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第28話

ステンドグラスは半分以上が割れ落ち、残った破片だけが朝の日差しを病んだ宝石のようにまばらに切り取り、床へ落としていた。


その廃墟の入口、屋根の上、崩れた回廊の影ごとに、黒マントたちがすでに位置についていた。


隠そうとする誠意さえない待ち伏せ。


むしろ『待っていた』という事実そのものを武器のように見せつける配置だった。


セラはその光景を一度見て止まった。


マヤは木の枝の上で数を数えた。


「見えてるだけで十三」


エリンが低く付け加えた。


「見えてないのもいるはず」


リリアの手が運搬枠の持ち手の上で固まった。


レオンは肋骨のある部分を押さえながら小さくつぶやいた。


「そうですね」


「まったく嬉しくない数です」


すると廃礼拝堂入口の正面、半ば崩れた階段の上へ一人の男が歩み出た。


昨夜の広場にいた、あの灰色手袋の男だった。


黒い制服の上のマントは夜明けの光を食った烏の羽のようにぬめり、肩に刺さったマヤの矢の跡はすでに包帯で巻かれていた。


セラがかすめた胸元の傷も、雑に縫合されていた。


顔は相変わらず整っており、笑みは相変わらず腹立たしかった。


誰かが自分に剣を突き立てたという事実さえ、結局は些細な変数程度に片づけてしまった人間の顔。


彼は片手を背中に回したまま、実に礼儀正しく頭を下げた。


「またお会いしましたね」


「予想より早く」


マヤが鼻で笑った。


「こっちは嬉しくない」


男は視線をゆっくり移した。


セラ。


エリン。


リリア。


運搬枠。


そして最後にレオン。


その口元が少し上がった。


「まだ生きていたのですね」


【『取るに足らない』判定感知】


【補正上昇】


レオンはもうほとんど慣れた心境で思った。


やっぱり出るんだな。


セラはごく短く口を開いた。


「どけ」


男が笑った。


「お断りします。その箱は私に必要ですから。それに正直に言えば、あなた方がそこまで運んできてくださったこと自体、なかなかありがたくもあります。追跡は楽でしたし、地点は狭く、無能な味方は疲れますからね」


エリンが冷たく吐き捨てた。


「口数の多い奴が長生きするところを見たことがない」


男は笑みを失わなかった。


「私の場合は例外であってほしいものです」


リリアが歯を食いしばった。


「封印庫の人たちを殺したのも、あなたですね」


その男はほんの一瞬、本当にほんの一瞬だけ視線を彼女に留めた。


「それは目的ではなく、費用でした」


その言葉は奇妙なほど軽く出た。


だからこそ余計におぞましかった。


リリアの顔が真っ白になった。


マヤの目つきが細くなった。


エリンは舌先で悪態を飲み込んだ。


そしてセラの眼差しが、本当に静かに変わった。


冷たいほうへ。


深いほうへ。


もはや言葉を交わす価値すらない、と結論を下した人の目へ。


レオンはその変化をすぐに見抜いた。


あ。


終わったな。


もうあの人は、セラと言葉で相手できる段階じゃない。


男が再び口を開いた。


「よろしい」


「最後に提案しましょう」


「その箱を渡せば、今日はここから抜け出させて差し上げます」


「もちろん、その兎のお嬢さんは置いていってもらいますが」


リリアの耳がぴんと固まった。


セラが歩いた。


一歩。


とても静かな一歩。


男は少し眉を上げた。


「返事は?」


セラが言った。


「拒否だ」


そして次の瞬間、戦闘が始まった。


先に動いたのは敵のクロスボウだった。


屋根と回廊の影から、ボルト六本が同時に飛んできた。


直線に裂けた黒い線が、運搬枠とリリアの頭、そしてセラの腹部を狙った。


エリンが手を伸ばした。


空中に薄い氷膜が半球のように浮かび上がった。


きん、きん、きん。


ボルト四本がその膜に刺さって砕けた。


残り二本はセラが剣で弾いた。


彼女は止まらなかった。


むしろクロスボウが飛んできた方向へ、そのまま走った。




廃礼拝堂の階段は崩れていた。


石片が突き出し、あちこちに隙間が開いていて、足を踏み外せばすぐよろける造り。


しかしセラはそんな地形を障害物として扱わなかった。


彼女は階段を『上る』のではなく、『斬って』上がった。


最も高い足場、最も薄い隙間、最も短い距離。


動きの一つ一つが線ではなく、斬痕のようだった。


一人目の黒マントが曲刀を手に正面から立ち向かった。


セラは剣を抜きもしなかった。


彼女は鞘ごと相手の手首を打った。


ぱきっ。


骨がずれる音。


曲刀が飛んだ。


それとほとんど同時に剣が抜かれた。


閃光。


二人目の腰のベルトと鞘紐が一度に断ち切られた。


武器は床に落ち、男は自分の体がまだ無事か確認するのに半拍遅れた。


その半拍でセラには十分だった。


柄が顎を打つ。


膝が折れる。


肩が回る。


相手は階段脇へ転がった。


すべて三呼吸の間だった。


マヤは同時に側面を裂いていた。


彼女は鐘塔脇の崩れた回廊の欄干に体を掛け、続けざまに矢を射った。


一本目は屋根のクロスボウ兵の手の甲へ、二本目は回廊の柱裏にいる術者を狙った襟元のすぐ下へ、三本目は敵将の後ろで動いていた連絡兵の太腿へ刺さった。


「君たち、本当に人員配置が分かりやすいね」


マヤが嘲った。


「隠すふりくらいはしてみなよ」


「撃て!」


誰かが叫んだ。


残った敵が一斉に散った。


礼拝堂の内部からも二人が飛び出した。


一人は鎖、一人は幅広の斧。

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