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第158話

「はい」


「努力します」


リリアの耳が、今度は本当に少し楽そうに下がった。


さっきよりも肩の力も抜けていた。


それを見て、レオンは思った。


ああ。


完全にではなくても。


少しは、本当に少しは整理がついたのだ。


互いに違う形で痛み、違う形で巻き込まれ、違う形で記憶していくだろうけれど。


それでもその名前を二人で一緒に口にした瞬間、一人で背負っていた形が、ごくわずかに変わった。


「体ではなく魂がむずむずする、とおっしゃっていましたよね?」


「聞いていたのですか」


「扉の前で少し」


「あ……」


レオンは咳払いをした。


「患者の品位を守れませんでしたね」


リリアは今度、少しだけはっきり笑った。


「もともとそういうものがありましたか?」


「今、完全に崩れました」


その後は本当に何も起こらなかった。


誰かが無理やり扉を開けることもなく、廊下から怪しい足音が聞こえることもなく、突然病室の空気が冷えることもなかった。


ただハーブ茶の湯気がゆっくり薄くなり、窓の外では午後の光が少しずつ傾いていっただけだ。


リリアはさらにしばらく座っていた。


北部の細かな話。


エドモンド辺境伯が最近、一日に何度ため息をつくのか。


ヘレナが表では平気なふりをしながら、警備を二倍に増やしたこと。


城の中の使用人たちが、今でもレオンの話をそれとなく出すこと。


そして北部のパンはギルド厨房のパンより少しぱさつくという、些細な話まで。


レオンもそれに合わせて答えた。


ギルド医務室のベッドが思ったよりひどいこと。


エリンの薬は苦いこと。


リナが残していった警告が具体的すぎたこと。


セラが残していった短剣は手によく馴染むこと。


何でもない言葉が交わされた。


けれどそういう言葉が、戦闘の話よりも人を休ませる時がある。


日が少し傾く頃、リリアは席を立った。


籠は軽くなり、茶碗は空になっていた。


扉の前まで行った彼女が、また振り返った。


兎耳からは、さっきよりずっと力が抜けていた。


「あの……」


「北部へ戻ります」


レオンはうなずいた。


「はい」


「お気をつけて」


リリアは少しの間ためらってから言った。


「レオンさんもです」


レオンが目を瞬かせた。


「私は医務室にいるのですが」


「それでもです」


「むやみにまた一人で歩き回らず、薬は時間どおり飲んで、無理をせず……」


彼女はほんの少し視線をそらし、それからまたレオンを見た。


「次に北部へ来られるくらいには、ちゃんと休んでください」


それは思ったより深く入ってきた。


レオンは少しの間笑みを止め、それから静かに答えた。


「はい」


「それは……」


「努力してみます」


リリアは小さく笑った。


「今回は本当にですよ」


「はい」


「今回は本当にです」


扉が開き、閉じた。


彼女が出ていった後も、少しの間パンの匂いとハーブの香り、そして北部の冷たい風の匂いが部屋に残っていた。


レオンはしばらく閉じた扉を見ていた。


それからとてもゆっくり、またベッドに横になった。


天井は変わらなかった。


医務室も変わらなかった。


体は相変わらず痛かった。


だが、少し前とは違っていた。


息苦しさが完全に消えたわけではなかった。


それでもその息苦しさの真ん中に、とても小さな丘が一つできたような気がした。


風が吹き。


小さな石が立っていて。


いつか自分も一度行ってみると言っておいた場所。


そのイメージは思ったより人を静かにした。


レオンは目を閉じながらつぶやいた。


「いいですね」


今度は誰も尋ねなかった。


だから彼は一人で答えた。


「少しは」


そして午後の光がゆっくり病室の床を渡っていく間、レオンは本当に久しぶりに、何も起きない沈黙の中で目を閉じて息を整えた。


遠征隊の馬車は、思ったより揺れた。




ギルド前庭を出た時点では、車輪もそこそこ上品な体面を保っていた。


街の中の大通りは夜のうちに整えられた石畳の上をまっすぐ伸びていて、建物の間を通っている間は、荷車もまだ『私は有能な輸送手段です』みたいな顔をしていた。


だが外縁に出た途端、本性が出た。


道は土と砂利が混ざったまま、ところどころへこんでおり、車輪はその隙間に出会うたび呻きのようにきしんだ。


馬車の車体は一度上へ持ち上がり、次に横へ傾き、その次には突然下へどすんと沈んだ。


人ではなくジャガイモ袋でも積んでいるかのような動きだった。


つまり、乗っている側として静かに品よくしているには、かなり不利な環境だった。


リナが真っ先に弾けた。


「うわあ」


「これ、本当にお尻痛いんだけど?」


彼女は鈍器を膝の間に立てて馬車の壁にもたれていたが、がたんと一度大きく揺れると、すぐに文句を言った。


猫耳がぷるぷる震えた。


出発する時までは確かに楽しそうだったのに、西部の道はそうした高揚を物理的にまんべんなく砕くことに特化しているようだった。


マヤは向かい側でふっと笑った。


「それは君が体格より重いもの持って乗ったからでしょ」


「違うけど」


「これは純粋に道が悪いんだけど」


「君のお尻も重いし」


「マヤ」


リナが目を細めた。


「喧嘩する?」


「馬車の中で?」


マヤは長距離用の弓が入ったケースを膝に載せたまま、にこりと笑った。


「あたしはいいよ」


「君が天井を突き破りそうなのが問題なだけで」


その言葉に、リナは少しの間真剣に天井を見上げた。


「あ」


「本当に破れるかな?」


エリンが即座に切った。

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