第116話
レオンはため息に似た笑いを漏らした。
「はい」
「できることはできます」
アデリアがすぐに受けた。
「よし」
「ただし条件があります」
「言え」
「いい椅子をください」
リナが先に吹き出した。
マヤががくりとうなだれ、エリンはこめかみを押さえた。
セラはほんの少しだけ口元を動かした。
アデリアは数秒間、本気でレオンを見つめてから言った。
「いいだろう」
「やる」
「その代わり死ぬな」
「素晴らしい取引ですね」
「まったく素晴らしくない」
だが会議はそれで終わらなかった。
アデリアはすぐに地図を片づけ、新しい紙を取り出した。
「配置を組む」
彼女が線を引いた。
ギルド地下拘留室。
中央廊下。
階段入口。
脇戸。
通風口。
格子のない採光窓。
レオンはその構造を見て眉をひそめた。
「よくありませんね」
エリンが説明した。
「もともとここは、長く引っ張る捕虜を置く場所じゃない」
「数日寝かせて引き渡すか、酔っぱらいを縛っておくか、長くても一日二日用」
マヤが指で採光窓をとんと叩いた。
「だから外から何かを入れやすいし」
リナは通風口を指した。
「こっちも?」
エリンがうなずいた。
「煙、粉、小さい虫、呪いの媒介。いろんなものが入ってくる」
アデリアは冷たく整理した。
「だからこの夜だけは、拘留室一つを人より厳しく見る」
計画は素早く組まれた。
マルセラは単独拘禁。
食事と水はエリンが確認するまで持ち込み禁止。
通風口と採光窓には臨時の封印膜。
廊下の外側の影の監視はマヤ。
階段入口と脇戸はリナ。
アデリアは上階の文書室と伝令のほうを締め、必要なら即座に下へ降りてくる。
セラは巡回と非常対応。
そしてレオンは。
「拘留室の扉の前」
アデリアが最後に釘を刺した。
「椅子を一つ置いて、扉の前に座れ」
「必要なら話しかけ、反応を見て、異常ならすぐ呼べ」
レオンは静かにうなずいた。
よし。
今夜の自分は、扉の前の犬みたいな役というわけだ。
発音しやすく、よく転がり、妙に死なず、今度は捕虜の前の監視員まで。
人生というのは本当に。
前もって教えてくれることがない。
ギルド地下の拘留室は、思ったよりさらに湿っていた。
石壁は長く濡れた墓のように冷たく、床の隙間からは昼でも抜けきらなかった湿気がゆっくり上がってきた。
松明の光は上階より濁っていて、影は短くならず長く伸びた。
廊下の端から水滴の落ちる音が聞こえた。
ぽた、ぽた、と。
誰かが時間をわざと釘のように打ち込んでいるような音。
マルセラは拘留室の中の椅子に縛られていた。
手首は後ろへ、足首は椅子の脚へ。
さらに腰まで固定されていて、体全体を強くひねることはできないようにしてあった。
セラが結び目を作り、エリンがその上に呪術防止の糸を一重重ねた。
逃げるにはかなり不親切な構造だった。
それでもマルセラは崩れていない顔をしていた。
髪はもつれ、手の甲にはレオンが引っかいた浅い傷がまだ残っていて、服の袖も裂けていた。
それなのに彼女は妙に整って見えた。
割れたグラスの破片一つが、まだ縁だけはガラスであるかのように。
レオンは扉の外に置かれた椅子に慎重に座った。
よし。
本当によし。
背もたれがある。
彼はごく小さな感動を覚えた。
彼の目の前に文言が浮かんだ。
【指定位置着席成功】
【監視任務開始】
【個人的感想:はい、椅子は素晴らしいです】
レオンはほとんど無意識につぶやいた。
「素晴らしいですね」
拘留室の中で、マルセラが低く笑った。
「狂っているのかと思いましたが、思ったより一貫していらっしゃいますね」
レオンは頬杖をついた。
「ありがとうございます」
「私は一貫性が長所です」
「その長所のおかげで、またここまで転がってこられたようですね」
「それは否定しにくいですね」
マルセラが青白い顔で彼を見た。
視線の先が鋭い。
折れた刃のように。
「ギルドがあなたをつけた理由は何ですか」
レオンは肩をすくめようとして、肋骨が痛んだので諦めた。
「だいたい、あなたが私を嫌っているからです」
マルセラの口元がごくわずかに歪んだ。
「嫌っている、と?」
「はい」
「あるいは気にしているか」
「生意気な解釈ですね」
「いいでしょう」
「では訂正します」
「私を見ると、気分が悪くなるようです」
今度は返事がなかった。
代わりに目の色が変わった。
当たった。
正確に。
レオンは内心思った。
彼女はセラを見るとまず警戒し、アデリアを見るとまず計算し、エリンを見るとまず苛立つ。
だがレオンを見ると、その三つの間のどこかが微妙に乱れる。
それは弱点だ。
よくない形で。
だが弱点は弱点だ。
レオンはとてもゆっくり尋ねた。
「灰色眼球会が、あなたを生かしておくと思いますか?」
マルセラの指先がごくかすかに固まった。
ほんの一瞬。
本当に一瞬。
だがレオンは見た。
彼女はすぐに嘲笑した。
「尋問にしては下手ですね。そうでしょうね。私は専門家ではありませんから」
「それでも尋ねるんですか?」
「気になるので」
レオンは拘留室の壁に軽く頭を預けて笑った。
「それに私には、あの人たちは助けに来るふりをしても、結局は口を塞ぎに来るように見えるので」
マルセラは何も言わなかった。
廊下の向こうで、水滴の音だけがぽた、ぽた、と落ちた。
レオンはその静寂をもう少し押した。
「あなたも知っているでしょう」
マルセラの口元が歪んだ。




