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第37話

だがじっと聞いてみると、確かにおかしかった。


水の流れる音がない。


鳥の声もほとんどない。


虫の音も、遠くで獣が落ち葉を踏む音もかすかだった。


静かすぎた。


マヤが上から低く言った。


「前の水路、塞がってる。」


リリアの顔が固まった。


「あの小川は、わざと塞げる規模ではありません。」


エリンが無表情で受けた。


「なら、なお気分が悪いね。」


セラが結論を出した。


「直接見る。」


「静かに。」


五人、いや六人は再び動いた。


今度はずっとゆっくりと。


枝を踏む音一つまで減らし、装備がぶつかる音も抑え、息さえ喉の奥だけでするように。


哨所は、森が急に途切れる小さな崖の上にあった。


低い監視塔が一つ。


石と木を混ぜて建てた四角い建物が一つ。


小川はそのすぐ下を回って流れ落ちるはずだった。


だが今は違った。


小川の片側が丸ごと黒く塞がっていた。


岩の山のように見えたが、よく見ると違った。


木と石、藁、そして……


獣の死骸が数体混ざり、仮の堰のように積まれていた。


誰かが急いででも、わざと塞がなければできない形だった。


そのせいで水流が横へ漏れ、森の床をぬかるんだ沼のように変えていた。


哨所前の空き地は半分ほど泥濘で、黒赤い染みがその上に長く広がっていた。


レオンは眉間にしわを寄せた。


「まったく歓迎できない色ですね。」


マヤはすでに低い枝の上に伏せ、内側を見渡していた。


「扉は開いてる。」


「死体は……」


「二つ。」


「いや、三つ。」


リリアの唇が白くなった。


「辺境伯側の監視哨所でした。」


セラがすぐに尋ねた。


「生きている気配は。」


マヤはさらに長く見た。


そして首を横に振った。


「外にはいない。」


エリンが運搬台を見て、低く言った。


「入るしかなさそうね。」


レオンは心の中で思った。


はい。


当然そうなりますよね。


ここまで来ると、人生があまりにも律儀だ。


侵入は速く、短かった。


セラとマヤが先。


エリンとリリアがその後。


リナは後方と横を見ながらつき、レオンは最後尾で泥濘の端を踏まないように努めた。


そして一歩目から失敗した。


ずぶ。


左足が泥濘に半分ほど埋まった。


レオンは顔を下げ、小さく言った。


「……いいですね。」


リナがすぐ後ろで笑いをこらえきれなかった。


「一歩目から?」


「はい。」


「ここまで来ると儀式みたいです。」


だがその泥濘のおかげで、一つはすぐ分かった。


足跡が多い。


人が通った痕跡。


哨所守備隊のものだけではなかった。


重い軍靴の跡、軽い足跡、荷を引いた跡、そして足を引きずった跡まで。


マヤが扉の横に張りつき、つぶやいた。


「最低八。」


「多ければ十二。」


セラが扉を指一本分だけ押した。


きい。


中は血の匂いと濡れた木の匂いが混ざっていた。


暖炉は消えており、卓は半ばひっくり返り、床には血痕が乾いた川のように固まっていた。


守備兵二人は戸口近くに倒れ、三人目は奥の階段下で息絶えていた。


三人とも戦った跡があった。


だが持ちこたえた時間は長くなかっただろう。


一人は剣さえ半分も抜けず、もう一人は弓を握った手のまま倒れていた。


リリアが口を覆った。


レオンの顔も強張った。


災厄にはいつも匂いがある。


血、冷えた汗、折れた木、人が急に死ぬとき残す、あの独特の乱雑な静寂。


だが奥から、ひどく弱い音がもう一つ聞こえた。


きい。


いや。


それは木が軋む音ではなく、人の息が喉に引っかかる音だった。


セラの手がすぐ上がった。


全員が止まった。


もう一度。


かすかに。


「……ふ……」


エリンの目が細くなった。


「生きてる。」


奥の階段下、崩れた棚と丸太箱の後ろに、人が一人隠れていた。


いや、隠れていたというより、押し込まれていた。


中年の男だった。


警備用の革鎧を着ていたが、半ば裂けていた。


脇腹には包帯を巻いた痕があったが、急いで結んだせいでほとんどほどけていた。


顔は灰色で、左の頬には血と土が混ざって乾きついていた。


しかし目はまだ生きていた。


ほとんど消えかけたランプの明かりのような目。


リリアが息を飲んだ。


「あの人……」


「カルデン哨所警備隊長。」


男はリリアを見ると目を見開いた。


そして、ほとんど這うように手を伸ばした。


「お嬢様……?」


その一言には安堵の色があり、同時にその安堵さえ信じきれない恐怖も混じっていた。


リリアはすぐ膝をついた。


「カルデンさん!」


エリンが素早く傷を見た。


「死にはしない。」


「でも長引かせるとまずい。」


レオンは反射的に湯や布が必要だと思い、それからここまで来る間にそんな準備をどうしていたのか、一瞬自分を憎んだ。


幸い、リナはすでに背嚢を開けていた。


「ある!」


「包帯!」


「水!」


「それと、さっき残った薬草臭い変な布!」


エリンが手を差し出した。


「渡して。」


カルデンという男は歯を食いしばって耐えながら、リリアを見た。


「来ては……」


「いけませんでした……」


リリアの顔が固まった。


「どういう意味ですか?」


彼はひび割れた息を整えて言った。


「領内は……」


「もう半分ほど食われています……」


「監視哨所三つの応答が途絶え……」


「北の封印河川側の水門も、誰かが開けていました……」


「そして……」


彼の目が震えた。

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