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人形と付喪神と異世界譚  作者: イストリア
1/6

#1相討ち、そして目覚め

「はぁ、はぁ、はぁ、さすがに、これは、ダメか?」

彼は自分に突き刺さる刀を見て、自分の最後を悟った。

「アイツもこれで終わりだ。」

そう言って、自分と同じように、胸の辺りにナイフが突き刺さり倒れている男に視線を向ける。

「俺も、これで、終わりか。」

そう言って、彼の意識は暗闇に落ちた。




「・・・・・・」

「・・よ、・・か・・・・・・よ。」

声が聞こえる。

「え・、・た・・・の・・・・つ・・・・・わ・・」

その声によって、彼の意識が少しだけ戻る。

「か・・・い・・」

朦朧もうろうとする意識の中、彼の耳に再び声が聞こえてきた。

「・・し・、か・・・・わ」

聞こえてきた声は、女性のもの。しかも、一人ではなく複数の。

「誰だ?」

彼は声の相手の姿を確認しようとするが、身体に力が入らない。視界もぼやけている。辛うじて、声から何か揉めているのは分かる。

「そ・、・・、・れ・・・わ。」

声の主の一人が自分に近づいてきて、

「また、逢いましょう。」

と自分に言った。

「貴女・・は、いっ・・たい?」

そう問いかけ、返事を聞くことなく、彼の意識は落ちた。





「うぅ」

少し拓けた森の中に一人の男が倒れている。

「うぅぅ、あぁ、どうしたんだ一体?」

男が起き上がりながら言う。

「ここは?一体どこだ?」

辺りを見回しながら言う。

「何が起きたんだ?どうしてこんな所に倒れてたんだ?」

頭が混乱する。

「確か俺は、うぅぅ。」

何も思い出せない。

思い出そうとするが頭が痛い、ズキズキする。

思い出そうとするのを頭が拒否している。

少しすると痛みが引いていった。

他に異常がないか身体を調べる。

「怪我はなし。痛みも頭痛以外他にはなし。」

それから自分の服装を見てみる。

「これは、俺の服だよな?、ボロボロだけど。」

見た限りボロボロだった。

よく調べると、ちょうど胸の心臓辺りに穴が開いている。

「これは?」

その時、頭の中に記憶が甦る。

「そうだ!俺は致命傷を受けて、それから、死んだんだよな?」

致命傷を受けたことは思い出した。だが、

今の状況を考えると、死んだのかは分からない。

周りは見る限り、森である。天国とも地獄とも思えない。

「あー、他には、う~ん。」

思い出そうと考えるが、さっきのように頭痛はしない。

しかし、何も思い出せない。

「えっ!どうして何も思い出せないんだ?」

自分が死んだ?こと、その時の光景は思い出せるが、

それ以外のことが思い出せない。

自分の名前さえも。

「これが、もしかして、記憶喪失っていうやつ?」

自分の名前さえ思い出せないのだから、

もしかしなくても、記憶喪失(きおくそうしつ)だった。

「参ったな~、自分の名前さえわからないなんて。」

頭を抱える。どうしてここで倒れていたのか、

ここがどこなのか分からず、

さらには自分の名前すら思い出せない。

これから、どうすればいいのか頭を悩ます。

「ここに居てもしょうがないから、移動するか。」

ここに居れば助けがくるかもしれないが、

いつになるか分からない。そもそも助けが来るかも分からない。

周りは森、自分は食料も何も持っていないし、

周りにも、食料になりそうな物は見つからない。

加えて、自分の服はボロボロ。

ここに居ては雨風を凌げず、その内、餓死か凍え死ぬ。

「移動するにしても、どっちに行く?」

どっちに行けばいいかも分からない、その時、

「・・・・」

「うん、何だ?」

呼ばれたような気がした。

「・・・・」

気のせいかと思ったがそうでもないようだ。

明確に自分が忘れている名前を呼ばれたわけではないが。

「行ってみるか。」

怪しい気もするが、他に行く当てもないし行ってみる。

呼ばれた気がする方向へと歩きだす。



しばらく森の中を歩き続ける。

歩いても、歩いても、森。道中、人どころか獣一匹見かけない。

「何処まで行けばいいんだよ?」

いまだに何も見つからない。嫌になってくる。

「ハァ~、疲れた。」

そろそろ何かあってもいいんじゃないか?

そう、思っていると、

「お?」

少し先、森が開けた場所を見つける。

そしてそこには大きな切り株とその上にある何かを発見する。

「あれは?」

走り出して、確認しに行く。

「これは・・・、人形。どうしてこんな所に人形があるんだ?

しかも、日本人形が。」

切り株の上にあったのは、日本人形だった。

日本人形と言ってもいくつか種類があり、ここにあったのは、

市松人形いちまつにんぎょうといわれる種類である。

「う~ん、誰かがここに置いていったのか?」

誰かが置いて行ったなら、近くに人がいるかもしれない。

「でも、この人形、なんだか見覚えがあるような?」

そう思い、日本人形をくまなく調べてみると、足の裏に文字が刻んである。

「これは?華羅繰からくり?」

そうしてその文字を見た瞬間(しゅんかん)、再び記憶が蘇る。

「そうだ、俺の名は・・・・」

その時、

「プギィィーー!」

後ろの森からとても大きな咆哮(ほうこう)が聞こえてきた。

「!!。何だ?!」

後ろを振り返ると、とても大きな(いのしし)がいた。


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