。
戻ってきたんだな。
本当に。
ギルドの建物は、相変わらず街の真ん中にどっしり座っていた。




