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第28話

丘の端に捨てられたその建物は、はるか昔に神を失い、その空席に風と埃と噂だけを招き入れた顔をしていた。


灰色の石壁はあちこちひび割れ、枯れた蔦の茎は血管が干からびて張りついた手の甲のように壁を這い上がっていた。


鐘楼はまだ立っていたが、それは信仰の尖塔というより、折れずに残ってしまった骨の一本のようだった。


ステンドグラスは半分以上が砕け落ち、残った欠片だけが朝の陽光を病んだ宝石のようにぽつぽつ切り分けて床に落としていた。


その廃墟の入口と屋根の上、崩れた回廊の影のそれぞれに、黒いマントたちがすでに陣取っていた。


隠そうという誠意すらない待ち伏せ。


むしろ「待っていた」という事実そのものを武器のように見せつける配置だった。


セラはその光景を一度見て止まった。


マヤは木の枝の上で数を数えた。


「見えるだけで十三」


エリンが低く付け加えた。


「見えないのもいるだろうね」


リリアの手が運搬枠の持ち手の上で固まった。


レオンは肋骨のあるあたりを押さえながら、小さくつぶやいた。


「そうですね」


「まったく嬉しくない数字です」


すると廃礼拝堂の入口正面、半ば崩れた階段の上へ一人の男が歩み出た。


昨夜、広場にいたあの灰色の手袋の男だった。


黒い制服の上のマントは夜明けの光を飲み込んだ烏の羽のようにぬらりと光り、肩に残ったマヤの矢傷はすでに包帯で巻かれていた。


セラがかすめた胸元の傷も雑に縫われていた。


顔は相変わらず整っており、笑みは相変わらず癪に障った。


誰かに刃を突き立てられたという事実すら、結局は些細な変数程度に片づけてしまう人間の顔。


彼は片手を背中に回したまま、本当に礼儀正しく頭を下げた。


「またお会いしましたね」


「予想より早く」


マヤが鼻で笑った。


「こっちは会いたくなかったよ」


男はゆっくり視線を移した。


セラ。


エリン。


リリア。


運搬枠。


そして最後にレオン。


その口元が少し上がった。


「まだ生きていたのですね」


【『取るに足りない』判定感知】 【補正上昇】


レオンは、もうほとんど慣れた気持ちで思った。


やっぱり出るんですね。


セラはごく短く口を開いた。


「どけ」


男が笑った。


「お断りします」


「その箱は私に必要ですので」


「それに正直に言えば、あなた方がそこまで運んできてくれたこと自体、なかなかありがたくもあります」


「追跡は簡単で、地点は狭く、無能な味方は疲れるものですから」


エリンが冷たく吐き捨てた。


「口数の多い奴で長生きしたのを見たことがない」


男は笑みを失わなかった。


「私の場合は例外であってほしいものですね」


リリアが歯を食いしばった。


「封印庫の人たちを殺したのも、あなたですね」


その男はほんの一瞬、本当にほんの一瞬だけ、彼女に視線を留めた。


「それは目的ではなく費用でした」


その文は妙なほど軽く出た。


だからこそ、いっそうおぞましかった。


リリアの顔が真っ白になった。


マヤの目つきが細くなった。


エリンは舌先で罵りを飲み込んだ。


そしてセラの眼差しが、本当に静かに変わった。


冷たい方へ。


深い方へ。


もうこれ以上、言葉を交わす価値すらないと結論を出した人の目へ。


レオンはその変化をすぐ見抜いた。


ああ。


終わったな。


もうあの人は、セラに言葉で相手をしてもらえる段階じゃない。


男がまた口を開いた。


「よろしい」


「最後に提案しましょう」


「その箱を渡せば、今日はここから逃がして差し上げます」


「もちろん、その兎のお嬢さんは置いていっていただきますが」


リリアの耳がぴんと固まった。


セラが歩いた。


一歩。


とても静かな一歩。


男は眉を少し上げた。


「返答は?」


セラが言った。


「拒否だ」


そして次の瞬間、戦闘が始まった。


先に動いたのは敵の石弓だった。


屋根と回廊の影から、ボルト六本が同時に飛んできた。


一直線に裂けた黒い線が、運搬枠とリリアの頭、そしてセラの腹部を狙った。


エリンが手を伸ばした。


空中に薄い氷膜が半球のように浮かび上がった。


きん、きん、きん。


ボルト四本がその膜に刺さって砕けた。


残り二本はセラが剣で弾いた。


彼女は止まらなかった。


むしろ石弓が飛んできた方向へ、そのまま走った。


廃礼拝堂の階段は崩れていた。


石片が飛び出し、あちこちに隙間が開き、足を踏み間違えればすぐくじきそうな構造。


しかしセラはそんな地形を障害物として扱わなかった。


彼女は階段を「上る」のではなく「斬って」上がった。


最も高い足場、最も薄い隙間、最短の距離。


動きの一つひとつが線ではなく斬痕のようだった。


一人目の黒マントが曲刀を構えて正面から迎えた。


セラは剣を抜きさえしなかった。


彼女は鞘ごと相手の手首を打った。


ごきり。


骨がずれる音。


曲刀が飛んだ。


それとほぼ同時に剣が抜かれた。


閃き。


二人目の腰のベルトと鞘紐が一度に切れた。


武器が床へ落ち、男は自分の体がまだ無事なのか確かめるのに半拍遅れた。


その半拍でセラには十分だった。


柄頭が顎を打つ。


膝が折れる。


肩が回る。


相手は階段の脇へ転がった。


すべて三度息をする間のことだった。


マヤは同時に側面を裂いていた。


彼女は鐘楼の横、崩れた回廊の手すりに体を掛け、続けざまに矢を放った。

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