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第41話

その封印を支えていた大地と水の力も、少しずつ食い荒らしている。


となれば、問題は箱ひとつではなく、地域全体だ。


本当に見事なほど事が大きくなっていた。


日が傾き始める頃、ついに監視丘が見えた。


丘は森と川が大きく曲がる地点の上に盛り上がった丸い岩山だった。


以前は正式な監視拠点だったのか、頂には腰の高さほどの低い石壁と、半ば崩れた見張り台の骨組みが残っていた。


そこに上れば、封印河川の水門と、遠くベルハルト城側の外郭稜線まで一望できる。


良い場所だった。


だからこそ、敵が先に手を出したがる場所でもあった。


セラは丘の下で少し立ち止まった。


「匂い」


マヤが先に這い上がるように登った。


少しして、低く合図を送った。


「上は空だ」


「出ていったばかりの痕跡だけ」


その言葉に、全員がもう少し慎重に登った。


頂上は冷たい風が吹きつける石の床のようだった。


北の空は曇り始め、太陽は低く垂れた雲の下で、薄く血のにじんだ真鍮のように赤くなっていた。


その光が川面と境界石、そして遠くに見える城壁の上へ焼きつくように広がった。


リリアが最初に水門のほうを見た。


そして息を呑んだ。


封印河川の中ほど、岩の峡谷を横切って立てられた大きな水門二枚のうち一枚が半ば開いていた。


本来、あの時間には閉じていなければならない。


水流の調整を越えて、封印層の流れそのものを合わせる構造だという。


だが今は違った。


水門の隙間から流れ出る水は、色がさらに濃かった。


灰色というより、ほとんど墨色。


川の周囲の空気まで妙に湿っていて、冷たい圧を帯びていた。


エリンが歯を食いしばった。


「あれは誰かがいたずらしたものじゃない」


「封印下部の圧そのものをずらしている」


マヤが城のほうを見渡した。


「あそこの灯りも変だよ」


全員の視線がベルハルト城のほうへ向かった。


城はまだ遠かった。


しかし夕暮れの光の上に黒いシルエットのように浮かぶ外郭城壁と塔は、はっきり見えた。


問題は灯りだった。


正常な城なら、あの時間の火には規則がある。


厨房側の金色の光。


兵舎側の一定の列。


塔の頂の監視灯。


だが今は違った。


城の東側の一部区域だけが過剰に明るく、西側は異様なほど死んでいた。


そして最も内側、封印庫があるはずの方向では、赤い光がごくかすかに一度ずつ瞬いていた。


ろうそくではなく、もっと深い場所から漏れる病んだ心臓の光のような色。


リリアの声が震えた。


「あちらが……」


「封印庫の内側です」


セラが尋ねた。


「正門以外の侵入路は、今も使えるか」


リリアは水門と城、迂回路のメモを交互に思い浮かべた。


「使えはします」


「でも水門があの状態なら、崖道の一部が水に浸かっているかもしれません」


マヤが丘の縁から下を見て計算した。


「完全に無理ってわけじゃないよね?」


「はい」


「ただ……」


リリアは唇を噛んだ。


「一人でも滑ったら、そのまま川へ落ちるかもしれません」


レオンはそれを聞いて、とても静かに空を見上げた。


なぜなら、たった今の説明に自分の未来があまりにも鮮明に映っていたからだ。


リナが明るく言った。


「じゃあ滑らなければいいんだよ!」


エリンが無表情で訂正した。


「その言葉はだいたい何の役にも立たない」


その時、マヤが急に手を上げた。


「ちょっと」


彼女は丘の石壁の下に落ちていた布切れを一つ拾い上げた。


濃い紺色の布。


そこに金糸がかすかに縫い込まれていた。


リリアの顔が青ざめた。


「それ……」


彼女がその布を受け取った。


指先が震えた。


「叔父様の外套の裏地です」


その言葉が落ちた瞬間、風の音まで遠のいたようだった。


レオンは無言でその切れ端を見た。


裂けた縁は荒かった。


ただ擦り切れたのではなく、どこかに引っかかって急いで千切れた形。


そして内側には、ごく薄く黒い染みがあった。


血か、薬品か、墨か、見分けのつきにくい染み。


セラが尋ねた。


「最近のものか」


リリアは布を握りしめ、息を整えた。


「はい」


「この刺繍は……」


「最近だけ入れた模様です」


「叔父様が外部の使節に会う時だけ着ていた外套です」


マヤが丘の下と城の方向を交互に見た。


「よし」


「じゃあ少なくとも一つは確実になったね」


レオンが低く言った。


「叔父様がこの近くを通ったということですね」


「そう」


マヤの目が細くなった。


「問題は、自分の足で通ったのか、引きずられて通ったのかだよ」


リリアは目を閉じ、また開いた。


さっきのカルデンの言葉が再び浮かんだ。


封印に関してなら誰より頑固な人。


何も言わずに消えるような人ではない人。


そんな人の外套の切れ端が、灰色眼球会が先に来たであろう丘に落ちている。


それは希望であり、恐怖だった。


少なくとも、生きて移動した痕跡かもしれない。


同時に、敵の手の中にある痕跡かもしれない。


レオンは彼女の横で静かに言った。


「顔色が悪く見えます」


リリアは少し力なく笑った。


「良く見える理由がないじゃないですか」


「それはそうです」


彼は一拍置いて付け加えた。


「それでも、少しはましになったこともあるでしょう」


リリアが彼を見た。


レオンは布切れを顎で示した。


「少なくとも、もう『痕跡が何もない』わけではありませんから」


リリアはしばらく何も言わなかった。


そしてゆっくりと、本当にゆっくりとうなずいた。


「……はい」

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