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異世界転生後は自分らしく  作者: zawa
第四章 未熟編
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参加

 校長室での一件から十日後、俺は王宮のとある一室で、改めて国王からの依頼を受けていた。


「それで、これからディアナ救出の一団に加わってくれるということでいいのかな?」


「もうそれでいいです。ただ、出発前に味方のリストくらいは見せてもらえませんか?」


 俺はもうこの依頼に参加することに決めていた。この十日間で本当にいろいろあり、こうして無事に生きていられることに感謝したいくらいだ。


「それくらいは構わん。おい、この子にあれを見せてやれ」


 俺は国王の使用人から今回の依頼の参加者の名簿を受け取る。見たところ王都で活躍していてそこそこ有名な冒険者もかなり参加している。後は近衛が何人か参加しているぐらいだろうか?これで本当に救出できるのか、やっぱり不安になってくる。いざというときは、何人か見捨てることも視野に入れる必要が出てきた。


「それにしても、十日前とはいろいろと変わったな。心なしか、以前よりも凛々しくなっておるのではないか?」


 俺の印象が十日前とは全然違う?そんなの当り前だ。この十日、俺がどれだけ苦労してきたことか。母さんとの修業もきつかったが、これはそれとはまったくの別次元だ。


「ことわざで『男子三日会わざれば刮目してみろ』という言葉があります。これくらいの少年なら、十日あれば変わるということでしょうな。十日しかなかったからこの程度じゃが、数年あればとてつもなく化けることが今回の修業ではっきりしました。この依頼が終わってからが楽しみですな」


 くそ爺め、俺がこの十日どんな思いで耐えてきたのかわからんらしい。


 この十日、俺は学校に行くことも冒険者として依頼を受けることも許されなかった。十日間ずっと修業漬けの日々で、休めるのはトイレと風呂と睡眠だけだ。なんでも修業には適度な休みが不可欠であると言い、休みだけはしっかりと取らされた。そういうところは理にかなっているところがまた恨めしい。

 昔の部活とかみたいに根性論だけで来られたら反論の余地もあったのだが、一見無茶苦茶そうに見えてちゃんと色々計算してやっているところを見ると、反論の余地がまるでなくなる。もっとも、きついことには変わりなかったが。


 悔しいが、俺もこの修業による成果は感じている。まだ十日ではあるが、俺は確実に強くなっているし、まだまだ強くなれそうな気がする。そのことには感謝しているが、もう少し手加減してほしい。もう少し手加減されても強くなれると思う。


「それではリストも見させてもらったのでこれから向かいます」


 王城には〈テレポーテーション〉を阻害する結界が常に張られている。そうしなければ暗殺なり宝物庫への侵入なりがされ放題になってしまうのでわかるのだが、こういう時は少し不便だ。なぜなら、わざわざ城を出てから〈テレポーテーション〉を使わなくてはならなくなるからだ。それに、この結界のせいで爺の修業から逃げることができなかった。


「城を出たことだし、しゃあないから目的地に向かうか」


 俺は事前に一度連れてこられていた作戦開始の場所まで〈テレポーテーション〉した。







「お前が最後の参加者であっているか?」


「ええそうです」


 俺は合流地点に着き、今回の作戦の仲間に当たる人たちと顔合わせした。


「本当にガキだな」


「ああ。こんなガキで大丈夫なのか?」


「いや、もしかしたらそういう種族ってこともあり得るぞ。現にここにいるメンバーの最年長は、見た目は彼と同じくらいの年齢だからな。もしかしたら彼も俺達より年上かもしれんぞ」


 いろいろと推測してもらってはいるが、俺は間違いなくただの十歳だ。


「時間もないことだし、年齢とかどうでもいいから作戦を教えてもらえないか?」


 決行時間までもう時間があまりないらしいからな。


「そうだな。君の言う通り年齢とかどうでもいい。大切なのは戦力になるかどうかだからな。お前の役目は救出部隊にしてある。急にきて前線の役目になるが大丈夫か?」


 今回の部隊は、主にここで二つに分かれる。一つは俺のいる救出部隊で、役割は潜入して直接ディアナを助け出すことだ。いくつかの班に分かれて侵入することになっており、班ごとにいろんなところから侵入して、そのうちのどれかの班が救出に成功すればそれで任務完了だ。

 二つ目は後方支援部隊で、敵アジトに侵入することは無いが、救出されたディアナを王都まで護衛したり、追手が来たときに足止めをかって出たり、潜入組がばれたときには陽動として動いたりという風な働きをする。


 個人的には後方支援部隊のほうが楽で危険が少なそうでいいと思うのだが、すでに俺が班に組み込まれていることと、俺の配属される班には知り合いがいることから、俺は救出部隊の方で我慢することにした。


「わしがこの班のリーダを務めるアリア・リゾットじゃ。じゃが、わしは潜入があまり得意ではない。そこで、リーダはあくまでわしじゃが、現地ではこういったことに関してはプロであるこやつの言うことをよく聞くように」


 アリア・リゾットというのは校長の名前だ。このロリババアは外見通りのかわいい名前だった。


「今リゾット卿からご紹介に預かりましたアースと申します。自分はいわゆる斥候的な役割が得意なので、敵アジトでは基本的にはこちらの指示に従ってもらいます。よろしくお願いします」


 アースさんは俺よりはだいぶ上、おそらく二十は超えていると思われる比較的若い男性だ。俺も調査なり潜入なりはあまり得意ではない、というかあまり経験がないので、この人に大部分を任せる方針に賛成だ。


「まあ、こやつは国王の持つ影の一人でもあるがな」


「リゾット卿!」


「まあ良いではないか。わかっているとは思うが、このことは言いふらしてはならんぞ」


 そりゃそうだろうな。てか、別に国王の影だと俺たちにばらさなくても特に問題はなかったのだから、わざわざばらしてやることもないだろうに。影という仕事上、自分の正体を知る人数は少なければ少ないほどいい。無意味にばらされたアースさんがかわいそうに思えてきた。


「ユリウス・ガルナダです。実力はこの中では一番下ですが、できるだけ頑張ります」


 まあそうだろうな。彼には失礼だが、俺や校長はもちろん、アースさんも彼よりも上だ。彼は別に弱くはないのだが、あくまでこの班の中ではユリウスが一番弱いのは間違いない。


「そんなに謙遜することはありませんよ。あなただって年を考えればかなりの使い手です。時々()()はいますが、それを気にしていてはいけません。あなたは十分立派ですよ」


 アースはそう言ってユリウスを慰めながらも、天才という部分で俺のことをちらりと見る。もしかして校長なり国王なりから事前に俺のことを聞いているのか?


「最後になりますが、ウォルコットです。この中では最年少ですが、経験不足が問題にならないよう頑張ります」


 俺はこの中では最年少。よって、普通に考えれば経験が一番少ないのは俺になる。自分の力を過信しないようにしよう。もっとも、校長のほうが普通に俺より経験も実力も上なのであまり過信することもないが。


「全員の自己紹介が終わったことじゃから、これから親睦会とでもいきたいところだが、時間的にそれは無理じゃ。

 わしとアースとユリウスは移動中にある程度話す機会とかもあったのじゃが、ウォルコットに関してはまだまだじゃ。一応わしとユリウスはある程度知っておるが、アースからしたら本当に謎じゃろう。ここでいろいろ見せたりする時間はないから、二人の連携(ウォルコットとの連携じゃわしとユリウス共に初めてじゃが)はぶっつけ本番で頼む」


「はーい」


 今回は潜入と救出だ。戦闘にさえならなければ俺の出番はないので、出番がなく無事に終わることを祈りつつ、いつ敵と遭遇してもいいように心の準備はしておこう。











 

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