第168話
短く硬い答え。
そしてほんの少し遅れて付け足した。
「ただ、一つは確かだ」
「お前がただポケットに入れて、ずっと触っていていい物ではない」
レオンはふっと笑った。
「いいでしょう」
「それは私も同意します」
アデリアは扉の取っ手を握る前に、最後にもう一言残した。
「ブリクセンの中に、まだ片付いていない目が残っているという意味かもしれない」
「だから、さらに大人しくしていろ」
痛い。
今回も、言葉が。
レオンは肩をすくめようとして、肋骨のせいで途中で止まった。
「はい」
「結局またその結論なんですね」
「そうだ」
アデリアは布に包んだ灰色の羽を書類綴りの内側に入れた。
「退屈すぎるなら、次は窓から出ずに、紙でももっと埋めていろ」
「少なくとも、それは危険が少ない」
レオンはそこでようやく笑った。
「はい」
「努力します」
「努力だけでなく実際にやれ」
扉が開き、閉まった。
アデリアが出ていったあと、部屋の中にはまた静けさが残った。
だが、少し前とは違う静けさだった。
一人で考えが尾を引く静寂ではなく、誰かが窓を一つ余計に開けていったあとの静寂。
世界は自分が思っていたより広かった。
亜人族が多く見える理由も、信仰が一筋ではない理由も、表向き静かな情勢が実はどれほど腐っているのかも、少しはわかった気がした。
レオンは卓の上の林檎をまた取り上げた。
少し見上げたが、今度は投げなかった。
ただ、一口かじった。
しゃくり。
なかなかいい音がした。
彼は林檎を噛みながら、とても小さく呟いた。
「いいですね」
今度は本当に、少しは。
そのころ、開拓村は息を潜めていた。
人の住む場所特有の音があるはずだった。
斧を振る音。
子どもの泣き声。
鍋蓋がかちゃかちゃ鳴る音。
柵を直す槌の音。
けれど今の開拓村には、そうした音がすべて半分だけ生きていた。
誰かは話していてもふと口をつぐみ、誰かは外を窺ってから早すぎるほどすぐに頭を引っ込めた。
風は村の中へ入ってくるたび、木の柵の折れた先と黒く焼けた見張り台を撫でて通り、乾いた血の匂いを薄く引いてきた。
村全体が大きな傷のかさぶたのようだった。
まだ固まりきってはいないのに、かといってまた血を流す準備だけしているような。
馬車が止まるなり、セラが真っ先に降りた。
鞘が低く揺れた。
ブーツが土を踏んだ。
その一歩だけで、空気が変わった。
村の入口に立っていた村長代理らしい中年の男が、ほとんど駆け寄るように近づいてきた。
頬はこけ、目の下には徹夜の跡が深かった。
「来てくださったんですね」
「ギルドが本当に人を送ってくださったんですね……」
セラは短くうなずいた。
「アンブレイカブル・ローズだ」
「状況から」
男は唾を飲み込んだ。
「狼の群れが二日前、昨夜、そして今日の夜明け前にもう一度来ました」
「ただ噛み裂いて去るだけではありません」
「一部は柵を揺さぶり、一部は背後に回って家畜を追い、また一部は人を引きずり出そうとしました」
エリンがすぐに尋ねた。
「死体の損壊は?」
「ありました」
男の喉が少し固まった。
「食べ残しのように見えても、実際にはわざと散らかしている感じでした」
「人々を怖がらせるように」
エリンの目つきが薄くなった。
「上位個体の可能性が高いわね」
マヤはすでに村の入口の見張り台の半ばまで上っていた。
崩れた階段をつま先で二度踏んだだけなのに、姿勢はほとんど揺れなかった。
彼女は手のひらで目元の光を遮り、西の斜面を見渡した。
灰黒の丘陵。
風に伏せる草。
あちこち裂けた土。
石の山の間に見える低い巣穴の跡。
そして、ほとんど目に捉えられないほど遠くにある動き。
マヤが下に向かって低く言った。
「セラ」
「言え」
「西の斜面のほうに三つ」
「いや、五つ」
「もっといるね」
「黒背狼」
「まだ突入はしないけど、こっちを見てる」
リナが鈍器の柄を強く握った。
「すぐ出ていって叩き潰せばいいんじゃない?」
「だめ」
エリンが先に切った。
「今飛び出せば、あなたを餌にして残りが村の中へ回り込む」
「これは単純な捕食ではなく、群れの運用よ」
リナが唇を尖らせた。
「本当に気に入らない方向で賢いね」
セラは村長代理を見て言った。
「最近、一番大きく騒ぎがあった場所は?」
「北西の柵です」
「二度とも」
「よし」
彼女はすぐに振り返った。
「マヤ、上から見続けろ」
「数が変わったらすぐ言え」
「リナ、北西の柵の内側で待機」
「先に飛び出すな」
「エリン、痕跡確認後すぐ支援位置へ」
三人の答えは短かった。
「うん」
「わかった」
「了解」
それで終わりだった。
冗談も、ためらいも、馬車の中で転がっていた笑いも、その瞬間にはすべて畳まれた。
四人はとても素早く、それぞれの場所へ散った。
まるで一本の剣が四方向に分かれても、必要ならまた一度に集まれるかのように。
同じ時刻。
ブリクセンのギルド支部建物の内側、記録室の隣にある小さな会議室は、外よりずっと暗かった。
窓は狭く、日差しは埃まで照らすには足りなかった。
代わりに蝋燭三本が卓の上を丸く照らしていた。
紙の匂い、古い木棚の匂い、乾いたインクの匂い。




