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第115話

「今からマルセラは保護対象ではなく、生きて口を開かなければならない証人だ」


リナが顔をしかめた。


「聞きたくないね」


マヤが肩をすくめた。


「聞きたくなくても正しいでしょ」


「生きていないと吐かない」


その言葉の後に、短い沈黙が来た。


レオンはその沈黙の中で、ふとマルセラの顔を思い出した。


応接室の顔。


地下室の顔。


すねを椅子の角で打たれたとき、一瞬歪んだ顔。


そして最後にセラに押さえつけられていた顔。


あの女は死にそうになっても、最後まで牙を剥くだろう。


問題は、その牙を折る前に、誰かが外から舌ごと切りに来るかどうかだ。


アデリアが再び口を開いた。


「だから監視をつける」


リナがぱっと手を上げた。


「私がやる?」


マヤがすぐに切った。


「あんた、拘留室の扉まで壊しそうなんだけど」


「壊さない!」


「予想より早く言ったね」


エリンが付け足した。


「リナはだめ」


「外で誰かが尻尾を振っただけで、すぐ飛び出していく顔だよ」


リナは心外そうな顔をした。


「それは違うし」


「合ってるし」


「合ってるかも」


その自白があまりに早くて、レオンは少し笑った。


よし。


今日もリナさんは一貫している。


アデリアはセラを見た。


「お前はだめだ」


セラの目がほんの少し細くなった。


「なぜ」


「お前が守れば死にはしないだろう」


「代わりにマルセラが口を開く確率は半分に落ちる」


マヤがうなずいた。


「そうだね」


「セラの前だと、我慢比べに入るよ」


「歯を食いしばって」


エリンも同意した。


「むしろ凍りつくでしょ」


セラは不快そうにはしなかった。


ただ事実を聞いた顔で、ごく短く息を吐いただけだった。


次はマヤだった。


「私は?」


アデリアは断固としていた。


「お前は外だ」


「予想はしてた」


「お前がいないと拘留室の外を探れない」


「忍び込むのはお前の専門だろう」


マヤは肩をすくめた。


「それは認める」


エリンは自分から言った。


「私は呪術対応」


アデリアがうなずいた。


「そうだ」


「拘留室の内外の封印、食事と水の確認、紋様探知」


「お前の手はそこに縛られる」


リナは唇を尖らせた。


「じゃあ私も外?」


「外だが入口側」


「誰かが逃げたらお前が止めろ」


「お」


リナはすぐに機嫌がよくなった。


本当に扱いやすい人間だ。


その瞬間、アデリアの視線がレオンへ向いた。


レオンは急に、非常によくない予感を覚えた。


彼の目の前に文言が浮かんだ。


【危険予感】


【高確率で使用者が呼ばれます】


【個人的感想:はい、私も嫌です】


アデリアが言った。


「レオン」


「はい」


「お前がつけ」


リナが真っ先に目を丸くした。


「なんで?」


マヤは眉を上げた。


「まあ……」


「ああ」


エリンはすでに理解した顔だった。


セラは何も言わずにレオンを見た。


レオン本人は一拍遅れて、自分の鼻を指さした。


「私ですか?」


アデリアは少しも揺らがなかった。


「そうだ」


「お前だ」


「私は今、肋骨が非常に……」


「知っている」


「手首もあまりよくありませんし……」


「それも知っている」


「なのに、なぜ私なんですか?」


アデリアはペンを置いた。


「一つ目」


「マルセラはお前に反応する」


部屋の中が静かになった。


レオンも口を閉ざした。


アデリアは言葉を続けた。


「セラには歯を食いしばって耐える」


「私には計算から入るだろう」


「エリンには苛立つだけだ」


「マヤには嘲笑を返すだろう」


「リナは見下すか、面倒がる」


「だが、お前には違う」


マヤが低く笑った。


「それは合ってるね」


アデリアが指を一度折った。


「二つ目」


「お前はあの組織のやり方に、すでに一度巻き込まれている」


「誘拐、監禁、誘引、呪術の痕跡」


「向こうがどう捻じ込んでくるのか、体で見た」


エリンが付け足した。


「それに、ああいう状況で妙に死なない」


「よく聞こえませんね」


「それでも事実でしょ」


アデリアは最後に言った。


「三つ目」


「あの女はお前を見下しながらも気にしている」


「それは尋問にはいい条件だ」


本当に嫌だな。


レオンは思った。


とても。


だが否定もしにくかった。


マルセラはレオンを弱いと見ながらも、何度も自分の計算を狂わせる存在として認識している。


だから余計に敏感に見る。


そういう相手は、ときに刃より言葉で先にひびが入る。


セラが静かに尋ねた。


「できるか」


レオンは彼女を見た。


セラの目はいつも通り、短く硬かった。


無理に押しもしないし、簡単に外しもしない。


お前にできるか、自分で決めろという顔。


よし。


こういう顔はいつも困る。


レオンは少し肋骨を押さえた。


痛い。


確かに痛い。


今、寝台に突っ込まれていても誰も文句は言わないだろう。


むしろ皆、賛成するかもしれない。


だが。


マルセラを誰かが口封じしに来て、彼女の口から灰色眼球会の次の手が出る前に、誰かが拘留室の中へ滑り込んでくるかもしれない。


正直に言えば、レオンはマルセラが嫌いだった。


嫌いで、苛立たしくて、二度と関わりたくなかった。


だがそれとは別に、目の前で誰かが口を塞がれるように死ぬ様を見るのはもっと嫌だった。


それが仇であれ、裏切り者であれ、自分の首に刃を突きつけた女であれ同じだった。


一度そういう形で人を取り逃がすと、その場面は長く残る。


そしてそんな夜に、自分はまた大人しく横になっていられないのだろう。


本当にうんざりするほど自分らしい。

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