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第137話

「また体が先に飛び出したし。」


「それは…」


「はい。」


「また生きて戻ってきたし。」


「それは褒め言葉として受け取ってもいいですか?」


マヤはそこでようやく彼を振り返った。


「半分だけ。」


「渋いですね。」


「当然でしょ。」


「君が皆をどれだけ驚かせたと思ってるの。」


それは冗談に近かったが、語尾がほんの少し震えていた。


レオンはパンを持った手を見下ろした。


ああ。


そうか。


自分だけがぼんやりしているわけではなかった。


皆も、まだ終わっていない。


彼は少し視線をそらし、静かに言った。


「すみません。」


マヤは答えなかった。


代わりに、少し、本当に少しだけ手を伸ばし、レオンの額をこつんと突いた。


「次は謝る前に、もう少し怪我を減らして。」


「それはかなり高難度の課題です。」


「それでもやって。」


その時、扉がまた開いた。


今度はノックもためらいもなかった。


リナだった。


両手いっぱいに何かを抱えて入ってきた。


布の塊、枕、毛布、何か丸い瓶、そしてなぜか木彫りの玩具のアヒルまで。


レオンが目を大きく開いた。


「少し待ってください。」


「最後のはなぜあるんですか?」


リナは晴れやかに答えた。


「お見舞いセット!」


「アヒルがですか?」


「かわいいから!」


その基準はリナらしく固く、説明にはならなかった。


彼女はそのままベッドの上に荷物をどさどさとぶちまけると、とても満足げな顔で腰に手を当てた。


「よし。」


「これで完璧。」


マヤが眉を上げた。


「何が?」


「レオンをベッドに叩き込む準備。」


レオンが顔を上げた。


「表現が少し荒いのですが。」


「そう。」


「否定はされないのですね。」


リナは大股で近づき、窓際の椅子の横に立った。


そして、とても真剣に言った。


「立って。」


レオンは答えるタイミングを逃した。


「嫌です。」


「どうして?」


「ついさっきまでは会話だったのに、急に強制力が生まれました。」


「うん。」


「それで合ってる。」


「正直すぎますね。」


リナは両手を腰に当てた。


「レオン。」


「君、今の座り方、まさに悪い座り方だよ。」


「それは具体的にどういう意味ですか?」


「無理して倒れる形。」


マヤが横から静かに加勢した。


「そう。」


「ものすごく。」


レオンは納得がいかなかった。


「私はただ窓の外を見ていただけですが。」


「それがもっと怪しい。」


「なぜですか?」


リナが指でレオンの顔を指した。


「君、いつも窓の外を見てる時はもっと喋るでしょ。」


それは思ったより致命的だった。


なぜなら、合っていたからだ。


レオンは少し言葉に詰まった。


そしてその一瞬を、リナは絶対に逃さなかった。


「よし。」


「認めたね。」


「まだ認めていませんが?」


「表情が認めた。」


本当に納得がいかなかった。


だがマヤも笑い、その笑いがかなり本気だったので、なおさら反論しにくかった。


レオンはため息を吐いた。


「わかりました。」


「では、少しだけ寄りかかります。」


「違う。」


「横になるの。」


「交渉という美しい文化はどこへ行ったのですか?」


「ない。」


今度はエリンだった。


扉口にもたれて立っていた。


銀色の髪は、午後の光を受けるといつも不思議に冷たく光った。


氷ではなく、氷が置かれていた銀の盆のような光。


彼女は薄い本一冊と薬瓶をいくつか持っていた。


当然という顔だった。


すでにこの光景を予想して来た人の顔。


「全員そろったね。」


彼女が言った。


「よし。」


「これから強制的に寝かせる。」


レオンは目を閉じた。


「よくありません。」


「君の感想は聞いてない。」


「患者の人権が深刻に侵害されています。」


エリンは無表情で瓶を一つ掲げて見せた。


「これを飲めば、ぐっすり眠れる。」


レオンが瓶を見た。


薄い青色の液体だった。


見るだけで『マイルド味ではありません』と書いてある色だった。


「あの、それはもしかして、目が覚めた時に記憶がぼやけたりはしませんか?」


「それはもっと高いほう。」


「これはただ眠るだけ。」


「それは安心ですね。」


「全然安心じゃないけど。」


マヤが笑いをこらえながら尋ねた。


「君、エリンの薬をどうしてそんなに怖がるの?」


レオンは真剣に答えた。


「効果が確実だからです。」


「褒め言葉ね。」


エリンが平然と受けた。


「嫌です。」


「私の体には、もう少し確実でない方法が合っています。」


その時だった。


扉がまた開いた。


今度は静かだった。


本当に静かで、部屋の空気が先に反応した。


セラだった。


彼女はいつものように言葉が少なかった。


だが今日はその無言が、さらに低く、さらに硬かった。


黒い服の上から当てた包帯が何か所か見え、手袋を外した手の甲には浅い傷もあった。


彼女も休むべき側だということはありありと見えたのに、誰もその言葉を先に口にできなかった。


なぜなら今この部屋で、真っ先に人ひとりをベッドに寝かせる勢いの顔をしていたからだ。


セラが部屋の中を見回した。


窓際のレオン。


ベッドの上の枕。


リナの手の毛布。


エリンの手の薬。


マヤの表情。


そして短く尋ねた。


「まだ寝かせていないのか。」


リナが即座に手を上げた。


「今まさにやるところ!」


レオンは驚いて顔を向けた。


「あの。」


「その表現を、まるで荷物を運ぶように…」


セラが一歩近づいた。


「立て。」


さっきリナが言った言葉と同じだった。


だが破壊力が違った。


レオンは反射的に椅子の肘掛けをつかんだ。


「私は今、十分に…」


「違う。」


本当に短かった。


それなのにその一語で、反論しようとしていた言葉が半分ほど途切れた。


セラはレオンの前で止まった。


窓の外の光が彼女の肩越しに入り込み、部屋の床へ長く細い影を落とした。

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