第150話
「この下の行は、どうしてこんなに不吉なのですか」
アデリアは何でもないことのように答えた。
「昇級は当分保留する」
「なぜですか?」
「目立つからだ」
短く正確だった。
レオンはしばし言葉を失った。
ブラムが無感情に付け加えた。
「お前の実績は、すでに青銅に押し込めておくには微妙な水準だ。だが経歴は短く、出自は怪しく、クラスはもっと怪しい。そこに昇級速度までおかしければ、必ず掘り始める奴が出る」
リナが扉のそばでうなずいた。
「うん」
「今のあんた、きらきらしちゃ駄目」
「きらきらという表現は妙ですが、意味はわかりました」
マヤが壁にもたれたまま笑った。
「だいたい、静かに強くなれってことだよ」
レオンはしばらく考えた。
そしてごくゆっくりうなずいた。
「わかりました」
「それもずいぶん私らしいですね」
アデリアが眉を上げた。
「何が」
レオンは書類を見下ろした。
「目立つなと言われても、結局面倒事の真ん中には立っている人生が、です」
リナが先に笑い、マヤが遅れて口元を上げ、エリンはため息をついた。
セラだけは一瞬も笑わなかった。
代わりにレオンをまっすぐ見ていた。
その視線があまりに静かだったので、レオンはなんとなく背筋を伸ばした。
アデリアはそれ以上笑いを許さずに言った。
「説明はここまでだ」
レオンが書類を手に取った。
「わかりました」
「では一つだけ尋ねます」
「言え」
そしてとても率直に尋ねた。
「生還者というのは……」
「正確には何なのですか?」
部屋の中が一瞬静かになった。
ごく短い沈黙だった。
だが短いからこそ、はっきりしていた。
レオンはその沈黙一つだけでわかった。
ああ。
ここには、まだ出していない言葉があるのだ。
アデリアが先に口を開いた。
「今の段階で確定的に説明できることは少ない」
彼女の声は落ち着いていた。
落ち着きすぎていて、むしろあらかじめ決めておいた線のように感じられた。
「ただ、一つは確かだ」
「そのクラスは珍しく、古い記録とつながっている」
「危険な状況での生存性と、異常な適応性を併せて見た分類だ」
レオンは静かに聞いていた。
アデリアはそれ以上深く入らなかった。
「それ以上はまだ調査中だ」
「確かでないことを確かなもののように言えば、判断を誤らせる」
ブラムも短く付け加えた。
「今のお前が知るべきことは、お前にクラスがなかったのではなく、整理されたということだけだ」
エリンが腕を組んだまま言った。
「それと、あんたがこれを言い訳にしてさらに無茶をするなら、薬からまた飲ませるから」
「それは脅迫ですよね?」
「うん」
非常に見事に正直だった。
レオンは乾いた笑いを漏らした。
何かを隠しているのは確かだ。
だが同時に、今すぐ掘り出してもろくなことにならないのもわかった。
世界とはそういうものだ。
扉を開けろと作っておいたように見えても、実際には開けてはいけない扉がある。
そして今この部屋の人々の表情は、全員同じことを言っていた。
その扉は今日開くな。
レオンは少し水晶板を見て、結局うなずいた。
「わかりました」
「では今日はその程度で満足します」
マヤの笑いが半拍遅れて出た。
「意外と素直だね?」
レオンが笑った。
「私の好奇心はかなり強いですが、皆さんの表情を見ると、それをしてはいけないようですので」
リナがくすくす笑った。
「あ、それは合ってる!」
ブラムは鼻を鳴らした。
「無駄に勘は早い」
レオンは書類に名前を書いた。
慣れた自分の名前。
レオン。
今、その名前の下にはクラスも二つある。
荷物持ち。
生還者。
笑えた。
少し気に入った。
たぶん理由は単純だった。
この二行が、彼が今まで生きてきた形を思ったより正直に書いていたからだ。
彼はいつも何かを持っていた。
そしていつも、不思議なほど生き残った。
その事実だけは否定できなかった。
署名を終えてペンを置くと、アデリアが最後の書類を折った。
彼女は折った書類を脇に押しやり、今度はレオンの腰元を顎で示した。
「レオン」
「プレート」
レオンは目を瞬かせ、すぐに意味を理解して腰元に手をやった。
青銅プレート。
最初に受け取った時より、手に馴染んだ感触だった。
彼は紐をほどき、それを静かに外した。
アデリアは差し出された青銅板を受け取り、淡々と言った。
「記録が更新されたなら、これも打ち直さなければならない。ギルドプレートは単なる金属の塊ではないからな」
彼女はランプの明かりの下で青銅板を一度裏返して見せた。
「ここには名前とクラスが刻まれる」
「どの街へ行っても、どの支部へ行っても、お前がギルドに登録された冒険者であることを証明する身分証だ」
レオンは青銅板を見つめた。
名前。
そしてクラス。
それが金属板一枚に刻まれ、どこへ行っても自分であることを証明する。
それは書類の上に書かれた文章よりも、ずっと重く聞こえた。
アデリアが言葉を続けた。
「だから以前の記録で打たれた板は、ここで返納だ」
「新しい記録は新しい板に残す」
レオンは少し遅れて笑った。
「……いいですね」
アデリアがちらりと見上げた。
「何が」
レオンはまだ青銅プレートを見ていた。
「これで本当に、どこへ行っても私だと言えそうですから」
アデリアは短く返した。
「もとからそうだった」
「ただ、その表記が変わるだけだ」
「よし」
「終わりだ」




