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第108話

黒い煙と青い冷気が互いを噛み裂いた。


灰色手袋が目を細めた。


「やはり厄介ですね、エルフ。」


エリンが冷たく笑った。


「ありがとう。」


「君にそう言われると、褒め言葉に聞こえるよ。」


リナがその短い混戦の中でも、すぐに灰色手袋へ向かって入った。


彼女の鈍器は一直線に落ちた。


灰色手袋は後ろへ下がりながら細長い剣を抜いた。


初めて見る武器だった。


薄く長く、あまりにもまっすぐで、かえって儀式用のようだった。


きん。


鈍器と剣がぶつかり合った。


リナは一歩も押されなかった。


灰色手袋はそこで終わらせず、すぐにつま先で床の灰色の箱を蹴り上げた。


箱が宙に浮いた。


蓋が開き、中の小さな金属片と液体瓶が散った。


よくない。


レオンは本能的にそう思った。


そしてその次の瞬間、マヤの矢がその硝子瓶を撃ち砕いた。


しゃあっ。


透明な液体が壁に飛び散った。


煉瓦がじりじりと黒く焼けた。


リナが顔をしかめた。


「あ、うわ。」


「あれ、ほんと嫌。」


マヤが歯を見せた。


「だから撃ったんだよ。」


一方、床のレオンはまだ完全に自由ではなかった。


足首の枷と左手の拘束が残っていた。


だがもう他人の手を待つつもりはなかった。


セラがマルセラを追い詰め、エリンとリナとマヤが灰色手袋のほうを受け止めている間、レオンは倒れた椅子の脚を床に突き立て、無理やり体を起こした。


肋骨が悲鳴を上げた。


目の前が一瞬揺れた。


それでも止まらなかった。


彼は自由な右手で、さっき床で握っておいた金属ピンをもう一度手の中に丸め込み、左手の革紐と足首の枷の接続部を一つずつこじ上げた。


きちんと外す手際ではなかった。


ほとんど力任せだった。


切るというより隙間を広げ、ひねり、手首の骨を無理やり折り込んで抜き出すやり方だった。


左手が先に抜けた。


足首は二つのうち一つだけ完全に外れた。


いい。


完璧ではなくても十分だ。


これで本当に自由だ。


もちろん体の状態はめちゃくちゃだが。


それはいつものことだし。


レオンはかろうじて体を起こした。


立ち上がった途端、世界が一度揺れた。


肋骨が悲鳴を上げ、肩が痺れ、手首では熱い痛みがずきずき脈打った。


そのうえ灰色手袋が撒いた黒い気配が、まだ視界の端で古い悪夢のようにちらついていた。


それでも立つことはできる。


いい。


それで十分だ。


セラはその間にマルセラを壁際へ追い詰めていた。


マルセラは抜けた。


本当にぎりぎりで。


左へ体をひねり、短剣でセラの刃を流し、壊れた棚を足場にして上へ跳ねた。


隙を作る、賢い動きだった。


もし相手が普通の剣士だったなら、おそらく一拍は稼げただろう。


だがセラは普通ではなかった。


彼女は追撃しなかった。


代わりに、その棚そのものを足で蹴った。


どん。


古い木材が崩れた。


足場を失ったマルセラの体が空中で揺れた。


まさにその瞬間、セラの鞘が上がり、彼女の手の甲を打った。


かん。


短剣がまた弾き飛ばされた。


今度はさらに遠くへ。


マルセラが壁にぶつかって呻きを漏らした。


セラが言った。


「終わりだ。」


本当に終わりを宣告する声だった。


マルセラは壁に背を預けたまま笑った。


息は荒く、髪も少し乱れ、首のリボンも半分ほど解けていた。


最初に地下室でレオンを見下ろしていた時の、あの整った冷たさはもうかなり崩れていた。


それでも彼女は笑った。


「あなたたちはいつもそう言いますね。」


「今度は違う。」


「いいえ。」


「同じです。」


マルセラの瞳が、セラではなくレオンのほうへ動いた。


よくない。


その視線はいつも、何かを壊す直前だ。


レオンが顔をしかめたまさにその瞬間、マルセラがつま先で床の黒い結晶片を一つ蹴り上げた。


小さい。


速い。


そして方向が悪かった。


それはセラではなく、敷居の内側で冷気線を支えていたエリンのほうへ飛んだ。


レオンは考えるより先に動いた。


またしても。


体が先に。


彼はエリンのほうへ身を投げた。


厳密に言えば、飛び込んだというより、よろめきながら押しのけた。


エリンの姿勢が半拍崩れ、黒い結晶は二人の肩の上の宙を掠めるように通り、後ろの壁にぶつかった。


こつ。


そして非常に気分の悪い速度で黒い煙を吐き始めた。


エリンが罵った。


「正気か!」


彼女がすぐに冷気の球を放ち、その煙を凍らせて封じた。


いい。


間一髪だった。


その間にセラはマルセラの前へ完全に入っていた。


今度は言葉がなかった。


マルセラも、もう皮肉を言えなかった。


セラの剣先が彼女の首のすぐ下に触れていた。


ごく浅く、だが一寸でも深く入れば終わる距離。


マルセラは息を止めた。


セラが低く言った。


「今度こそ本当だ。」


マルセラは答えられなかった。


初めてだった。


北部でも、応接室でも、地下室でも絶えず言葉をねじっていた女が、今度は本当に言葉を失った。


一方、灰色手袋はこの隙を逃さなかった。


彼はリナの鈍器をもう一度受け流したあと、わざと大きく退いた。


後ろではなく、下だった。


排水溝とつながった水路の入口側。


最初から逃走路として考えておいた方向だ。


足元の黒い水が揺れ、その下で狭い石造りの通路が口を開けていた。


リナがすぐに追いつこうとした。


「逃げるな。」


灰色手袋は冷たく笑った。


「逃走ではなく、整理です。」

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