第49話
狭く、低く、濡れていて、遠くどこかへ曲がり込んでいく石道。
辺境伯がかすれた声で言った。
「この道の先に城内がある」
レオンはそれを聞いて、ごく小さく呟いた。
「いいですね」
リリアが横から尋ねた。
「今度はまた何がですか?」
レオンは運搬枠の横につき、前方の闇を見ながら笑った。
「これからは少なくとも、落ちる心配は少なそうなので」
その言葉が終わるやいなや、彼の爪先が濡れた石で滑った。
「あ」
体が前へ傾いた。
リナが後ろからすぐ襟首を掴んだ。
エリンが目を閉じて開き、言った。
「……期待した私が馬鹿だった」
マヤが闇の中で小さく笑った。
セラは前を見たまま一言だけ言った。
「静かに来い」
レオンは襟首を掴まれたまま、とても丁寧に答えた。
「はい」
「今度は本気でそうします」
その約束がどれほど続くかは誰も信じていなかったが、とにかく一行はまた動いた。
ベルハルト城の腹の下を這う古い通路の中へ。
そしてその闇の先には、灰色眼球会がすでに手をつけた城内部と、まだ生き残っている味方と、おそらくもっとずっとひどい真実が彼らを待っていた。
地下通路は城の腹の下というより、昔に呑み込んで、まだ消化しきれていない秘密の腸のようだった。
壁は濡れており、床にはところどころ水が溜まっていた。
エリンの指先に浮かぶ青い光がなければ、そこは前の人の背中に鼻を押しつけて歩いても、どこが終わりなのかわからないほど暗かった。
空気は冷たかった。
だが山の上の風のような冷たさではなかった。
こちらはずっと重く、湿っていた。
石と土、錆びた鉄、長く溜まった水、はるか昔にここまで流れ込んで乾ききれなかった血の匂いまで混ざっていた。
誰かの息を長く保管しておいた壺の中に入ったような空気だった。
通路の壁面には、高い位置まで水垢が残っていた。
昔はこの道自体が半ば水に浸かることもあったという意味だ。
古い亀裂の間には白い鉱物の残りかすが塩気のようにこびりつき、天井からは一滴ずつ水が落ちていた。
ぽたり。
ぽたり。
静かであるほど大きく聞こえる音だった。
レオンは前の人との距離を保とうとしながら歩き、小さく言った。
「おかしいですね」
「ここは転んでも大きく転げ落ちる心配は少ないのに、その代わり濡れた石に顔を突っ込む確率はずっと高そうです」
エリンが青い光を少し高く上げ、無表情に返した。
「いいね」
「とても正確な自己評価だよ」
「褒め言葉として受け取ります」
「受け取らないで」
その短い会話が終わった時、前でセラが手を上げた。
全員が止まった。
今では言われなくても、体が先に反応した。
セラは鞘に手を置いたまま、通路の前方の床を見下ろしていた。
リリアと辺境伯も顔を上げた。
エリンの光が少し前へ出ると、床の水膜の上に細い線がいくつか現れた。
糸。
蜘蛛の巣のように細いが、水の上におとなしく浮かんでいるはずのない位置だった。
マヤが身を低くして調べた。
「警報線」
エリンが顔をしかめた。
「金属が混じってるね」
「切れば終わりじゃなくて、鳴るはず」
リナが後ろから首をぐっと伸ばした。
「じゃあどうするの?」
「跳び越える?」
レオンが呟いた。
「この通路の幅でそれをやると、かなり浪漫的な失敗につながりそうです」
セラは短く尋ねた。
「迂回」
辺境伯が首を横に振った。
「ない」
「これは昔の排水線の中で一番まっすぐな道だ」
「横は塞がっているだろう」
エリンが膝をつき、糸を調べた。
彼女の指先に冷たい光が宿った。
糸の横、壁に打ち込まれた錆びた鉄釘がかすかに反応した。
呪術というより機械式に近い装置だった。
古いが、まだ生きている方式。
むしろだからこそ、余計に腹の立つ類いだった。
「よく作ってあるね」
エリンが呟いた。
「こういうのは無駄に壊れにくい」
マヤが低く尋ねた。
「解ける?」
「時間をくれれば」
セラがすぐ整理した。
「時間は」
それは質問ではなく確認だった。
マヤが耳を立てた。
「上のほうでまだ探してる音が聞こえる」
「完全に撒いたわけじゃない」
「長く止まると匂いを拾われるかも」
リリアの手が運搬枠の取っ手の上でまた固まった。
レオンはその手を一度見て、また床の糸を見た。
良くなかった。
本当に。
ところがその瞬間、彼の目の前に文字が浮かんだ。
【正面通過は非推奨】
【迂回なし】
【慎重に壊す方法を探してください】
レオンは口の中で呟いた。
「言うのは簡単ですね」
エリンがちらりと見た。
「また何か見えるの?」
「ただの私の人生に対する冷静な評価です」
「無駄口はいいから、思いつくことがあるなら言って」
その言葉に、レオンはまた糸と壁の釘、水溜まり、天井を交互に見た。
そしてふと尋ねた。
「これ、鳴るのは結局、引っ張られるからですよね?」
エリンが答えた。
「そうだね」
「なら、緩めることさえできれば?」
マヤが目を細めた。
「切る代わりに張力を抜く?」
エリンもすぐ聞き返した。
「可能ではある」
「でも何で?」
リナが後ろでぱっと手を上げた。
「私、縄あるよ」
全員が彼女を見た。
リナは鈍器の後ろの荷物から、本当に縄の束を取り出した。
「なんでみんなそんな顔なの?」
「私だって、たまにはやる時はやるんだよ」
レオンは心から感嘆した。




