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第59話

「外は変わり、王都は弱くなり、貴族たちは互いの血の匂いを嗅げば兄弟でも噛みつきます。


なのにベルハルトは遅すぎました。


あまりに昔のやり方に頼っていた。


誰かが先に、次の主を選ばなければなりませんでした」


リリアが歯を食いしばった。


「それで灰色眼球会ですか」


マルセラは淡々と言った。


「灰色眼球会は道具です。


本当に大事なのは、生き残る側に立つことです」


その言葉は、応接室の空気を一度ひっくり返した。


レオンは灰色のマントの男と床で絡み合ったまま、それでも心の中で思った。


ああ。


あの人は最初から、金や脅しだけで動いたわけではないのだな。


本当に自分が正しいと思っている。


それが一番悪い種類だ。


リリアの声が震えた。


「私たちを……」


「家族を……」


「家を……」


「そんなふうに言わないでください」


マルセラの眼差しが、ほんの少し、ほんの少しだけ揺れた。


だがすぐに沈んだ。


「お嬢様はまだお若いのです」


その言葉が終わる前に、リリアが前へ一歩出た。


彼女の手には鉄棒も、武器もなかった。


それでもその一歩は、応接室の誰よりも危険に見えた。


「いいえ」


リリアが言った。


震えていたが、はっきりしていた。


「幼いのではなく、今になってようやく見えているんです」


マルセラの表情が初めて、完全にわずかに割れた。


その隙を、セラが見逃すはずがなかった。


彼女はすでに、マルセラと辺境伯の間の影に立っていた。


剣は低く構えられ、眼差しは冷たかった。


今、応接室は完全に二つに分かれた。


名前を盗もうとする者たち。


名前を守ろうとする者たち。


そしてその真ん中で、灰色のマントの男がレオンの襟元を押しのけ、再び刃を構えた。


レオンは床から転がるように起き上がりながら、心の中で思った。


いい。


本当に、よくないのにいい。


もう誰が誰なのか、あまりにもよく見える。


彼の目の前に文言が浮かんだ。


【応接室交戦、第2段階へ移行】


【物理衝突より選択のほうが重要になる区間です】


【個人感想:はい、一番面倒な段階ですね】


レオンは音もなく笑った。


「そのとおりです」


そして次の瞬間、応接室は再び刃と返答と裏切りの音で沸き上がり始めた。


応接室はもともと、人を駄目にするために作られた部屋だった。


いや、少なくともレオンの目にはそう見えた。


良い茶碗。


厚い絨毯。


光を半分殺してくれるカーテン。


壁に掛かった肖像画。


居心地が悪いほど柔らかいソファ。


貴族という人間たちは、いつもああいうものを好む。


刃を抜く前にまず席を勧め、罵る前に茶碗を置き、人ひとりを終わらせる前に笑顔から差し出すようなやり方だ。


西の応接室も、本来ならまさにそんな顔をしていたのだろう。


ただ今は、その顔がめちゃくちゃだった。


ひっくり返った卓。


割れた茶碗。


茶と血が混じって染みた絨毯。


絹のカーテンの下から染み込む夜明けの光。


そしてその真ん中で、互いの名前に噛みつこうとする者たち。




都市の外れの路地が貧しい者の悲鳴を呑み込む口なら、貴族屋敷の応接室は笑顔で毒を飲ませる喉のような場所だ。


今その喉の奥で、レオンたちはきわめて堂々と刃を持って立っていた。


マルセラは暖炉の前に立っていた。


指先ひとつ震わせずに。


濃い紫色のドレスは、血が飛んでも目立ちにくそうな色で、首にかかった黒い宝石はまるで切り取った夜の欠片のように光を殺していた。


顔は美しかった。


問題は、その美しさが人を生かす側ではなく、人を選んで捨てる側により似合うという点だった。


彼女の横では、灰色のマントの男が再び刃を構えていた。


さっきまでレオンの襟首を押しのけ、応接室の中央へ食い込んでいた奴だった。


目つきは細く、笑みは薄く、人ひとりを障害物としか見ない種類の顔だった。


ただ、最初に目に残るのはやはりその灰色のマントだった。


灰色眼球会とつながった奴だという匂いを、あまりにもあからさまに放つ色だった。


ベルハルト辺境伯、エドモンドは少し血を流していたが、まっすぐ立っていた。


リリアは叔父のそばに立った。


セラは二人とマルセラの間の影に、剣を低く構えて立っていた。


マヤは割れた飾り棚のほうへ半歩ずれ、弓弦を引いており、リナは扉板のように厚い応接室の椅子をつま先で押しのけながら、鈍器を握り直した。


エリンは崩れた茶卓を足で動かして視界を整えると同時に、唇だけを細く動かして短い術式をつなぎ合わせていた。


そしてレオンは、床から半ば起き上がった状態で息を整えていた。


肋骨は相変わらず痛かった。


肩も無事ではなかった。


今の状況も、まったく歓迎できなかった。


それでも目の前は鮮明だった。


いい。


ここまで来れば、迷うこともない。


誰が家を売り払おうとしたのか。


誰が名前を盗もうとしたのか。


誰が人を費用と呼んだのか。


全部、応接室の一室に集まっている。


こういうときは、かえって楽だ。


マルセラが先に口を開いた。


「ここまで騒ぎを大きくするとは思いませんでした」


声は落ち着いていた。


本気で苛立った人の声というより、計画が少しずれたことを記録する会計官の声に近かった。


リリアが歯を食いしばった。


「騒ぎを大きくしたのは、あなたたちです」


「お嬢様」


マルセラが頭をほんの少し傾けた。


「家門というものは、本来静かに入れ替えるものです」

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