第127話
先端は半ば欠けていたが、その分かえって鋭くなっていた。
マルセラがそれを見た。
レオンも見た。
よくないな。
かなり。
だが、それが必要だということは誰にでも分かった。
マルセラは手を伸ばし、そのピンを握った。
指が震えていた。
恐怖のせいか、痛みのせいか、それともその両方のせいかは分からなかった。
灰色手袋が丁寧に言った。
「それはよくない選択です」
黒い波がとても薄く揺れた。
「本当に最後の瞬間だけは、私の力を借りずに耐えてみせるおつもりですか、マルセラ」
「黙れ」
マルセラが初めて即座に切り捨てた。
灰色手袋はその短い返答を聞いても退かなかった。
「あの男の前でだけは、最後まで別の顔をしていたいようですね」
階段の上から、裸足の足音がどっと雪崩れてきた。
血を浴びた信徒三人が手すりを掴み、ほとんど這うように降りてきた。
一人は顎が砕けて言葉も出ないのに笑っており、もう一人は手のひらに釘を打ったまま、そのまま突っ込んできた。
リナが最初の一人の顔面を鈍器で折り畳み、マヤが二人目の首筋に刃を刺して階段下へ押し転がした。
三人目は倒れながらも手を伸ばし、廊下の床の金属片をマルセラのほうへ押し込んだ。
アデリアがすぐにその欠片をつま先で蹴り飛ばし、壁に突き刺した。
「しつこいね」
彼女が低く、悪態のように言った。
灰色手袋は一瞬沈黙した。
その短い沈黙が、かえって長く感じられた。
「後悔なさいますよ」
「それは私が決める」
そしてマルセラはレオンを見た。
とても近く。
初めて見る表情だった。
助けを求めているわけでも、許しを請うているわけでも、礼を言っているわけでもない表情。
ただ、最後まで自分の目を逸らさないという顔。
「放して」
レオンは一瞬、手にさらに力を込めた。
放せば、本当に行く。
だが放さなくても行く。
あの女は今、そんな顔をしていた。
よくない。
本当に。
レオンはとてもゆっくり手を離した。
マルセラは笑わなかった。
ただ、ごく小さく言った。
「よくやった」
そしてその瞬間。
彼女が動いた。
マルセラは自分の首の後ろの青い線の上に、封印ピンを押し当てた。
刺すのではなく、引っ掻き上げるように。
肉を割り、その内側に埋まった熱い何かを無理やり起こすやり方で。
エリンが同時に魔力を押し込んだ。
青い線が閃いた。
マルセラの首の後ろから、黒い糸線が一本飛び出した。
灰色手袋が初めて声を高くした。
「おやめなさい」
今度は声の端に、初めて焦りが滲んでいた。
「それはあなたの手で握れるものではありません」
遅かった。
マルセラはその黒い糸線を素手で掴んだ。
瞬間、手のひらの肉が焼ける匂いがした。
黒い光が彼女の手の甲を伝って上がった。
手首の血管の下へ、夜が染み込んでいくような凄惨な光景。
それでも彼女は放さなかった。
むしろ笑った。
今度は本物だった。
壊れていて、痛々しく、狂気に近かった。
だが間違いなく、喜んでいた。
灰色手袋は形が引きずり出される直前になっても、最後まで言葉を手放さなかった。
「放しなさい」
「まだ遅くはありません」
言葉が終わる前に、灰色手袋は実際にその糸線を断とうとした。
濡れた床の四か所から黒い手が同時に噴き上がり、階段側からはまだ死んでいない信徒二人がほとんど四つ這いで降りてきて、レオンの脚にしがみついた。
リナが一人の背中を踏みつけて顔を石段に叩きつけ、マヤがもう一人の首をひねって引き剥がした。
それでも、その短い瞬間だけで、黒い指先の一つがマルセラの手首近くへ届いた。
エリンの封印線がかろうじてそれを弾き飛ばした。
マルセラは歯を剥いた。
「うるさい」
そして笑った。
「掴んだ」
その一言とともに、濡れた石床のあちこちが同時に噴き上がった。
灰色手袋の黒い腕ではなく、それよりもっと上。
肩。
首。
そして顔の半分ほど。
まるで誰かが無理やり水の下から引き上げられるように、黒い反射面の中に潜んでいた形が、廊下の真ん中へ半ば飛び出した。
灰色手袋の下の顔は、最後まではっきりしなかった。
濡れたガラスのようにぼやけ、輪郭は波打っていた。
だが人一人が確かにそこにいた。
灰色手袋が初めて、本当に驚いた声を出した。
「これは……!」
セラが動いた。
彼女の剣に迷いはなかった。
どん。
いや、それは音というより意思に近かった。
剣が灰色手袋の右腕を真正面から断ち切った。
今度は黒い水だけが飛んだのではなかった。
黒ずんだ赤いものが細く、しかし確かに混じって飛び散った。
マヤの短剣がすぐにその肩の下をさらに刺し、リナの鈍器が廊下の床を響かせながら形を横へねじった。
エリンが青い封印線をその上へ叩きつけた。
アデリアが用意していた印章の欠片を投げ、斬られた腕の断面へ打ち込んだ。
そして最後は。
マルセラだった。
彼女はまだ黒い糸線を掴んでいるその手で、全身をひねって灰色手袋の形を自分のほうへ荒々しく引き寄せた。
同時に、床に落ちていた封印ピンが石の隙間に斜めに刺さったまま光った。
直線だった。
迷いのない、彼女らしくないからこそかえって驚くほどの直線。
灰色手袋のぼやけた顔の輪郭が下へ叩きつけられ、床に刺さっていた封印ピンの先へ正面から貫かれた。
ちん。




