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第23話

「今は行かない」


セラの視線が彼女に向いた。


アデルは断固としていた。


「捕まえるのは後だ」


「今日の優先順位は輸送」


一瞬、本当に一瞬、セラの眼差しが鋭く揺れた。


しかしすぐに沈んだ。


「……分かった」


その短い返事が、かえって重かった。


レオンは内心で思った。


副支部長代理は運が悪いな。


今日生きていることが終わりではなさそうだ、と。


アデルはすぐ命令を下した。


「よし」


「計画変更なし」


「むしろ確定だ」


「敵は三方向に裂ける」


「その間に本当のルートが息をする」


「マヤ、最後の確認後すぐ本隊に合流」


「リナ、囮の荷車を準備」


「大きく音を立てろ」


「お前が今日の夜明けの星だ」


リナの目がきらめいた。


「よし!」


「喜ぶな」


「少しは喜ぶ」


アデルは諦めたように視線をそらした。


「エリン、運搬枠」


「セラ、先行整理」


「レオン……」


レオンが反射的に姿勢を直しかけ、脇腹を押さえた。


「いたた」


「はい」


「立てるか」


レオンは少し虚勢を張りたくなった。


だがセラ、エリン、マヤ、リナ、リリア、アデル。


六組の目が同時に自分の体の状態を測っていた。


その視線の前で虚勢を張るのは馬鹿らしかった。


もちろん彼は時々馬鹿らしかったが、今日は少し控えたかった。


だから正直に言った。


「痛いですが、いけます」


「ただし格好よくは無理そうです」


セラが短く言った。


「格好よさは要らない」


エリンが付け加えた。


「耐えればいい」


マヤが微笑んだ。


「もともと君の専門でしょ」


リナが拳をぎゅっと握った。


「うん」


「転がるのは最高だもんね」


リリアは箱をしっかり抱え、静かに言った。


「お願いします」


アデルが最後にまとめた。


「よし」


「では出発する」


その一言とともに、宿屋の中の静けさが形を変えた。


待機から行動へ。


不安から実行へ。


人は走り出す直前が最も静かだ。


今がそうだった。


夜明けの光はまだ完全には来ておらず、空は黒い布の下に青いインクを一滴落とした程度の色だった。


そのかすかな時間の中で、六人と一つの箱がゆっくりとその場から立ち上がった。


そして都市のどこかでは、すでに彼らを待つ罠たちも一緒に目を覚ましているだろう。


扉が開いた。


冷たい夜明けの空気が宿屋の中へ染み込んだ。


血の匂い、薬草の匂い、蜜蝋の匂いの上に、新しい匂いが立ち上った。


逃走と追跡が再び始まる匂いだった。


レオンは一度息を整え、ごく小さく笑った。


「いいですね」


アデルが横で尋ねた。


「何が」


レオンは包帯を巻いた肩に気をつけながら答えた。


「これから本当に忙しくなりそうですから」


アデルはしばらく彼を見てから、無表情で言った。


「それは少しもよくない」


レオンはうなずいた。


「はい」


「私も今言って気づきました」


その言葉に、ほんの短くだけマヤが笑い、リナがくすくす笑った。


そして一行は、闇がまだすっかり晴れていない都市の中へ、静かに散っていった。


夜明け直前の都市は、夜が最後に歯を食いしばる顔をしていた。


空はまだ完全には明るくなく、東の地平線の下からほどけ始めた青い光が屋根の先を薄く舐めていた。


城壁の上の松明は消えていなかったが、もはや夜の主ではなかった。


路地は濡れた灰色を帯び、石畳は霜と埃と古い水跡を一緒に含んだまま、滑りやすく息を潜めていた。


煙突ごとに煙が寝坊した人のようにゆっくり上がり、閉じた窓はまだ誰の味方でもないまぶたのように重く閉じていた。


この時間の都市は奇妙だった。


昼のように忙しくもなく、夜のように正直でもない。


何かを隠すには最もよく、誰かを見失うには最も悪い時間。


だからこそ、今日の都市は追跡と逃走のために生まれた舞台のように見えた。


一番最初に動いたのはリナだった。


東門側の大通りの端から、派手な音とともに古い荷車が一台飛び出してきた。


荷車には厚い布で覆われた箱型の荷物が積まれており、リナは御者帽子まで目深にかぶって、わざとらしく不満をぶちまけていた。


「いや、なんで夜明けからこんなの引かなきゃいけないのぉぉぉ!」


その声は路地の石壁にぶつかり、二度、三度と跳ね返った。


息を潜めた都市にとって、それはほとんど鐘だった。


マヤが遠くの屋根の上からその様子を見てつぶやいた。


「よし」


「うるさすぎて、逆に完璧だね」


リナは荷車をがたがた鳴らしながら、わざと大通りの方へ走らせた。


車輪は石の隙間に当たるたび悲鳴を上げ、荷車の上の荷物はそのたびにかなりそれらしく揺れた。


後ろに続くギルドの人員二人は表情を固くしていた。


彼らは本当の中身を知らない囮護衛だった。


だからこそ、より自然だった。


一方、本当の本隊は、都市の皮膚の下を這う影のように静かだった。


セラが先頭に立った。


彼女は黒いマントの中に鎧をできる限り隠し、古い橋の下の狭い道を先に探っていた。


足取りは短く軽く、視線は路地の先と屋根の縁、窓の隙間まで漏らさず舐めた。


セラが静かなのはいつものことだったが、今日はその静けさに刃が立っていた。


昨夜の紙片の文が、まだ彼女の目に引っかかっていた。


その後ろにエリンとリリアがいた。

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