第10話
二人目の男はセラの蹴りで腰を深く折り曲げられ、横の馬車へ突っ込んだ。
マヤは階段を使わなかった。
窓枠に足をかけて体をひねり、まるで夕焼けが弓を一本射出したように外へ滑り出た。
着地と同時に弓弦が鳴った。
いちばん後ろで呪文を準備していた外套の一人の手の甲に、矢が突き刺さった。
「魔法使いは礼儀として先に潰しておかないとね」
リナは正面玄関から出ようとして扉板をもぎ取った。
正確には、急いで押しすぎて蝶番が耐えられなかった。
扉は壮烈に落ち、宿の主人が階下で悲鳴を上げた。
「俺の扉!」
リナは無邪気に答えた。
「あとで弁償します!」
「たぶん!」
彼女は扉板を盾のように持って突進した。
広場へ入ってきていた追っ手三人が、そのまま押し流された。
人間三人が扉一枚になぎ払われる光景は、奇妙なほど生活感があった。
一人はベンチに、一人は水桶に、残りの一人は非常に運悪く馬の尻にぶつかった。
馬が驚いた。
その人はもっと驚いた。
エリンはいちばん遅く動き、そのぶんいちばん落ち着いていた。
彼女は宿の手すりに手を置き、短く詠唱した。
冷たい光が宙に広がり、広場の床に薄い霜が咲いた。
石の隙間を伝って広がる白い筋が、追っ手たちの足元へ滑っていった。
二人が均衡を失って倒れた。
そのときレオンも飛び降りようとした。
マヤが下から勢いよく顔を上げた。
「待って、あんたは階段使って!」
「なぜ僕だけこの状況で正常な移動方法を強要されるんですか!」
「あんたが飛んだら転がるに決まってるでしょ!」
レオンはしばらく傷ついた顔をした。
そして次の瞬間、本当に足が窓枠に引っかかった。
「あ」
彼は優雅さとは絶縁した角度で前に傾いた。
宿の二階の窓から、一人の人間が予告編のように飛び出した。
マヤが叫んだ。
「ほら見た!」
レオンは空中でもがきながら答えた。
「反論の余地がありません!」
どさっ。
彼は干草袋の山の上に落ちた。
正確には、広場の隅に積まれていた馬の餌袋だった。
干草が爆発するように散った。
【高所からの落下判定】 【転倒判定同時適用】 【次の行動成功率大幅上昇】
レオンは袋の中から顔だけをひょこりと出した。
「いいでしょう」
「出だしから勢いがありますね」
エリンが上から冷静に指摘した。
「勢いじゃなく事故だよ」
だがスキルはすでに動いていた。
レオンが慌てて起き上がりながらつかんだのは、よりによって袋を縛っていた太い縄だった。
彼は何も考えずにその縄を投げた。
縄はくるりと回って飛び、兎耳の少女へ走り込んでいた追っ手二人の足をまとめて絡め取った。
二人は絡まったまま前へ倒れた。
一人は顔で石畳と出会い、もう一人はその上に重なった。
レオンは目を瞬かせた。
「え」
リナが叫んだ。
「お、やったじゃん!」
「僕も今、結果を見ています!」
兎耳の少女は、まだ箱を抱きしめたまま膝をついていた。
呼吸は荒かった。
顔は青白く、長いまつ毛の下の瞳は淡い紫色だった。
か弱い印象なのに、口元のどこかには妙な頑固さが残っていた。
絹のように柔らかな茶色の髪は、すでに血と土埃に絡まっていた。
彼女はセラを見て、それからレオンを見て、震える声で言った。
「た……」
「助けてください……」
レオンは答えようとして、箱を見た。
近くで見たそれは、いっそう不吉だった。
黒い金属の表面には、まるで血管のように赤い線が走り、角ごとに小さな紋様が刻まれていた。
箱は小さかった。
両手で抱えられるほどだった。
それなのに、なぜかその周囲の空気だけが少し暗かった。
松明の光が近づくと、薄く窒息するように見えた。
エリンが手すりの上からその箱を見た瞬間、表情がはっきり固まった。
「みんな、その箱に触らないで」
マヤがさらに矢を一本放ちながら首を向けた。
「どうして」
「あれは封印物だ」
「それも、かなり悪いほう」
リナが扉板で相手を殴り飛ばしながら言った。
「悪いほうって種類がいくつもあるの?」
「ほどほどに悪いほう、とても悪いほう、触ったら人生が終わるほうがあるんだけど……」
エリンは短く息を飲んだ。
「あれは三つともだ」
その言葉が落ちるやいなや、広場の外の黒外套たちが一斉に止まった。
そして左右に割れた。
その隙間から一人の男が歩み出てきた。
背が高かった。
灰色の手袋をはめた手は長く痩せており、黒い制服の上に羽織った外套の縁には銀糸の刺繍が薄く施されていた。
顔は青白く、髪はなめらかに後ろへ撫でつけられていた。
目は笑っていたが、その笑みは人に向けられたものではなく、状況に向けられたものだった。
まるですべての出来事が結局は自分の計算の内側に入ると信じている者の笑み。
彼は広場の真ん中で足を止め、とても丁寧に頭を下げた。
「お見苦しい光景をお見せして、申し訳ございません」
マヤが弓を構えたままつぶやいた。
「こういう奴は何度見てもむかつくね」
男はゆっくりと視線を移し、兎耳の少女に届くと口元を上げた。
「リリアお嬢様」
「そろそろ駄々をこねるのはおやめください」
「その品は、あなたが胸に抱いていてよい類いのものではありません」
兎耳の少女、リリアは箱を抱きしめたまま歯を食いしばった。
「あなたたちに渡すくらいなら、いっそ壊してしまいます」
男は小さく笑った。
「その箱を壊せば、まずこの広場が消えますよ」
静寂。




