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大日本帝国ー神話全集ー  作者: 水鼠
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其の三


日ノ本が建国された唯一の理由は大王(おおきみ)にある。大王に付き従っていれば、いずれかの脅威はないのだ。大王という唯一無二の存在は日ノ本において全知全能の神ともいえる絶対なる君主であった。たとえ大王本人が拒もうとも周りが彼を君主として崇め、付き従った。


他の勢力が日ノ本を狙い、我が物とせんと軍を送らば日ノ本の民は武装したのだ。それは自らを守るため、家族を守るため、祖国を守るため。大王を守るため、である。


こうなってしまうと大王も我が儘をいえない。日ノ本を建国するにあたって大王が行ったのは武力による支配ではなく、大王自身の自由等を犠牲にした民の安住である。ことここにあっては相手方が本格的な武力進行を初め、日ノ本の民は大王の甘い対応に我慢できなくなった。


ここで大王が出した結論こそが現在の日ノ本の地形に関係する。


大王は大地を砕いたのだ。日ノ本は大陸の東の果ての隅に存在する。よって背後には海が広がっていた。この地形を生かし、大王は大陸から日ノ本を海を挟むように分離させた。そして現在の旧日ノ本列島が誕生したのだ。


大陸と日ノ本の間に広がる海を[日本海]という。当時のもの達には、この海を渡る手段はなく、日ノ本はこれによって外敵からの侵入を防ぎ、此方の安全を確保した。


日ノ本の民は大王の凄まじい力を目の当たりにした事で、さらに大王への求心力は高まりを見せた。そして皆が大王への忠誠を誓い、憧れを抱いた。


大王は魔法使いである。この世に存在する魔法使いは多くはない中、大王は複数の魔法を使えたとされる。大王の血を引く現在の天皇陛下がそうであるから信憑性は抜群であろう。大王が使えた魔法の中でも特に有名なものが[炎]だ。この魔法は、魔術に部類される[火]とは僅かに違うものである。火力は言わずもがな、ありとあらゆるものが灰と化し消え去り、その形は自由自在で、最高神オーディンの雷を燃やした逸話まである程だ。


日ノ本の民は大王に追い付こう、役に立とうと切磋琢磨した。そんな中に誕生し始めたのが大七魔術である。ようは大王が使えた魔法の劣化番、コピー品である。


[火][水][風][地][電][白][黒]


大王のような特別な人物や神や悪魔が使う技とは違い、ただの一般人でさえ使用可能になっている効力の劣るものだ。とはいえ殺傷能力がないわけではない。魔術には階級があり、第一位階から第三位階までの下級魔術。第四位階から第六位階までの中級魔術。第七位階の上級魔術。以上が計7つの七階級。それより効力が大きいのなら、それはすでに魔法である。



日ノ本は元々、魔物が巣くう地であったが地質が良く、食べられるものが豊富であったため大王たちはこの地を選んだ。大陸と切り離された後も魔物の出現は後を絶たず、その度に大王が処理をしていたが、魔術が広く使われ始めると民が自主的に討伐を行うようになっていった。中には(ドラゴン)を狩る武士(もののふ)すら現れだした。自己防衛手段を得た日ノ本の民は大王から自立を初め大王は本当の意味で王の座に収まる形になった。大王が居を構えたのは現在の[京都府]である。当時は[京]と言われていた。大王は京で国の(まつりごと)や民の安寧を祈り日々を過ごすことになったのだ。もちろん民の手に負えない事は大王自身が赴くか側近等が解決した。


大王の側近といえば狐寄りの犬人族である[アヌビス]が有名であろう。かの人物は昼夜を大王と共にし大王が亡くなった後も大王の墓地[古墳]を己が死ぬその日まで守護し続けた逸話がある。大王を常に側で接していた所存かアヌビス自身の力も強力なものであった。彼が得意としたのは[風]である。まさに大王の側近にふさわしい力であろう。大王の得手を、さらに強める存在だ。アヌビスは[風]に限っては第七位階までを使用できたとされる。後に犬人族の守り神となる。


もう一人欠かせない側近であったのが[ベヒモス]である。またの名を[バハムート]という。彼は大王の力により生み出された獣で「大王が創った偉大な獣。最高の生き物」と詠われる存在である。彼の役は領土保全にあった。地上界からの外敵はいないとはいえ、この世には天上界と地下界がある。いつ日ノ本に干渉するかわからない存在から日ノ本を護るのがベヒモスの役割だ。彼の力はやはり役に見合うだけの強力なもので[天空]の魔法を大王より与えられている。その力は一鳴きで空を裂き、身動ぎすれば大地が割れる程だ。




大陸から分離し、さらには世界からも分離した日ノ本は繁栄を築いていた。大王が亡くなってからも次代の大王達がしっかり務めを果たしたし、そもそも大王の家系は長寿である。天皇陛下でさえ現在、満210歳である。当時も長寿であったから一世代毎に長い安定をもたらした。要するに民が3世代程入れ替わる程には大王や天皇は長寿である。日ノ本においては君主が代替わりをするたびに国の舵を目一杯きることは、そうそうないことであるが、とはいえ君主が安定してその座にいれば国が荒れることも珍しいだろうし、日ノ本においては民の自立が早いこともあり大王等が慌ただしく動き回らずに冷静に事を運べたのも良いことであった。


日ノ本が安定期に入って暫くの後、魔王達の天上界への再進行が始まった。


事のきっかけは地上界にあった。悪魔たちは正面からの戦いでは不利になると判断し地上界の生き物を使い戦力の強化を図った。それはなにも物量を増やすだけの単純なものではなく、魂の早期回収や悪行による個人的な強化も含まれた。天上界と地下界は対になっている。天使達が善行において階級をあげる反対に悪魔たちは悪行により強くなる。善悪の中間に位置するのが地上界の生物といえるだろう。地上界で極端にどちらかに傾くのは稀だ。悪魔達は積極的に地上界に干渉し勢力圏を広めた。しかし神々とて、てをこまねいていたわけではない。悪行には善行で応戦した。悪魔達が己のために人々を利用する一方で、神々は人々に力を与えていった。これが後に大きな違いを生むことになり現大日本帝国領以外では[悪魔は悪いやつ][神は良いやつ]と固定概念化された。まあ、実際にそれは大きく的を外れてはいないし、そうだったのであろう。当時の日ノ本以外では。


地上界の各地で神々と悪魔達の代理戦争が活発化していき、しまいには直接、雌雄を決することになる。このころになれば悪魔達の戦力も充実しており十分に前回の汚名を返上できる期待があった。しかし、その期待は地上界にある禁足地の守護者に阻まれることになった。


[ベヒモス]またの名を[バハムート]という。


現在、皆さんが思い浮かべる姿というのは(ドラゴン)に近いものでなかろうか?実際に最も新しい目撃では、前の大戦で現れたベヒモスは紅蓮の炎を纏った漆黒の竜であった。しかし元々の姿は違ったようだ。ベヒモスが日ノ本建国の大王に生み出された時には宙を自在に移動する巨大な赤いサイであった。いつ頃から姿が変わったのかは謎であるが、両者に共通するのは祖国の防衛と[天空]の魔法を使える事だろう。




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