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第6話

ある夕方、五人は宿屋の二階の窓際に座っていた。


窓の外では都市の灯りが一つ、また一つとともり、屋根は闇の中でおとなしく沈んでいく黒い船のように見えた。


路地の下では酔っぱらいの歌がめちゃくちゃに流れ、遠くの広場では遅くまで店を出していた商人が最後の蝋燭を片づけていた。


荒いが、生きている風景だった。


レオンはスープの器を持って窓の外を見た。


「考えてみると不思議ですね」


マヤが首をかしげた。


「何が?」


「最初に来たときはゴミの山で目を覚ましたのに、今はここで飯を食べています」


「人間の上昇幅がなかなか大きいです」


リナがパンを噛みながらけらけら笑った。


「次は王様になるんじゃない?」


レオンは真剣に首を振った。


「それは忙しすぎると思います」


エリンが杯を置いた。


「立派な判断だね」


セラは少し窓の外を見てから、ほんの少し口元を上げた。


「次の依頼は北の山道だ」


「魔物討伐」


レオンはうなずいた。


「いいですね」


「では私は引き続き転びます」


マヤが腹を抱えた。


「それを戦術みたいに言わないで」


レオンは笑った。


「今ではなかなか強い戦術です」


するとリナが手を上げた。


「じゃあ私が先に転ばせてあげようか?」


「それは仲間思いではなく実験精神ではありませんか?」


「両方だよ」


その返事が早すぎて、レオンは一瞬言葉を失った。


そしてすぐ、皆がまた笑った。


その笑いは、大きな英雄譚の終わりに似合う荘厳な鐘の音とは程遠かった。


むしろ、飲み干した麦酒の杯が触れ合うときの軽い音、埃っぽい窓の隙間から入る夜風、疲れた人々の肩が少し下がる瞬間に近かった。


だが、そういうものこそ生きている証だった。


レオンは思った。


この世界は相変わらず荒い。


都市は相変わらず他人の事情を知らないふりをするのが得意で、路地はいまだに人を試し、危険は隙さえあれば牙をむく。


それでもよかった。


今の彼は知っている。


最初に拾われた場所が盗賊の穴蔵でも、次に手を差し伸べるのは友であり得ることを。




しばらく名前がなくても、後には誰かが呼んでくれることがあることを。


そしてさんざん転がされた時間さえ、いつか誰かを守る力に変わり得ることを。


彼は器を置き、ぱっと笑った。


「いいですね」


「何が?」


セラが尋ねると、レオンは窓の外の灯りを見ながら答えた。


「生きていることです」


「思ったより、かなり笑えます」


それは風に乗って部屋の中を一周した。


そして誰も否定しなかった。


なぜならその夜の五人は、それぞれのやり方で、すでに知っていたからだ。


笑えなければ耐えにくい世界もある。


だから笑うほうが、意外と長く続く。


一年は短いと言えば短く、長いと言えば長かった。


少なくともレオンにとってはそうだった。


最初は名前一つない拾われた荷物のような立場だった彼が、今ではセラたちのパーティーで、かなり欠かせない存在になっていたのだから。


もちろん、その「欠かせなさ」が必ずしも戦闘力だけを意味するわけではなかった。




朝いちばんに起きて火を起こす人。


エリンが夜明け近くまで魔法式をいじって机に突っ伏して眠ると、静かに毛布をかけてやる人。


マヤがいたずらで隠しておいた干し肉の備蓄を半日以内に見つけ出す人。


リナが鈍器を手入れしていて、武器より先に作業台を壊した瞬間、すぐに金槌と釘を持ってきて修理する人。


セラが何も言わず血を浴びたまま戻ってきたとき、何も聞かずに熱い湯と包帯を先に差し出す人。


そして戦闘が始まれば、かなり高い確率で最初に吹き飛び、いちばん頻繁に転び、それなのに妙に最後にはいつも一役買ってしまう人。


それが一年後のレオンの居場所だった。


都市は季節を四度着替えた。


春には城壁の隙間ごとに草の葉が芽吹き、路地ごとに湿った土の匂いが立ち上った。


夏になると屋根は日差しで熱せられたフライパンのようにてらつき、裏路地の空気は熟れた果物とどぶが一つの鍋で同時に煮えているように濃かった。


秋には市場の天幕が黄色く乾いてかさつき、赤い夕焼けは都市全体を使い古した銅貨のように擦り減らし、光らせた。


冬が来ると北風は石畳の路地を剃刀のように舐めて通り、煙突の煙は灰色のマフラーのように屋根の間に掛かった。


そのすべての季節を、レオンは彼女たちと共に渡った。


最初の数か月はほとんど訓練だった。


セラが剣を教えた。


剣術というより、剣を持って死なない方法に近かった。


「手首の力を抜け」


「はい」


「肩を固めるな」


「はい」


「足を引きずるな」


「はい」


「転んだ」


「はい」


「あ、これは知っています」


レオンは一日に十回は転んだ。


二十回ほど打たれた。


三十回ほど手から木剣を落とした。


そしてそのたび、目の前に見慣れた文言が浮かんだ。


【転倒判定】


【次の行動成功率上昇】


最初はセラだけがその様子を見て眉間を押さえた。


後にはマヤが横で大笑いした。


「ちょっと待って、この子、本当に訓練すればするほど転がり回るね!」


リナは腹を抱えて地面を叩いた。


「でもたまにすごくよく当たる!」


「何これ、面白いのに強い!」


エリンは頬杖をついて結論を出した。


「才能がいいんじゃなくて、災難との相性がいいんだね」


レオンは汗だくのまま息を切らして言った。

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