#2窮地と救助と出会い
「何だ?!こいつは?!」
驚くのも無理はない。
その猪は自分が知ってる猪にしては大きすぎた。
どこかでホグジラと言う豚と猪の間に
産まれる種が、外国にいると聞いたことを思い出し、
一瞬、それかと思ったが明らかにホグジラとは違う点がある。
体長は約3,5m程ある。これだけならまだ存在するかもしれない。
だが、その猪には本来あるはずのない角が頭から生えていた。
牙もまるで砥石で研いだように鋭利になっている。
「プギィィーー!」
再び猪が咆哮を上げる。明らかな敵意が感じとれる。
「くっ!」
その咆哮と威圧感に少しばかり後退りをする。
「何なんだよ、コイツは?突然変異でもしたか?」
「フゴォ、フゴォ、フゥ、フゥ」
「何で興奮してるんだ?コイツ。」
自分に目の前の猪を興奮させる見に覚えはないが、
それから周囲を確認して、
「もしかして、縄張りに入られて怒ってる?」
「プギィィーー!」
すると、猪がこちらに向かって突進してくる。
「やばい!」
とっさに人形を持ったまま右に飛んで回避し距離をとる。
猪はそのまま切り株へと突っ込んでいった。
「危なかった。」
猪が激突した切り株を見ると、かなり抉れている。
猪の突進力をものがたっている。
「やばいな。」
生き残るには、戦うか逃げなければならないが、戦うにしても
武器になりそうな物は、何一つ持っていない。
逃げるにしても、振り切れるとは思えない。
「どうする?」
打開策を見つけだそうと考えるが、
相手はそれを待ってはくれない。
再びこちらを向き、突進してくる。
「うぉおお!」
また右飛んで回避する。
猪はそのままさっきと同じように森の木に激突する。
激突した木が音を立てて倒れていく。
「はぁ、はぁ、このままじゃまずい。」
あいつは、一度走り出したら急には止まれないらしいし、曲がれないみたいだ。横に飛べば、避けられるけど、
正直何時までもやってられない。
いつか疲れて、仕留められる。
そうなる前になんとかしないと。
「フゴォ」
再び猪が此方を向く。
「くっ!」
突進を避けるため体勢を直すと、
「顔を隠してください!」
どこからか、大声でこちらに指示する声が聞こえてきた。
すると、自分と猪の間に何かが投げ込まれる。
一瞬遅れて、顔を隠す。次の瞬間、それが破裂する。
「何だ?!この臭い?!」
破裂した瞬間、こちらに白煙と異臭が漂よってくる。
「くせぇ。」
煙と異臭の中動けずにいると、誰かが近づいてきて
「こっちです。」
そう言って、手を引かれる。
「誰だ?!」
その人物はフードを被っており、顔が見えない。
何者なのか訪ねると、
「そんな事より走って!!」
そう強めに言われ、手を引かれるまま走りだす。
森の中へと逃げ込み、しばらく走った所で、
「彼処!」
そう言って指を差した先、
大きな木の根本に人が入れそうな位の穴が空いている。
「さぁ、入って。」
穴に近づき、言われるまま穴に入る。
入ると、大人二人は余裕で入れる位の空間があった。
穴を確認していると続けて、自分を助けた人物も入ってくる。
「さぁ、これを一緒に被って。」
「え?」
いきなり布を取り出し、それを二人一緒に被る。
「あなたは、一体?」
訊ねると、
「シぃ~」
口に指を立て、そう言って、反対の手で口を塞がれる。
静かにしていると遠くの方からあの猪の鳴き声が聞こえる。
だいぶ離れたと思ったがそうでもないようだった。
「このまま隠れていましょう。」
フードの人物が小声でいう。色々あって、混乱していて分からなかったが、フードの人物の声は女性のものだった。
しばらく隠れていると猪の鳴き声が聞こえなくなった。
「いなくなったかしら?」
女性が穴から出ていく。
「もう大丈夫。出てきてもいいですよ。」
外を確認して女性が言う。
「分かった。」
返事をして自分も外に出る。
安全を確認して、女性の方を向き助けてくれたお礼を言う。
「ありがとうございます。見ず知らずの俺を危ない所を助かりました。」
「どういたしまして。でも、どうして彼処で猪に襲われてたんですか?」
と女性が返事を返してきた。
「まぁ、色々あって。」
と曖昧に返した。
「はぁ、色々ですか?」
と女性が困惑気味に言った。
「ええ、そう、色々なんです。そう言えば、まだ名前を言ってなかったですね。俺の名前は、月雲。華羅繰月雲。貴女の名前は?」
先程人形を拾った時に思い出した、自分の名前を告げる。
「カラクリツクモさんですね。私の名前はミリアリアといいます。」
そう言って俺達はお互いの自己紹介をした。
感想、質問等気軽にドウゾ。
出来る限り応えたいと、思います。




