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第20話

部屋の中が一瞬静かになった。


リナが先ににへらと笑った。


「お。」


「セラが言った。」


マヤもふっと笑った。


「聞いたでしょ、レオン?」


「自慢していいよ。」


「今夜までなら。」


エリンは視線をそらしたままつぶやいた。


「あまり浮かれないで。」


「明日また転がり回るんだから。」


その言葉さえ、妙に気分がよかった。


レオンは唇をつぐみ、結局笑った。


「はい。」


「では中核戦力らしく横になっています。」


「いいだろう。」


「それは得意だな。」


アデルの返事は無味乾燥だったが、その場で小さく笑う者が何人かいた。


書類はついに完成した。


アデルが鉄製の印章を蝋燭で温めた。


赤く熱を帯びた金属が紙の端に押し当てられる時、短いじじっという音とともに封蝋の匂いが立ち上った。


その匂いは、すべてを本物にする匂いだった。


冗談が契約になり、好意が責任になり、生き残ることが仕事になる匂い。


リリアは震える手で自分の名を書いた。


セラも、マヤも、リナも、エリンも順番に署名した。


レオンは上体をどうにか起こして名前を書こうとしたが、肩の傷が引きつり、顔をしかめた。


アデルが何気なく言った。


「字は悪くないな。」


レオンが答えた。


「はい。」


「転ぶ時はめちゃくちゃですが、書く方は意外とまともです。」


「それは実に有用な才能だな。」


「ギルドで褒められるポイントが妙ですね。」


最後にアデルが自分の署名を載せた。


彼女は紙を折り、三部に分けた。


一つは自分が、一つはセラへ、一つはエリンへ渡した。


「これからこれは正式依頼だ。」


「そして正式な問題だ。」


彼女は一拍置いて付け加えた。


「だからこれからは、本当に失敗できない。」


それは脅しというより事実だった。


事実というものは、たいてい一番重い。


リリアは箱を抱いたまま静かに息を吸い込んだ。


セラは剣の鞘に手を置いた。


マヤは窓の向こうの闇を一度うかがった。


リナはすでに明日の囮荷車に何を積むか、一人でぶつぶつ言っていた。


エリンは封印式をさらに一層重ねながら、眉をひそめた。


レオンは包帯を巻かれた体でベッドにもたれ、この奇妙に真剣な光景を眺めた。


一年前の自分なら想像もできなかっただろう。


名前もなく殴られていた少年が、今では災害級遺物運送依頼書の末尾に自分の名前を書いている。


人生というものは、本当に前もって教えてはくれない。


教えてくれないから、こんな目にも遭う。


彼は小さく笑った。


その瞬間、宿の外のどこかで瓶の割れる音がした。


全員の視線が同時に窓へ向いた。


マヤが真っ先に身を起こした。


セラもすぐに立ち上がった。


アデルが手を上げて全員を止めた。


「待て。」


そして窓の隙間から、とても細い紙が一枚、中へ滑り込んできた。


刃物のように折られた紙片だった。


それは封印陣の外、テーブルの上にふわりと落ちた。


誰も触れなかった。


エリンが目を細めた。


「呪術反応は弱い。」


「罠ではなさそう。」


アデルが手袋をはめた手で紙片を開いた。


中にはたった一行だけが書かれていた。


〈夜明け前に動けば、今度は兎ではなく犬の首が飛ぶ〉


部屋の空気が一瞬で冷えた。


リナが息をのんだ。


マヤの目つきが鋭くなった。


エリンは舌先で短く不快感を押し込めた。


リリアの顔が真っ白になった。


そして直接侮辱された狼獣人のセラは、何も言わずにその紙片を見下ろした。


眼差しだけがゆっくり沈んだ。


それは怒っている顔だった。


本当に静かだからこそ、なお怖い種類の。


レオンはその表情を見て、心の中で思った。


あ。


明日はかなり忙しくなりそうだ。


とても。


セラが今度は本当に怒ったのだと、わざわざ誰かが説明しなくても分かった。


そしてその時になって、ありがたくもないことに、目の前に文言が浮かんだ。


【状況更新】


【敵対勢力が脅迫段階を引き上げました】


【注意:パーティーリーダーの機嫌が非常に悪いです】


【個人的感想:敵は触れてはいけない線を間違えたようです】


レオンはその文言を見て、とても小さくつぶやいた。


「はい。」


「それは私にも見えます。」


アデルが顔を上げた。


「何が。」


レオンはセラをちらりと見て答えた。


「何でもありません。ただ……相手が明日をさらに疲れるものにしたという意味です。」


それは間違っていなかった。


宿の蝋燭が小さく揺れた。


夜はさらに深まり、都市の路地は黒い毛細血管のように絡み合っていた。


そのどこかで、見えない敵も間違いなく次の一手を選んでいるはずだった。


そしてこちらも同じだった。


これで盤面は完全に開いた。


会議はすぐに始まった。


誰かの機嫌が悪いという事実は、たいてい空気を乱す。


しかしセラの場合は逆だった。


彼女が本当に怒ると、部屋の中はむしろさらに整った。


不要な言葉が減り、動きが短くなり、全員の判断が妙なほど鮮明になった。


まるで散らばった刃がひとりでに鞘の中へ戻り、列を揃えるようだった。


今、宿の一階はまさにそうだった。


アデルはすでにテーブルの上に都市の地図を広げていた。


四本の蝋燭が四隅を押さえ、マヤが持ってきた墨線とセラの短剣が地図の端を押さえていた。


地図には城門、ギルド、倉庫、水路、外郭墓地、東の塩倉、北門へ抜ける丘道、捨てられた製粉所、旧巡礼路までびっしり記されていた。

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