第178話
「時間に合わせて動き、目印を移し、誰が反応したか確認する側。」
ブラムが付け加えた。
「伝令のようなものだな。」
男はそこでようやく、唇の端をほんの少し歪めた。
笑ったわけでもなく、あざ笑ったわけでもなかった。
ただ「そう思っていろ」というような、かすかな動き。
ブラムはそれを見て舌打ちした。
「気分の悪い奴だな。」
アデリアは目を細めて尋ねた。
「金はいくら受け取った。」
今度は男の瞼がはっきり揺れた。
正解だ。
金。
人は名前より先に揺れる時がある。
大義もなく、信念もなく、所属もない類ほどなおさらだ。
男はしばし口をつぐんだ。
やがて、ごく小さく言った。
「前金で金貨十二枚。」
ブラムの眉が上がった。
「ずいぶん値がついたな。」
男が苦く笑った。
「追加で受け取った金もありました。」
アデリアはすぐに尋ねた。
「条件は何だった。」
男は視線を卓の上の灰色の羽根に一度、油灯の火に一度投げた。
そして少し低い声で言った。
「怪しく動け。誰が見ても何かを隠している奴のように歩け。指定された場所に目印を入れろ。そして捕まったら……」
彼は一度息を整え、乾いた喉を動かした。
「……何も知らないまま耐えろ。」
アデリアは何も言わず、その続きを待った。
男は目を閉じて開いた。
「殴られても。」
「腕が外れても。」
「爪を剥がされても。」
「水を浴びせられて、夜明けまで立たされても。」
「耐えればいいと言われました。」
ブラムの目つきがごくわずかにさらに冷たくなった。
男は濡れた髪の下で力なく笑った。
「拷問まで受けろというのも込みだったわけです。」
「その金の分だけ。」
尋問室の中が少しの間、静かになった。
アデリアはその言葉に混じった感情を分けた。
恐怖。
諦め。
そしてごくわずかな恨み。
これは忠誠心のある部下の匂いではない。
自分がどれほど安く売られたのかを、今になって少し悟った人間の匂いだ。
ブラムが壁から背を離して尋ねた。
「それで?」
男が顔を上げた。
「その者も分かっていたはずです。」
「あなた方が俺みたいなものに食いつけば、そこに時間を使うと。」
その瞬間、ブラムの目が鋭く光った。
アデリアも同じ瞬間に同じ計算を終えていた。
川辺。
餌。
灰色の羽根。
遠征出発。
ギルドの視線分散。
そして今。
レオン。
アデリアがほとんど同時に立ち上がった。
椅子が後ろへ短くずれた。
ブラムが先に悪態を噛んだ。
「くそ。」
男はそれを見て、濡れた唇を歪めた。
「その者は顔も見せませんでした。」
「名前もなく、声もわざと押し殺していた。」
「俺が知っているのは一つだけです。」
アデリアが正面を睨んだ。
「何だ。」
「その者は、最初から俺があなた方の手に落ちても構わないと言っていました。」
男は咳のように笑った。
「むしろ、そうでなければならないと。」
ブラムの手の甲に血管が浮いた。
アデリアが最後に尋ねた。
「ほかには。」
男は首をひねって壁を見た。
「ありません。」
今度は嘘ではなかった。
話す息が違った。
諦めが先に出ていた。
彼は本当に知らない。
金を受け取り。
怪しい行動をし。
捕まれば殴られ。
ひどければ拷問まで耐えて時間を稼ぐこと。
そこまでがすべてだった。
それ以上は任せていない。
むしろ知らされなかったのだろう。
そうすればあいつの口が割れても、外へ出るものがないからだ。
ブラムが低くつぶやいた。
「俺たちを外で縛りつけたわけだな。」
アデリアはすでに扉のほうへ体を向けていた。
「ブラム。」
「分かっている。」
ブラムも即座に動いた。
のろい老人のような気配は消えた。
眼鏡はそのままで、腰もまだ少し曲がっていたが、歩みは完全に別物だった。
皺のある顔とインクの匂いがついた指先でなければ、誰が信じるだろうか。
この老人が今も若い警備二人より先に扉を抜けていくことを。
アデリアは敷居を越える直前、短く命じた。
「あいつの口は塞ぐな。」
「代わりに縛りを二重にしろ。」
「舌の下、歯の内側、髪の中まで全部探れ。」
「隠しているものがまだあるか確認しろ。」
地下警備が慌てて答えた。
「はい。」
そしてアデリアとブラムは、ほとんど同時に階段を駆け上がった。
ブリクセンギルドの地下は冷たい。
その冷たい空気を突き抜けて上へ駆け上がるたび、人は自分の心臓がどれほど速く熱くなるかを知る。
今回は二人とも分かっていた。
遅かったかもしれない。
それでも走らなければならない。
灰色手袋は同じ失敗を繰り返す類ではない。
一度逃したなら、次ははるかに慎重に来る。
そして慎重な敵が一番恐ろしい。
その頃。
医務室は静かすぎた。
静かすぎて、かえって音がした。
窓の隙間から染み込む夜風の音。
薬草を干す枠からの、ごく小さな木のきしみ。
廊下の先の灯火が揺れて立てる、かすかなガラスの擦れる音。
人は平穏な時には、そういうものをすべて背景へ押しやる。
だが何度も床を転がり、生き残った体は知っている。
静かな夜と、
静かなふりをする夜は、
息の仕方から違うということを。
レオンは目を閉じたまま横になっていた。
眠りは浅かった。
深く沈めなかった水面の上を、ぷかぷか漂う眠り。
そんな眠りの中でも、体が先に気づいた。
匂いだ。
薬草ではない。
蝋でもない。
血でもない。
それよりもっと薄く、もっと不快な匂い。
濡れた革の上に古い灰をこすりつけたような匂い。




