第140話
レオンが納得のいかない顔で言った。
「今は私の意見を聞いてくれる人が誰もいないのですか?」
エリンが盆を置きながら答えた。
「いるよ。」
「本当ですか?」
「皆、『飲め』側だけど。」
完璧だった。
完璧にひどかった。
レオンはため息をつき、結局諦めてカップを受け取った。
匂いがすでに舌先を苦しめていた。
彼は毒杯を持った囚人のようにカップを見つめ、つぶやいた。
「本当に気になるのですが。」
エリンが薬瓶の栓を整理しながら言った。
「今度は何。」
レオンはカップを持ったまま、とても真剣な顔で尋ねた。
「呪術もあって、魔法もあって、封印もあって、氷も作れて、眠らせることもできて、人の影に穴まで開ける世界なのに…」
「治癒魔法はないのですか?」
そしてセラが、ごくわずかに視線を動かした。
エリンはカップではなく、レオンの顔を見た。
扉の外の廊下のどこかからちょうど近づいていた足音も、一拍止まった。
レオンは目を瞬かせた。
「なぜ皆さん、そんなふうに見るのですか。」
「私の質問はそんなに愚かなのですか?」
扉が勢いよく開いた。
マヤとリナだった。
マヤは手にリンゴを二つ持っており、リナはなぜか包帯の束と小さな花瓶を持っていた。
二人とも入ってくる途中でレオンの最後の質問を聞いた顔だった。
マヤが最初に口を開いた。
「わあ。」
「ついに聞いたね。」
リナもうなずいた。
「うん。」
「私も最初それ気になった。」
レオンは少し安心した。
「あ。」
「では、そんなに変な質問ではないのですね。」
エリンは椅子を引いて座りながら、ため息をついた。
「変ではないわ。新人が必ず一度はする質問よ。で、答えは?」
エリンは頬杖をついた。
「あるにはある。」
レオンの目が光った。
「お。」
「ただ、君が期待している形じゃない。」
光がぱっと走る。
傷が閉じる。
痛みが消える。
そういうものではないという顔だった。
レオンはカップを持ったまま、少しがっかりした。
「では、かなりチートじみて発展しているわけではないのですね。」
エリンが鼻で笑った。
「世界がいつもそんなに便利なら、君みたいなスキルも生まれなかったでしょうね。」
それは妙に正確だった。
マヤがリンゴを一つ手の中で転がしながら、説明を引き受けた。
「治癒系統はあるよ。」
「でも正確に言えば、『回復促進』に近い。」
「傷を閉じるというより、血を止めて、炎症を防いで、肉が腐らないようにして、体が自分でくっつく時間を稼ぐほう。」
リナもベッドの足元に座って口を挟んだ。
「骨がぼきっと折れたのを、きらっとくっつけるのはほとんど伝説扱いだよ。」
「そういうのは聖国側の最高位聖職者とか、古い王朝の遺物みたいなものが絡んで、ようやく出てくるくらい。」
エリンが付け加えた。
「それに、あったとしても代償が大きいし、誰にでも使うものじゃない。」
レオンはカップを見下ろした。
「つまり結局……」
セラが短く整理した。
「耐えるしかない。」
レオンが顔を上げた。
「この世界、本当に一貫していますね。」
マヤが笑い出した。
「どうして?」
「結局また、それではありませんか。」
「倒れた者は立ち上がり、裂けた者はくっつくまで耐え、怪我をした者は休まなければならない。」
エリンが返した。
「うん。」
「だから私が薬を飲ませているの。」
「それが急にとても合理的に聞こえ始めました。」
リナは花瓶を卓の上に置きながら、にっこり笑った。
「いいでしょ?」
「夢と希望はないけど、わかりやすいよ。」
「いい点がまったくいい点ではありませんね。」
その時、マヤがリンゴをレオンのほうへ投げた。
レオンは反射的に受け取ろうとしたが、手首が遅れた。
セラが途中でさらった。
とても自然に。
レオンは少し止まった。
マヤも止まった。
リナも目を瞬かせた。
エリンは知らないふりをして机のほうを見た。
セラは何事もなかったようにリンゴをベッド脇へ置いた。
「まだ駄目だ。」
レオンがようやく口を開いた。
「ありがとうございます。」
「うん。」
短い返事。
だがリナの口元はすでに妙にぴくついていた。
マヤも意味もなく咳払いをした。
エリンは相変わらず知らないふりをしていたが、ページをめくってもいなかった。
レオンは素早く話題を変えた。
「では、高位の治癒師はどこあたりにいるのですか?」
「今回、少し身をもって興味が湧きまして。」
エリンがすぐに答えた。
「お金があって、権力があって、神殿とつながりのある場所。」
「あ。」
「やはり私とは遠い世界ですね。」
「遠いね。」
マヤがにこりと笑った。
「でもギルド専属薬師には、君はもうブラックリスト寸前だよ。」
レオンが顔をしかめた。
「なぜですか。」
「怪我が多すぎるから。」
リナが即座に割り込んだ。
「うん。」
「昨日も言ってた。」
「『またあの子か』って。」
「あの子と呼ばれる年齢ではないのですが。」
エリンが冷静に言った。
「患者扱いに年齢はつかない。」
レオンはカップの中の緑褐色の液体を見下ろした。
本当に嫌そうだった。
とても。
それでも、この会話が少し心を軽くした。
治癒魔法はない。
少なくとも、自分が想像したような形では。
だから結局、体はゆっくりくっつき、時間は流れなければならず、薬は必要で、横になっていなければならず、傍には誰かがいなければならない。
不便だ。
遅い。
もどかしい。
けれど、それがかえって今はよかった。
すべてが光一つで終わる世界なら、マルセラが残したものも、あまりにも早く消えてしまいそうだったから。
リリアの涙も。
セラが一晩中椅子に座っていたことも。
自分のぼんやりした意識も。
くっつくまで時間がかかるのが当然なら。
心もたぶん、そうなのだろう。
レオンはカップを持ち上げ、一口飲んだ。




