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第66話

崩れる時も一度には崩れず、生き残る時も一度には安心できない。


屋根ひとつが持ちこたえたから終わりではなく、柱の一本一本に手を置いて一つずつ確かめなければならない。




ベルハルト城も、今まさにその状態だった。


応接室で捕虜が整理され、金庫扉が仮封印され、廊下側の残党まで片づけられてから、レオンたちはようやく一息つくことができた。


もちろん、一息ついたからといって体がきれいになるわけではなかった。


レオンは脇腹を押さえたまま壁に寄りかかって立っていた。


肋骨は相変わらずずきずきし、肩は露骨にきしみ、額は二度も他人の顔にぶつけた代金をとても律儀に請求してきていた。


彼の目の前に文言が浮かんだ。


【戦闘後続精算中】


【使用者状態:どうにか立っている破損品】


【個人的感想:はい、表現は荒いですが否定できません】


レオンは唇の内側でつぶやいた。


「その通りです。」


マヤがすぐに聞きつけた。


「また浮かんでるのか?」


「はい。」


「今日もかなり率直な評価が下されました。」


リナが隣でくすくす笑った。


「破損品って、ぴったりじゃん。」


「なぜ皆さん反論してくださらないんですか。」


エリンが金庫扉に最後の封印を乗せながらぼやいた。


「反論する根拠がないから。」


このパーティーは人を助ける時は見事に助け、からかう時は一寸の慈悲もなかった。


それでも、まあ。


生きているから、からかわれもするのだ。


なら今日は、それで十分だった。


マルセラと灰色マントの男は、すでに引きずられて別々の部屋に閉じ込められていた。


エドモンドの指示の下、ヘレナとブリダが捕虜を別々に分けた。


一緒にしておけば口裏を合わせるか、自傷術式をまた使うか、あるいは互いを殺すか、その三つのうち一つは必ず起きるという判断だった。


とても現実的な判断だった。


だからよかった。


ヘレナは金庫から取り出した書類を種類ごとに分け直していた。


系譜原本。


印章関係文書。


封印庫出納記録。


損傷本。


汚染本。


隔離本。


その手つきには驚くほど迷いがなかった。


リリアはその隣で印章箱を両手で抱えたまま、一つ一つ目で確認していた。


目の下は疲れており、耳はまだ完全には落ち着かず、肩にも力が入っていたが、それでも手は震えていなかった。


さっきまで逃げていた顔だったのに。


今はまったく違う。


レオンはそれを見て、ふっと笑った。


いいな。


本当にいい。


セラは応接室の窓辺に立っていた。


剣はもう収めていたが、体はまだ収めていない顔だった。


戦いが終わったあとでも、いつでも再び動けるように立つ人の姿勢。


それが応接室に残った最後の刃のようだった。


エドモンド辺境伯はしばらく何も言わなかった。


彼は暖炉の前、少し前までマルセラが立っていた場所をじっと見ていた。


古い貴族の顔だった。


疲れていて、血も流し、老けて見えた。


だがその老いは崩れた老いではなく、今日一日だけで数十年分をさらに生きた人間の老いのようだった。


彼が口を開いたのは、応接室の中が一度すっかり息を潜めたあとだった。


「ヘレナ。」


「はい。」


「文書の損傷具合は?」


ヘレナが短く答えた。


「最悪は避けました。


汚染本は隔離しました。


系譜原本は一部の端だけが焼け、印章箱は無事です。」


エドモンドはゆっくりうなずいた。


「よし。」


「やはり内城警備をお前の手に任せておいた甲斐はあるな。」


とても短い一言だった。


けれどその一言が、応接室に残った人々の肩を少しずつほどいた。


終わってはいない。


完全には奪われていない。


少なくともそれは確認できたから。


エドモンド辺境伯は静かにリリアを見た。


「リリア。」


彼女はすぐに姿勢を正した。


「はい、叔父様。」


「印章箱はお前が持ち続けろ。」


リリアは驚いた表情になった。


「私がですか?」


「今日、それを最後まで離さなかったのはお前だ。」


言葉は短かったが、重みは長かった。


リリアの耳がほんの少し震えた。


目が大きくなり、すぐに下へ伏せられた。


泣きはしなかった。


代わりに、涙の代わりに耐えると決めた人のように唇を押さえた。


「はい。」


彼女が低く言った。


「今度は絶対に離しません。」


エドモンドはその答えに、それ以上何も言わなかった。


ただ一度、とてもゆっくりうなずいた。


レオンは内心思った。


あ。


内城警備側の人だったのか。


どうりで強いと思った。


説明より確認が早く、確認より整理が早い顔だった。


これで終わったな。


少なくともこの二人の間では。


説明もなく、説教もなく、大げさな和解もない。


ただ任せる。


受け取る。


そして終わり。


それがむしろ、より貴族らしく、より本物らしかった。


リリアが印章箱を抱えたまま、慎重に口を開いた。


「叔父様。」


エドモンドが視線を下ろした。


「どうした。」


「皆さん……」


「まだまともに息もつけていません。」


リリアが低く言った。


「このまま散らせたら、今日を乗り切ったのに皆さん倒れてしまいそうです。」


少し沈黙が流れた。


エドモンドは冷えた応接室の空気を一度ゆっくり見回し、短く言った。


「そうだな。」


そして今度はセラのパーティーとヘレナのほうへ顔を上げた。


「粗末でも構わん。」


「食卓を用意する。」


言葉が短いぶん、さらに固かった。


リリアもすぐに頭を下げた。


「私が準備させます。」


「大げさでなくて構いません。」


「温かいものだけでも……」

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