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第65話

エドモンド辺境伯も金庫扉の内側から歩いて出てきた。


疲れていて、老けて見え、血も流していたが、その瞬間だけは再びこの家の主に見えた。


彼はマルセラをまっすぐ見て言った。


「お前の計算は終わった。」


短い一言だった。


だが、一つの家門の扉が閉じる音のようだった。


その静寂を破ったのは、意外にもリナだった。


彼女は周囲を一度見回すと、とても真剣に言った。


「でもこの応接室、修理費すごくかかりそう。」


全員が少しだけ彼女を見た。


マヤが結局吹き出した。


「今、それが先か?」


リナは鈍器を持ったままうなずいた。


「大事じゃん。


テーブルも飛んだし、燭台も壊れたし、壁もへこんだし、レオンもまた転がったし……」


レオンがまだ男の上に乗ったままつぶやいた。


「なぜ私が家具一覧に入るんですか。」


エリンが低くため息をついた。


「物より手がかかるから。」


ヘレナはため息に似た息を吐いた。


笑ったのかどうか曖昧だった。


セラだけがとても短く、本当に短く口元を上げた。


それだけで応接室の空気が少し緩んだ。


だが完全にではなかった。


灰色マントの男は生きている。


マルセラも生け捕りにした。


金庫の文書も守り抜いた。


それなら十分だった。


少なくとも今日の明け方、この応接室でやるべきことは終わった。


レオンはゆっくり切っ先を下ろし、部屋の中を一度見回した。


セラ。


マヤ。


リナ。


エリン。


リリア。


エドモンド。


ヘレナ。


そして縛られたり倒れたりしている敵たち。


多い。


本当に多い。


けれど今は不思議と、その多くの顔の中に自分の居場所が見えた。


以前のように拾われた側ではなく、内側まで入り込んで一緒にぐちゃぐちゃになった側。


だから彼はまた笑った。


本当に笑える朝ではないのに。


なぜなら、このくらいになればわかる。


これほどぐちゃぐちゃになってもまだ終わっていないということは、少なくともここまでは生き残ったという意味だから。


彼の目の前に文言が浮かんだ。


【応接室交戦終了】


【主要裏切り者生け捕り】


【主要敵対者生け捕り】


【金庫汚染部分遮断】


【個人的感想:はい、少なくとも生きてはいますね】


レオンは唇の内側でつぶやいた。


「予想よりは悪くありません。」


ヘレナが短く息を整えてから言った。


「いいでしょう。」


「息をつくのは三呼吸だけ。」


「そのあとは捕虜の分離、文書整理、負傷確認です。」


彼女は少しレオンを見下ろした。


まだ灰色マントの男の上に中途半端に乗ったまま、息を荒げているレオンを。


「それから、あなたはもう降りなさい。」


レオンは少し考えた。


そしてとても真剣に尋ねた。


「私が降りたら、こいつがまた暴れる可能性はありませんか?」


エリンが冷静に答えた。


「私が凍らせておいたから、半分くらいは大丈夫。」


リナがにっと笑った。


「残り半分くらいは私が殴ればいいし。」


灰色マントの男の顔が少しこわばった。


レオンはそれを見てうなずいた。


「いいですね。」


「では信じて降ります。」


彼はゆっくり体を起こした。


すると肋骨がすぐ抗議した。


「いたた。」


マヤが呆れたように首を振った。


「さっき格好つけるだけつけておいて。」


レオンは笑って返した。


「結果が格好よければ、過程は多少みっともなくてもいいのでは。」


セラが短く言った。


「そうだ。」


その一言にレオンは少し止まり、結局笑いをこらえられなかった。


応接室はめちゃくちゃだった。


ティーカップは割れ、絨毯は血と水で濡れ、暖炉の前では裏切り者が捕まえられており、金庫扉は半ば黒く焦げていた。


部屋は貴族らしい体面を完全に失っていた。


けれど、だからこそむしろ本物に見えた。


家門という名前が何によって支えられるのか。


笑顔ではなく、結局、誰が最後まで持ちこたえ、誰が最後に書類を抱えて出てくるのかで決まるのだということを。


リリアは印章箱をしっかり抱えて立っていた。


兎耳はまだ震えていたが、目はもう逃げていなかった。


エドモンド辺境伯はその隣に静かに立った。


彼はそれ以上長くは言わなかった。


ただ一度、ゆっくり応接室を見回してから低く言った。


「今日はここまでだ。」


その短い言葉が部屋全体を閉じた。


リリアがとてもゆっくりうなずいた。


ヘレナは城内の生存警備兵たちに、捕虜を引き受けろと手振りした。


ヘレナは金庫扉の前に残り、最後の墨縄の痕跡を確認した。


エリンは相変わらずぼやきながらも手を止めなかった。


マヤは弓弦を緩め、リナは鈍器を肩に担いだまま、まだ灰色マントの男をもう一度殴りたいという顔をしていた。


セラは剣を完全には納めていなかったが、少なくとも終わりを見た目をしていた。


そしてレオンは、その真ん中に立っていた。


血のついた絨毯の上。


割れたティーカップの間。


笑顔で毒を飲ませていた部屋が、ようやく毒を吐き出した明け方の真ん中。


いい。


このくらいなら十分だ。


今日は名前を守った。


裏切り者を捕まえた。


ろくでもない奴も寝かせた。


なら、それでいい。


少なくとも、この応接室の物語は。


レオンは音もなく笑った。


「はい。」


「これでいいです。」


戦いが終わったあとの屋敷は、妙なほど静かだった。


いや、静かなふりをしていた。


廊下の向こうではまだ誰かが走っており、遠くでは扉の閉まる音が聞こえ、使用人たちが低く息を潜めた声で互いを呼んでいた。


血を拭う水音もした。


壊れた家具を片づける鈍い音も、時折混じった。


大きな家というのは、もともとそういうものだ。

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