表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/196

第5話

「何ですかこれ、スキル名がちょっと切なくないですか?」


だが説明はそこで終わらなかった。


【蓄積値確認中】


【奴隷生活、殴打、嘲笑、飢餓、過労、睡眠剥奪、人格軽視、名前喪失、不合理な暴行】


【合算結果:非常に多い】


レオンの表情が妙になった。


「数値化されると急に腹が立ちますね」


その瞬間、黒い手が彼の足首をつかんだ。


レオンは転んだ。


べしゃり。


とてもみっともなく。


魔法使いが嘲笑った。


「最後まで滑稽な雑種だな」


その言葉がスイッチだった。


レオンの体のどこかで、熱いものが一気に噴き上がった。


まるで長く堪えていた水が蓋を吹き飛ばすように。


【条件達成】


【『取るに足らない』判定感知】


【補正最大上昇】


レオンは床に手をついて立ち上がった。


怖くないわけではなかった。


脚は震え、手も震えていた。


だが笑いも込み上げた。


本当に、この世界は最後まで人をおかしな扱い方で扱った。


よりによって、こうして得るのか?


よりによって、今?


彼はつぶやいた。


「いいでしょう」


「そう来るなら、私も少し卑怯にいきます」


セラが叫んだ。


「レオン、下がれ!」


「嫌です!」


それはレオンが初めて、非常に大きくした反抗だった。


彼は走った。


二度よろめき、一度滑ったあと、とにかく前へ進んだ。


骸骨兵士が立ちはだかった。


レオンは反射的に拳を振るった。


どん。


骸骨の頭が飛んだ。


レオンが止まった。


骸骨も止まった。


頭がないという形で。


「え?」


レオンが言った。


リナが叫んだ。


「ええっ!?」


マヤも叫んだ。


「ちょっと待って、何がどうなったの!?」


エリンの目が細くなった。


「それ、今さっき素手だったよね?」


レオンは自分でも信じられないという顔で拳を見下ろした。


「はい」


「私も今、自分の手に驚きました」


魔法使いが表情をこわばらせた。


「生意気な……!」


赤い波動が押し寄せた。


レオンは避けようとして足に引っかかり、また転んだ。


どすん。


【転倒判定】


【次の行動成功率上昇】


「このスキル、私の尊厳を燃料にしていますね!」


だが効果は確かだった。


彼がやみくもに投げた割れた盾の欠片が空中で絶妙に跳ね、魔法使いの額をまともに打った。


こつん。


思ったより軽快な音だった。


魔法使いの詠唱が途切れた。


セラはその隙を逃さなかった。


彼女が低く身構えて突進した。


剣先が赤い帳の弱まった隙間を裂いて入り込んだ。


マヤの三本の矢が続けざまに水晶へ突き刺さった。


エリンの呪文が風を圧縮し、破片を一点へ押し込んだ。


リナは足首をつかんでいた黒い手を引き裂き、祭壇へ跳び上がった。


レオンは息を切らしながら叫んだ。


「なんとなく今です!」


「詳しい原理はわかりませんが、今なのはわかります!」


「わかってる!」


四人の返事が同時に弾けた。


次の瞬間。


どおおん。


赤い水晶が粉々に砕けた。


光が降り注いだ。


黒く赤い破片が礼拝堂を満たすように降り注ぎ、骸骨たちは糸の切れた人形のように崩れた。


壁を這っていた影たちは悲鳴を残して蒸発した。


魔法使いは膝をついたあと、信じられないという顔でレオンを睨んだ。


「貴様ごときが……」


「どうして……」


レオンはにやりと笑った。


唇は切れ、服はぼろぼろで、膝は震えていた。


それでも笑った。


「よくわかりません」


「ただ、たくさんやられた人間をあまり甘く見るべきではないようです」


魔法使いは最後に手を伸ばした。


エリンの氷槍が彼の杖を貫いた。


セラの剣の柄が彼の顎を跳ね上げた。


リナの鈍器が彼の肩を叩きつけた。


そしてマヤの矢がローブの裾を壁に縫い止めた。


魔法使いは壁にぶらんとぶら下がったまま気絶した。


非常に品なく。


レオンが息を切らして言った。


「終わりましたか?」


エリンが答えた。


「ひとまずは」


マヤが弓を下ろしながらにやにや笑った。


「あんた、本当に何なの」


リナは目を輝かせた。


「拾ってきたら思ったより使える!」


セラはレオンの前に来て、少し彼を見下ろした。


そして短く言った。


「よくやった」


その二文字は、どんな長い褒め言葉よりも重かった。


レオンはぼんやりしてから、結局照れくさそうに笑った。


「ありがとうございます」


「実は私も今、初めて使いました」


「どうなるのか、私もまだよくわかりません」


マヤが吹き出した。


エリンは長く息を吐いた。


リナは背中をぱんぱん叩いた。


強すぎてレオンが前のめりに倒れた。


【転倒判定】


【次の行動成功率上昇】


レオンが床に伏せたまま叫んだ。


「これ、日常生活でも出るようになったんですか!?」


その言葉に、皆が笑った。


廃城の冷たく腐った空気の中で、その笑いだけは妙に温かかった。


城から戻ったあと、行方不明者たちは救出され、盗賊と魔法使いの残党は片づけられた。


依頼は成功として処理され、報酬もたっぷりだった。


都市の外れは相変わらず汚く、市場の匂いは相変わらず荒く、世界は相変わらず親切より理不尽の多い顔をしていた。


だがレオンには、もう帰る場所ができていた。


小さな宿屋の一室。


一緒に飯を食べる人たち。


明日出発する依頼。


そして自分の名前。


レオン。


誰かが大雑把につけてくれた名前だったが、彼はその名前が好きだった。


発音しやすくてよかったし、呼ばれやすくてなおよかった。


何より、その名を呼ぶ声たちが、もう自分を物のように扱っていないことがよかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ