#3▪️????
とある森の中
「うぅ」
少し拓けた森の中に一人の男が倒れている。
「うぅぅ、あぁ、どうしたんだ一体?」
男が起き上がりながら言う。
「ここは?一体どこだ?」
辺りを見回しながら言う。
「何が起きたんだ?どうしてこんな所に倒れてたんだ?」
頭が混乱する。
「確か俺は、うぅぅ。」
これは彼、華羅繰月雲が目覚める少し前のこと
彼が目覚めた場所から離れた森の中、
「はぁ、どうしてここにいるのかしら?」
と愚痴をこぼす。それは女性の声。ここが森の中というのは周りから聞こえる木々の音で何となく分かる。
「私はいつまでこうしていればいいのかしら?」
再び彼女が愚痴をこぼす。
だが、彼女の愚痴を聞く者はいない。応える者もいない。
そもそも、彼女の声自体聞こえる者はいなだろう。
なぜなら、
「う~ん、やっぱり不便ね。この体は。」
「音は聞くこと、いえ感じる?ことはできる。目も見える。
いいえ、これも感じている?という方が正しいのかしら。
でも、目を動かすことはできない。首も動かない。口も動かない。手足も動かない。何より音も感じる、目も見えるのに、体の感覚がない。ここから動くことも、話すこともできない。何もできない。」
「この体で、どうしろというのかしら?この人形の体で。いえ、一つだけあるわね。」
そんな状態を嘆いた彼女の体は人形だった。これから、華羅繰月雲が拾うことになる日本人形である。
「いいえ、いつまでも嘆いてはダメね。」
「そんなことより今は、あの子、月雲の事が心配よ。」
「あの子は、あの時、死んだのだから。無事にというのは死んだのだから変かもしれないけれど、
此方に来ているかしら?」
と彼女は月雲の心配をする。
「そもそも」
彼女はあの時のやり取りを思い出す。
「私はあの子と一緒になるように言ったはず。それにも拘わらず、別々になっているのは
どうしてなのかしら?あの時、私はたしかにアレに言ったはず。あの子の傍にしてと‼」
彼女はそう言って、あの時の事を思い出しながら苛立ちをあらわにする。
そして、あの時あったもうひとつのこと、思い出す。
「そういえば、他の三人も私と同じことを言っていたわね。もしかして、離れているのは私だけかしら?」
と彼女は疑問を浮かべる。
他の三人の誰かが一緒であればいいがそうでないなら危険過ぎる。ここは違う場所なのだから。
アレに言ったにも拘わらず離れていることもだが、私以外の他の三人が一緒にいるというのを考えると何だか自分だけが除け者にされているようで腹が立つ。
そんな事を考えていると、
「何かしら?人形?」
フードを被った人物が視界に入ってくる。
「見たことのない人形ね。どうしてこんな所にあるのかしら?」
目を動かせないため、フードで隠れている顔を確認する事はできないが、声からするに女性のようだ。
「村の子供達の誰かここまで来て、忘れていったのかしら?」
女性の話からすると、どこかに村があるらしい。
「誰のものか分からないけれど探しているかもしれないから、持ち帰って聞いてみましょう。」
どうやら女性はその村から来たようだ。
フードの女性がそのように考えていると、どこから獣の鳴き声が聞こえてくる。
「今の鳴き声は!」
フードの女性が驚く。
「すぐに隠れなくしちゃ。」
獣の鳴き声を聞いて慌てた様子で、その場から離れていく。
「村か。」
彼女が先程の女性の話を考える。
あの女性にそのまま村に持ち帰って、その村に月雲が
いれば会える可能性はある。もちろんいない可能性も。
未だに森のどこかを迷っているかもしれない。
そもそも全然遠くにいる可能性すらある。
このままここにいた方がいいのか、自分で動けない彼女にはわからない。
「はぁ、自分で動けないって嫌ね。」
再び彼女は愚痴をこぼす。
「月雲、私はここよ。早く見つけにきて。」
空を見ながら彼女は願う。
この後、彼女は華羅繰月雲に再会、拾われることになる。




