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第67話

ヘレナがその言葉を受けた。


「では私が人を回します。捕虜の分離が終わり次第、すぐに整えましょう。」


リナが勢いよく手を上げた。


「お腹すいた。」


ヘレナが短く答えた。


「知っています。」


「だから今から食べるんです。」


マヤの笑いが半拍遅れて出た。


「本当に?」


「本当に。」


ヘレナはあまりに当然のように言った。


「こういう日は、なおさら食べるべきです。


そうしないと皆さん倒れます。」


エリンが眉をひそめた。


「呪いの臭いが染みついた状態で何か食べたいとは思わないけど。」


エドモンドが低く付け加えた。


「それでも食べろ。」


「今夜を耐えた体にその程度のもてなしもできないなら、この家は本当に終わりだ。」


エリンが小さく舌打ちした。


「貴族っぽい言い方なのに、また正論だから腹立つわね。」


そうして、リリアの勧めとエドモンド辺境伯の決定、ヘレナの実務が重なる形で、一時間もしないうちに応接室のすぐ隣の小さな食堂に、なんとなく席が整えられた。


パーティーと呼ぶには滑稽だった。


天井は無事だったが窓が一枚ひび割れ、食卓布は急いで替えたのがわかり、皿は種類がばらばらだった。


銀食器は一組消え、燭台はひとつ曲がっており、椅子は数が合わず、中には応接室から引いてきたように脚の長さまで違うものもあった。


それでも料理は出た。


温かいスープ。


冷めた肉を温め直した皿。


固まりかけのパン。


急いで出したチーズ。


果物の漬け物。


そして、なかなかそれらしい葡萄酒まで。


大きな家の底力というのは、たいていこういうところに表れる。


人が裏切り、剣が行き交い、呪いが染み込んでも、厨房はどうにか何かを出してくる。


レオンは席に座った途端、本気で思った。


わあ。


座るだけで幸せだ。


彼の目の前に文言が浮かんだ。


【椅子着席成功】


【個人的感想:はい、今日最高の成果かもしれません】


レオンはつぶやいた。


「それは少し認めます。」


マヤがスープをすくいかけて笑った。


「ついに椅子にも感動するんだな。」


「今日は床と妙に仲がよかったので。」


リナはもう三切れ目のパンをちぎっていた。


「うん。」


「見てた。」


「すごく仲良かった。」


「観察があまりに正確です。」


セラは葡萄酒の代わりに水を手にした。


彼女はいつものように、食べる量も速度も静かだった。


しかし静かだからといって、存在感が消える人ではなかった。


むしろ逆だった。


食卓が騒がしくなるほど、セラの沈黙はよりくっきりする。


エドモンド辺境伯も席に着いた。


リリアは最初は最後まで立っていようとしたが、辺境伯が低く「座れ」と言うと、ようやく静かに椅子を引いた。


その一場面が少しおかしかった。


さっきは裏切り者を宣告していた子が、叔父の一言ではすぐ座る。


まあ、そういうのも家族なのだろう。




しばらく食卓には匙の音と器の音だけが行き交った。


その沈黙は気まずくなかった。


むしろ必要だった。


人が戦ったあとに真っ先にすることは、たいてい言葉ではなく噛むことだから。


生きていれば腹が減る。


腹が減れば食べる。


それはとても平凡で、とても強い証拠だ。


生きているという証拠。


リナが最初にその平和を破った。


「おいしい。」


ヘレナがメモ用紙から目も離さずに言った。


「それは何よりです。」


「いや、本当に。」


「私、さっき応接室であと二人くらい殴るべきか考えてたけど、今はただ食べたい。」


マヤがスープを飲み込んで言った。


「それはお前基準だと、かなり平和な状態だな。」


エリンが疲れた顔でパンをちぎった。


「私は今でも殴られた呪式の顔がちらつくんだけど。」


「それは職業病だろ。」


「職業病よ。」


エリンは素直に認めた。


「だから余計に腹が立つの。」


ヘレナは黙って、食卓の片側に広げたメモ用紙に何かを書いていた。


食べながらも書く。


本当に大した人間だ。


レオンがそれを見て尋ねた。


「今も整理中ですか?」


ヘレナが答えた。


「今書かなければ、あとで記憶が乱れます。」


「あ。」


「はい。」


「おっしゃる通りですね。」


正しい言葉だった。


正しすぎて、むしろ自分は絶対にああはできないと思うほどに。


エドモンド辺境伯はしばらくほとんど食事をせず、葡萄酒の杯だけを一度傾けた。


隣のリリアが、皆がちゃんと食べているかを何度も確認するのを静かに見てから、とてもゆっくり口を開いた。


「セラ卿。」


セラが視線を上げた。


「今日のこと、ベルハルト家は借りとして記憶する。」


言葉が重かった。


その重みが、食卓の上のスープの匂いとパンくずの間にぽとりと落ちた。


セラは少し沈黙してから答えた。


「依頼を受けただけです。」


「それでも借りは借りだ。」


短く固い問答だった。


レオンはそれを聞いて、内心つぶやいた。


いいな。


長くならなくて、さらにいい。


エドモンド辺境伯は今度はレオンを見た。


その視線が来ると、レオンはなんとなく背筋を少し伸ばし、すぐ肋骨の抗議を聞いて顔をしかめた。


エドモンドが言った。


「レオン。」


「はい。」


「お前が今日したことは無謀だった。」


「よくわかっています。」


「そして有効だった。」


レオンは思わず目を瞬かせた。


リナがすぐに笑い出した。


「わあ。」


「ものすごく貴重な褒め言葉だ。」


マヤも口元を上げた。


「うん。」


「それは認める。」


レオンは咳をするように笑った。


「ありがとうございます。」


「生きてきて聞いた評価の中で、いちばん私らしい気がします。」


エドモンドの口元がほんの一瞬動いた。

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