第160話
ところどころ低い石の山が突き出ており、干からびた灌木が地面にぴたりと張りついていた。
遠くからは、地面ではなく古い獣の皮が重なっているように見えた。
灰黒丘陵地帯が近づいているという意味だった。
マヤは少しの間窓の外を見渡してから、表情を変えた。
軽くとぼけた笑みが少し消えた。
「でも本当に、今回の審査」
リナが彼女を見た。
マヤは指で弓ケースの角を叩いた。
「緊張しないの?」
リナはすぐに答えようとして止まった。
「しないって言ったら嘘だね」
彼女は鈍器の柄を無意味にもう一度握って離した。
「でもさ」
「私、金等級になりたい理由の中で、一番大きいのは別にあるんだ」
マヤが目を細めた。
「レオンのためでしょ?」
リナはすぐにうなずいた。
「うん」
その一言には、不思議なほど迷いがなかった。
リナは視線を少し落とし、それからまた上げた。
「いつもあいつが先に出るじゃん」
「北部でもそうだったし、ギルドでもそうだったし、誘拐された時も結局一番先に転がったのはあいつだった」
「もちろん、あいつの性格がもともとそうなのも合ってるけど……」
「でも私たちまで弱かったら、あいつはもっと無理するじゃん」
マヤは笑わなかった。
代わりに、とても小さく舌先で唇の内側を押した。
「そうだね」
彼女は少し照れくさそうに笑った。
「正直、めちゃくちゃなりたい」
「あたし、金等級になりたい」
「すごく」
「単純に格好いいからっていうのもあるし、セラとエリンの隣に立っても引けを取りたくないっていうのもあるし……」
「それに、今度こそあたしが前で壊せるってところも見せたい」
リナは一拍置き、今度は少し低い声で付け加えた。
「でも一番大きいのはそれ」
「レオンに負担をかけたくない」
馬車の中が少しの間静かになった。
リナは視線をそらさなかった。
「あいつはただでさえ一人で全部背負おうとするじゃん」
「私たちが少しでも揺らいだら、自分がもっと耐えればいいって思う顔をして」
「正直、私はそれが嫌」
「ありがたいけど、嫌」
「今回、金等級まで上がれば、少なくともあいつが『自分がもっとやらなきゃ』みたいに考えるのを少しは減らせる気がするから」
マヤがふっと笑った。
「すごくリナらしい理由だね」
それはからかいのようだったが、声はまったく軽くなかった。
「君は?」
「あたし?」
マヤは窓枠に肘をかけ、顎を乗せた。
「あたしもなりたいよ」
「金等級」
彼女の口調は軽かったが、声の底は思ったより落ち着いていた。
「昔はただ、早く強くなりたかった」
「どこへ行っても馬鹿にされず、誰にも追われず、自分で選んだ道は自分で決められるくらいに」
「でも今は少し違う」
リナは少しの間口だけを開けた。
「どう?」
マヤは外の野原を一度眺め渡した。
「アンブレイカブル・ローズって名前、もう街の中ではかなり通るでしょ」
「依頼人も覚えているし、ギルド員たちも知っているし、敵でさえまず名前を確認する」
「でもその名前が本当に金みたいに重く残るには、あたしたち二人もそれに見合う位置まで上がらなきゃ」
彼女は口元を少し上げた。
「いつもセラとエリンの背中の後ろだけで光っていたいわけじゃないから」
そしてほんの少しの間、笑みがさらに消えた。
「それにリナの言うことも合ってる」
「一番大きい理由は結局それだね」
「レオンがあたしたちのせいでもっと重くなるのは、もう嫌だ」
マヤの視線が窓の外のどこか、すでに遠く後ろへ離れた街のほうをかすめた。
「あいつはきっと違うって言うでしょ」
「自分が好きで飛び込んでるんだって」
「でもそういうやつほど、隣に立つ人間がもっと強くなきゃいけない」
「そうすれば、一人で全部背負う癖を少しでも減らせるから」
リナがにこりと笑い、今度は本気でうなずいた。
「うん」
「私も」
セラは前席でその会話を全部聞いていた。
だがすぐには割って入らなかった。
少しして、馬車が坂を上りながら速度を落とした時になって、彼女が言った。
「二人とも、もう十分に強い」
リナが反射的に尋ねた。
「じゃあ、どうしてまだ銀等級なの?」
セラは一拍置いた。
「ギルドは強さだけを見るわけではない」
エリンがその言葉を引き継いだ。
「戦闘継続力、判断、生存率、チーム運用、後処理、依頼全体の成功率。数字だけ大きい火力では金等級にはなれない」
リナは口を開けた。
「わあ」
「急に授業みたいになった」
「今、授業で合ってるわ」
エリンは平然としていた。
「聞きなさい」
マヤが低く笑った。
「では先生、私たちが今回いちばん足りないものは何ですか?」
エリンは迷わなかった。
「あなたは時々、一人で速すぎる」
マヤの眉がほんの少し上がった。
「それ、褒め言葉じゃないの?」
「違う」
「チーム戦では減点よ」
「あなたが前に出すぎて視界を取る時、残りがあなたの空白を埋めるせいで拍子が乱れることがある」
マヤは口元を噛んだまま窓の外を見た。
反論はしなかった。
エリンの視線は今度、リナへ向かった。
「あなたは逆」
「素直すぎる」
リナがぽかんとした顔をした。
「素直なのがどうして?」
「力も、感情も、突撃も、全部顔に書いてある」
「敵は怖がりはするけれど、読みやすくもある」
リナは鈍器を抱えたまましょんぼりした。
「それはちょっと嫌だな」
「だから直せってことよ」
セラが短く付け加えた。
「今回の遠征で見る」
言葉は短かった。
だがその一言には重みがあった。
マヤが笑いながらつぶやいた。
「怖いね」




