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第165話

「人が自分の力について考えてみるのは、そんなに変ですか?」


「変ではない」


「ただ、お前は考えが長くなりすぎると、自分自身をさらに面倒にするタイプだ」


「否定しにくいですね」


「よし」


「では今からは、私が面倒にしてやろう」


アデリアはそう言って足を組んだ。


医務室の窓の外では、午後の光が少しずつ傾いていた。


日差しは最初より黄色く変わり、裏庭の木陰が長く伸びて、窓枠の半分を食っていた。


風は前より涼しかった。


静かだが、眠くなる種類の静けさではない。


人の頭を無駄に回してしまう午後の終わり際。


アデリアはその時間帯をよく知っている顔だった。


長く複雑な話を持ち出せば、意識が散漫になる時間。


短く、必要なことだけ言うべき時間。


彼女は卓を指で一度叩いた。


「遠征隊は今ごろ、最初の開拓村に着いているはずだ」


レオンの目つきがごくわずかに変わった。


アデリアはそれを見なかったふりをして続けた。


「伝書鳩はまだ来ていない」


「来ていないということは、普通は二つのうちどちらかだ」


「忙しすぎて送れなかったか、まだ送るほど大きな変数がないか」


レオンはため息のように笑った。


「いいほうに解釈してもいいですか?」


「今はな」


「よかったです」


「では、とりあえず生きてはいるでしょう」


「あの四人は、お前が思うほど死なない」


「はい」


「知っています」


レオンは少し笑った。


「それでも、心は勝手に動いてくれないんですね」


アデリアは短くうなずいた。


「それは正常だ」


その一言は、不思議と慰めのようだった。


レオンはベッドの枕元にもたれて座りながら尋ねた。


「ところで、どうして直接来たんですか?」


「ただ患者の状態確認なら、薬師か伝令を送ってもよかったでしょうに」


アデリアは平然と言った。


「直接来たほうが、お前が余計なことをしにくいと思ったからだ」


「正確すぎて反論できません」


「それと、ついでにだ」


彼女は窓の外を一度見た。


「お前に話しかけたい人間は多い」


「北部の事件、誘拐、ギルド夜襲まで、お前が関わっていないものがないからな」


「だが今の状態であれこれ捕まるようにしておくと、お前がさらに疲れそうだから、私が先に来ておくほうがましだと判断した」


レオンの口元がごく少し下がった。


「身に余る配慮ですね」


「配慮というより整理だ」


アデリアの口調は平らだった。


「お前はまだ怪我もしているし、今は回復が先だ」


「むやみにあれこれ聞き出したり探りを入れたりする人間を相手にして、頭の中までさらに複雑にする必要はない」


レオンはごく短く息を吐いた。


気に入る答えではなかった。


だが、まったく知らないふりをしたり、勝手に断定したりするよりは信用できた。


だから彼は結局、それ以上聞き返さなかった。


代わりに、とても小さく言った。


「思ったより、かなり守ってくださるんですね」


「ギルドは使えるものをむやみに壊してはいけない」


「急に少し感動しにくい言い方になりますね」


アデリアがふっと笑った。


「では訂正しよう」


「お前がむやみに怪我をすると面倒になる」


「さっきよりさらに感動的ではありません」


「そうか」


「私は十分に人間的に言ったつもりだが」


その会話が、一度部屋の空気をほぐした。


レオンはアデリアが持ってきた林檎を手の中で転がした。


硬く、冷たく、妙に現実感のある重さだった。


やがて、ふと思い出したように尋ねた。


「支部長」


「何だ」


「とても些細な質問があるんですが」


アデリアはレオンの顔を見て、ため息をついた。


「その顔は、まったく些細ではない質問が来る直前の顔だが」


「違います」


「本当に小さなことです」


「言ってみろ」


レオンは林檎を一度持ち上げて言った。


「この世界、思ったより亜人族が多くありませんか?」


アデリアが目を瞬かせた。


「急にその質問はなぜだ」


「不思議で」


レオンは正直に言った。


「最初はただ、私がそういう人たちとよく関わるだけだと思っていました」


「セラさんも狼の獣人、マヤさんも狐の獣人、リナさんも猫の獣人で、リリアさんも兎の獣人ですし」


「ギルドに行けば亜人族の冒険者もけっこう多いですし、裏通りや市場でも人間より先に目に入ります」


「なのに貴族や辺境伯のような上のほうは、また人間の比率が高いですし」


「つまり……」


「世界全体がそうなのか、私がいるこの都市が特別なのか、よくわからないんです」


アデリアはその質問を聞いて、意外そうにほんの少し眉を上げた。


「それはかなりまともな質問だな」


レオンは笑った。


「私もたまにはそうなります」


アデリアは椅子の背にもたれ、少し考えてから口を開いた。


「結論から言うと、両方だ」


「両方ですか?」


「世界全体で見れば、亜人族は珍しくない」


「まったくな」


「お前が思っているよりずっと広く分布しているし、数も多い」


「ただし、お前が今足を置いているローデン王国のような人間国家の中心部では人間のほうが目につきやすく、国境や港、ギルド都市、開拓地へ行くほど亜人族の比率が高くなる」


レオンは首を傾げた。


「なぜです?」


アデリアは指を一つずつ折った。


「一つ目。人間の貴族社会は、今でも血と家を重んじる方向で回っている」


「だから記録に残り、土地を所有し、法の上で顔を出す場所には人間が集まっている」


二つ目。

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