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第136話

レオンはその言葉に答えられなかった。


ただ、とても、本当にほんの少しだけ笑った。


めちゃくちゃで、ぼんやりした笑みだったが、さっきとは違っていた。


空っぽのまま沈んでいく笑みではなく、空っぽのままでもどうにか一歩は進んでみようと決めた人の笑み。


彼は最後に窓の外を見た。


街は相変わらず、知らん顔をした表情だった。


それなら、いい。


その何もなかったような顔の下で、自分がすべきことをすればいい。


マルセラが最後まで言いきれなかったあの一言を、今度は自分が引き継げばいい。


レオンはとても低く、ほとんど自分にだけ聞こえるように何かをつぶやいた。


セラはそれを聞いたのか聞かなかったのか、何も言わなかった。


だが扉を開けて先に外へ出る速さは、レオンがついていくのにちょうどいいだけ遅かった。


そしてその扉の外には、確かに待っている人たちがいた。


マヤが心配そうな顔で腕を組んで立っているだろうし、


リナはまた無駄に多い菓子を抱えているだろうし、


エリンは薬を飲んだかどうかから確認しようとするだろう。


だから、レオンは歩いた。


完全に戻ってきたわけではなくても。


まだ全部整理がついたわけではなくても。


それでも、また一緒に行くために。


その一歩なら、ひとまず十分だった。


街の午後は、人が死にかけて戻ってきた後の表情などまったく理解していない顔をしていた。


窓の外の屋根は、雨に一度洗われた黒い瓦のように湿って光り、煙突からは遅い灰色の息が上がっていた。


路地の下には、パンの焼ける匂いと濡れた石材の匂いと馬車の車輪がこする音が混じり合って流れていた。


昼間とはいつもそうだ。


誰が一晩中血を流したとしても、誰がようやく人ひとりを抱えて帰ってきたとしても、朝の商いは開き、夕食の材料は下ごしらえされ、酒場の主人は樽を拭く。


世界はいつも、他人の傷より自分の営業時間に真面目だった。


だからだろうか。


ギルドの客室の窓際に座ったレオンは、その無関心な風景が少しありがたいと思った。


窓の外があまりにも普通だと、人は自分の内側がどれほどめちゃくちゃなのか、かえってはっきりわかる。


今の彼の体が、まさにそうだった。


喉はまだ熱かった。


肋骨は深く息を吸うたび、とても律儀に抗議してきた。


手首は包帯の下でずきずきし、肩もよくなかった。


そして意識は少しぼんやりしていた。


体は戻ってきたのに、感覚のかけらがいくつか、まだギルド地下の廊下に残っている気がした。


黒い灰の匂い、濡れた石、マルセラの最期の表情、セラの手、灰色手袋の声。


そういうものが全部、水に濡れた紙片のように意識の内側に貼りついていた。


よくない。


本当に。


それでもレオンは窓際の椅子に座っていた。


なぜなら、横になるともっと思い出しそうだったからだ。


彼が窓枠に額を軽く預けていた時だった。


扉が開いた。


ノックはなかった。


あったのだが、レオンには聞こえなかった。


それほどぼんやりしていたのだ。


「やっぱりここにいた。」


マヤだった。


赤い髪は、今日も光を受けるのがうますぎた。


窓の外の曇った陽光が彼女の髪先に引っかかり、まるでよく熟れた木苺の皮に水気が宿ったようにきらめいた。


だが目元には確かに疲れがかかっていた。


笑う口元の下側にも、夜を明かした人特有の薄い苛立ちと心配が。


彼女の片腕には紙袋が抱えられていた。


レオンが顔を向けた。


「こんにちは。」


「今日も忍び込む腕前が印象的ですね。」


「忍び込んだんじゃなくて、君がぼんやりしてるだけ。」


「その可能性も否定はできませんね。」


マヤはため息のように笑い、部屋の中へ入ってきた。


そしてベッドの上に紙袋をぽんと放った。


「パン。」


レオンは目を瞬かせた。


「毒が入っていますか?」


「殴られたい?」


「いいえ。」


「急に厚意が来たので警戒しました。」


「傷ついた患者にパンをあげることを厚意って呼ぶ君の人生のほうが問題だよ。」


それは少し反論しにくかった。


レオンはおとなしく紙袋を開けた。


バターの匂いがした。


それに、とてもかすかにシナモンの匂いも。


「お。」


それは本物の感嘆だった。


「これはなかなか高級な患者食ですね。」


「君が噛みやすいものを選んだの。」


「喉も調子悪いでしょ。」


レオンは少し言葉を失った。


だから、問題はこういうことだ。


殴られる時はよく耐える。


飢える時も耐える。


縛られても耐える。


なのにこういうふうに真正面から世話をされると、時々そのほうが困る。


だから彼は、わざと笑った。


「ありがとうございます。」


「私、思ったより生き残る価値のある人間だったんですね。」


マヤはベッドの端に腰掛けながら、ふっと笑った。


「今さらだね。」


短い沈黙。


窓の外では馬車が通り過ぎた。


石畳をこする車輪の音が、低く長く上がってきた。


その音は不思議と安定していた。


人が見れば、何事もない午後のようだった。


マヤが腕を組んだ。


「ところで君、どうしてベッドを使わずにまたそこに座ってるの?」


レオンはパンを一口ちぎった。


ゆっくり噛み、飲み込み、答えた。


「窓の外が見えるからです。」


「それが理由?」


「はい。」


「横になっていると、私がまだ患者みたいなので。」


マヤは少し彼を見た。


そして、とても軽く言った。


「患者でしょ。」


その言葉があまりにもまっすぐ入ってきて、レオンは半ば笑った顔のまま止まった。


マヤは視線を窓の外へ向けた。


「レオン。」


「君、今回はちょっとひどかったよ。」


冗談気のない声だった。


だからレオンも、すぐには冗談で返せなかった。


「はい。」


「いつもひどいけど、今回は本当に。」


「はい。」

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