表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
170/196

第170話

四本の脚は狼というより飢えた猟犬のほうに近く、瞳は黄色ではなく濁った灰色だった。


顎先と前胸の毛には、すでに乾いた血の跡がこびりついていた。


奴らはすぐには突進しなかった。


代わりに柵の前で薄く散り、ゆっくりと円を描いた。


人の反応を見る動き。


見張り台の上のマヤが、囁くように言った。


「六」


「後ろにもう一匹隠れてる」


セラは柵の内側の影から、鞘を低く傾けた。


「誘導する」


エリンは半ば崩れた丸太の山の後ろに膝をついていた。


指先にはすでに淡い青い光が巻きついていた。


霜というより、冷たい吐息が手の甲の上を薄く這う感じ。


狼の一匹が先に、柵の隙間へ頭を差し込んだ。


牙。


唾液。


濁った灰色の目。


そしてその瞬間、リナが動いた。


ごきり。


鈍器が柵の隙間へ正確に突き込まれた。


狼の頭が横へ折れ、悲鳴を上げた。


ほかの四匹が同時に散った。


前の二匹は下がり、横の一匹はすぐ回り込んできた。


やはり思ったより狡猾だ。


だが今回は、リナが追わなかった。


彼女はそのままその場に残り、鈍器をまた内側へ引き戻した。


マヤが上でにやりと笑った。


「いいね」


「今回は飛び出さないじゃん」


リナが歯を食いしばって言った。


「私だって、やるって言ったらやるんだから」


狼二匹が同時に別の隙間を突いた。


そのとき、セラが出た。


剣が抜かれる音は短かった。


閃きはもっと短かった。


左の奴の前脚が先に断たれ、右の奴は首の横を深く裂かれた。


血が土へ飛んだ。


狼たちは遅れて包囲の角度を変えようとしたが、すでに拍子が乱れていた。


エリンの指先から飛んだ氷釘三本が、後ろの草むらに突き刺さった。


キャン。


隠れていた一匹が悲鳴を上げて飛び出した。


マヤの矢が、その開いた口蓋の中へまっすぐ突き刺さった。


一度。


二度。


三度。


それぞれが自分の場所で、自分のタイミングだけを正確に断ち切っていた。


これは突撃戦ではない。


審査だ。


そして同時に、レオンなしでも崩れないアンブレイカブル・ローズの証明だった。


リナはそれを理解していた。


だからこそ、さらに歯を食いしばった。


柵の左側が大きく揺れた。


今度は大きな個体が一匹、体ごとぶつかってきた。


リナは反射的に駆け出そうとする脚を、無理やり押さえた。


その代わり、奴が首をひねって再びぶつかる直前まで待った。


一つ。


二つ。


三つ。


そしてその瞬間。


彼女が前へ出た。


今回はむやみに突進したのではない。


正確にタイミングを断ち、相手の力が最も片側へ偏った瞬間を選んだ。


鈍器が下から上へ振り抜かれた。


轟ん。


衝撃音が柵全体を揺らした。


狼の顎が跳ね上がり、体が横へ浮いた。


リナはすぐにさらに一歩詰めなかった。


代わりに半歩下がり、位置を取り直した。


その動きを見たセラの目が、ごく微かに動いた。


マヤが上から叫んだ。


「右の二匹が逃げる!」


「追うな」


セラが言った。


「痕跡だけ見る」


エリンが短く舌打ちした。


「群れの主が近くで見ているわね」


彼女の指先の青い光がさらに濃くなった。


「これは探り合いよ」


少しして、残った狼たちもすべて草むらの後ろへ引いた。




村の中に、再び静けさが落ちた。


だが、さっきの静けさとは違った。


今度は、誰が先に血を流させたのかがはっきりしている静けさだった。


村長代理が震える息を吐いた。


「防いだ……」


リナは鈍器の先についた血を振り払いながら言った。


「うん」


「ひとまずは」


それは軽くなかった。


セラは外の斜面を見ながら、剣先の血を土に一度こすりつけた。


「まだ始まりだ」


マヤが見張り台の上で低く笑った。


「いいね」


「じゃあ審査官の皆様、今のは何点ですか?」


エリンが下から、見上げもしないで答えた。


「リナは半拍遅らせて我慢してから入ったのはよかった。代わりに最後は肩に力が入りすぎ。マヤは情報伝達はきれいだったけど、矢を一本は無理に惜しむ必要はなかった」


リナが口を開けた。


「この状況でも採点するんだね」


「当然よ」


セラが短く言った。


「金等級は簡単なものではない」


マヤはふっと笑った。


「怖いね」


「本当に」


けれど、その笑いは悪くなかった。


壊すための評価ではなく、もっと高く押し上げるための評価だとわかっていたからだ。


リナは鈍器を肩に担ぎ、息を整えた。


胸が高鳴っていた。


腕は痺れていた。


それでも気分は悪くなかった。


いや、むしろよかった。


今回は自分たちが防いだ。


レオンなしでも。


その事実が、鈍器よりも重く胸の奥へ落ちた。


ブリクセンのギルド。


会議室の扉が開くと、外の廊下の空気が少し冷たく感じられた。


ブラムは先に立ち上がった。


「俺は警備隊のほうから締め上げてみる」


アデリアがうなずいた。


「酒場、馬小屋、裏口の出入りも一緒に照合しろ。灰色の羽がギルド前まで来たのに誰も見ていないなら、見えなかったのではなく、見なかったふりをした奴がいるかもしれない」


ブラムが短く笑った。


「ブリクセンらしいな」


「そうだ」


アデリアは窓もない廊下の奥を見ながら言った。


「この都市はいつも、知らないふりが得意だった。問題は、今回は誰を知らないふりしたのかだ」


ブラムは敷居で止まった。


「レオンのほうは?」


「私がもう一度、線を引いておく」


「わかった」


ブラムが出ていき、アデリアだけが少しの間、廊下に残った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ