第164話
だが頭の中より紙の上に置いてみると、少し息がしやすかった。
整理したからといって解決するわけではない。
それでも名前を付ければ、振り回されにくくなる。
少なくとも、今はそんな気分だった。
彼はベッドにもたれて座り、天井を見た。
光は少し傾いていた。
窓の向こうでは、宿舎の裏庭の木陰が長くなっていた。
風はさっきより涼しかった。
午後がゆっくり夕方のほうへ体を向ける時間。
都市も人も、少し疲れる時間。
レオンは呟いた。
「いいでしょう」
「それでは結論は……」
彼は自分で指を折りながら言った。
「一つ」
「荷物持ちは思ったより重要だ」
「二つ」
「私は危機のとき、妙にはっきりする」
「三つ」
「それは便利だが気味が悪い」
「四つ」
「だからきちんと使うべきだ」
「五つ」
「それでも、できればあまり怪我をしないようにしよう」
とても立派な結論だった。
少なくとも最後の一行を除けば。
なぜなら、彼自身もわかっていたからだ。
最後の行が一番難しいということを。
彼はため息をついて後ろにもたれようとしたが、肋骨が刺すように痛んでびくりとした。
「痛っ」
そしてすぐに自分へ言った。
「はい」
「まさにこういう部分です」
「とても重要です」
少し笑いが出た。
その笑いは大きくなかった。
けれど、無理をしたものでもなかった。
少しはましになった気がした。
退屈で始めた考察だったが、終わってみると単なる暇つぶしだけではなかった。
少なくとも自分の中で何が動いているのか。
それがなぜ気味悪いのか。
これからどう警戒すべきか。
その程度は少し見えた。
彼はメモ用紙を折り、枕の下に入れた。
他人が見れば笑うかもしれない。
実際、リナが見れば大声で読み上げるだろうし、マヤはくすくす笑いながら最後の行をからかうだろうし、エリンは正しいところだけ選んでさらに精密に直してくれるだろうし、セラは読んで何も言わず、最後に一言くらい言うだろう。
無理をするな。
おそらく、その一言。
レオンはそれを想像して、ふっと笑った。
その瞬間だった。
廊下のほうから、誰かが早足で歩いてくる足音が聞こえた。
こつ、こつ、こつ。
軽すぎず、重すぎもしない足音。
ギルド職員にしては速く、戦闘職にしては整った歩き方。
レオンは返事をするタイミングを逃した。
「はい」
「静かな午後はここまでのようですね」
扉が二度叩かれた。
レオンはベッドの上でまっすぐ寝ているふりをしようかと少し悩んだ。
だが、もう遅いようだった。
彼はため息をつき、体を起こした。
「はい」
「どうぞ」
扉を開けて入ってきたのはアデリアだった。
レオンはその顔を見た瞬間、ごく短く安心し、その次の瞬間にはごく小さくうんざりした。
安心した理由は、少なくとも今すぐ斬り合いにはならなさそうだったからで、うんざりした理由は、この人が入ってくるとたいてい言葉でより痛い時間が始まると知っているからだ。
アデリアはいつもの灰色のマントではなく、黒いベストときちんとしたシャツ姿だった。
腰には相変わらず短い剣が掛かっており、片手には書類綴り、もう片手には林檎二つと小瓶一つがあった。
仕事に来たのか、見舞いに来たのか、あるいはその両方なのか曖昧な格好。
彼女は扉を閉めるなり、レオンを一度見回した。
包帯の状態。
姿勢。
ベッドの上の紙。
そしてベッドの下へ転がり込んだ林檎まで。
視線がとても素早く行き来した。
「よし」
アデリアが言った。
「生きてはいるな」
レオンはベッドの上で紙を半分隠しながら笑った。
「その挨拶、どうして皆さん似ているんですか?」
「確認しなければならないからだ」
「もう少し温かい版はありませんか?」
「ない」
やはり怖い。
アデリアは持ってきた林檎を一つレオンの膝の上にぽんと置き、もう一つは卓に置いた。
その次に書類綴りを脇に挟んだまま、ベッド脇の椅子を回して座った。
「痛み」
短い一言。
レオンはすぐに理解した。
「あります」
「程度」
「じっとしていれば耐えられますが、動くと少し気になります」
「呼吸」
「大きく吸うと肋骨が私を恨みます」
「めまい」
「少し」
「嘔吐」
「ありません」
「こっそり歩き回った」
レオンは口をつぐんだ。
アデリアが目を細めた。
「あるな」
「違います」
「ただ膝がちゃんと動くか確認しただけです」
「それを人は歩き回ったと言う」
正確で痛い。
レオンは咳払いをした。
「いいでしょう」
「やはり報告体制が優秀ですね」
アデリアは答える代わりに、小瓶の蓋を開けて匂いを確かめた。
鎮痛剤だった。
いや、鎮痛剤に近い何かだった。
匂いの時点ですでに少し怪しかった。
彼女はそれを卓に置き、ベッドの上の紙をちらりと見た。
「それは何だ」
レオンは反射的に紙をさらに押さえた。
「とても私的なメモです」
「なおさら怪しいな」
アデリアは手を差し出した。
レオンは抵抗してみようとして、諦めた。
どうせこの人は隠そうとすればするほど見る。
彼は一番上の紙を一枚渡した。
アデリアは表情一つ変えずに読んだ。
メインクラス:荷物持ち。
仮説。
運用法。
『この癖に呑まれないこと』まで。
彼女は最後まで読んで、紙を折って返した。
「思ったよりまともだな」
レオンが目を瞬かせた。
「褒め言葉ですか?」
「半分は」
「残りの半分は?」
「一人でこんなものを整理させるほど退屈させておくべきではない、という判断だ」
痛い。
今回も言葉が。
レオンは不満そうな顔で紙を受け取った。




