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異世界転生後は自分らしく  作者: zawa
第一章 幼少期
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 俺は今、剣の修業をしている最中だ。


 五歳の誕生日を迎えてから数か月、俺は日頃の瞑想や魔法の修業、そしてこの世界の知識の収集などといったことのほかに、剣の修業までついた。剣の修業といっても、ほとんど素振りばかりである。それ以外には、姉ちゃんと父さんの模擬戦を見るくらいしかない。二人の戦いはすごいものである。父さんはもちろん、あと三年で今の姉ちゃんに追いつける気がまったくしない。


 俺にはどうやら剣の才能があまりないようである。あまりないというとなにか誤解されるかもしれないが、要するに普通なのである。特に優れているわけでもなく、別に劣っているわけでもない。

 俺には魔法の才能があるので、遠距離で使うような剣とは関係ないような魔法は抜いたとしても、身体強化魔法や体や剣に魔力を通すなど、魔力を使うという面を入れれば、けっこういい線はいくらしい。といっても、それならば別に剣である必要はない。体術でも斧や槍などでも関係ないだろう。


 しかし、俺は今も剣を学んでいる。その理由は、剣というのがものすごく一般的な武器だからだ。例えば、剣を売っていない武器屋はないし、騎士団の人もほとんどは剣使いだ。貴族にしても、幼少期には武の嗜みとして剣を習う。冒険者の近接戦闘担当だって、ほぼ全員とまではいわないが、半分以上は剣を使う。それに学校などでも、最低限の自衛手段として剣を教えている。剣はそれくらいメジャーな武器であり、近接戦闘に使う武器の代名詞ともいえるものである。

 そのため、父さんは俺を最低限剣が使えるようにはするつもりらしい。メイン武器を剣にさせることまでは考えていないようだが、一応習うだけはさせている。


 俺は今のところ、剣をメイン武器に知るかどうかは決めていない。そもそもまだ五歳なので、体術も含めたいろいろな武器を試していくべきだろう。よほど得意なものがあるのならばともかく、そうでないならばいろんな可能性にかけてみるべきだろう。


 どっちにしろ、魔力が使えない状態の時の戦闘法や、敵に接近された時の戦闘法を考えておかなければならない。『遠距離から魔法を打つことしかできません』なんて言っていたら、実戦では生き残れないだろう。

 仮に仲間といて、前線を受け持ってもらったとしても、その仲間が毎回すべての敵を抑えられるとは到底考えられないので、敵が抜けてきたときの対処が必要である。


 敵を近接戦闘で倒すとまではいわなくても、最低限敵の攻撃をかわすなり防ぐなりが出来なければならない。


 また、うちでは体術も必須である。これは父さんと母さんの冒険者時代に、父さんの武器が壊れてしまい、母さんの魔力も少なくなった時に、戦わなければならない状況になり、ほぼ丸腰で戦った時の経験から体術は必須だと強く思ったらしい。

 このケースではかなり苦戦してしまったらしく、体術が出来れば様々な事態に対応できると感じたからだそうだ。


 そのため、うちでは剣や魔法のほかに体術が必須なのである。


 母さんも父さんも体術が使える。近接戦闘は基本的に父さんのほうが上だが、体術同士の戦いになると、母さんに軍配が上がるらしい。母さんは武器のほうはからっきしのようで、近接戦闘では体術のみがしっくり来たらしく、母さんの近接戦闘は体術だけである。

 体術といっても、拳に魔力を込めて殴ったり、身体強化魔法を使ってすごい動きをするので、十分脅威であるらしい。


 前世ではどんな奴でも、大抵は武器を使った方が強くなったが、この世界では違うらしい。


 俺は今近接戦闘に関しては、剣術を恥ずかしくないレベルにすることと、体術をたくさんやることになっている。当然、剣よりも体術のほうがメインである。

 槍などの武器も試してみたいのだが、父さん曰くまだ早いということらしい。俺としてもそんなに待ち望んではいないので、特に口は出さないことにしておとなしく従っている。


 俺は剣術よりも体術のほうに才能があるらしいので、父さんよりも母さんに教えてもらうほうが多い。魔法のこともあるので、俺に修業をつけるのはほとんど母さんである。

 姉ちゃんは魔法がそんなに得意ではなく、近接戦闘、特に剣が得意であることから、修業をつけるのはほとんど父さんになる。そのため、俺の担当が母さん、姉ちゃんの担当が父さんみたいになってしまっている。


 そんなわけで、今日は父さんとの数少ない修業日である。といっても、母さんとの修業が嫌というわけでも、父さんとの修業が待ち遠しいというわけでもないのだが。


「うん、ウォルもいい感じに剣を振れるようになってきたね。この調子なら今日は対人戦、といっても打ち込みだけだけど、僕相手にやってみようか」


 なんと、今日は打ち込みなのか。初めてなのでよくはわからないが、姉ちゃんがやっているのも今まで何回か見学したし、父さんのほうが俺よりもだいぶ格上なのだから、とりあえず失敗するとか考えずに、思いっきりぶつかっていこう。


「それじゃあ始めようか。ウォル、いつでもかかってきていいよ」


「わかりました」


 俺は父さんに襲い掛かった。といっても、普通に木剣で斬りかかっただけなのだが。


 やはり、何度打ち込んでも簡単にかわされたり防いだりされてしまう。もしもこれが実戦であったなら、すでに何度も斬られていることだろう。それくらい容易に把握できるほどの実力差だ。


 俺は上段から木剣を振り下ろした。しかし、それは簡単に防がれてしまう。実戦なら、そこから父さんが反撃するはずなのだが、今回は俺が攻撃するだけなので、反撃してくる様子はない。今度は横に木剣を振ったのだが、これも読まれてしまっていたようで、あっさりと防がれた。


 俺と父さんの間には、当然身長差がある。詳しくはわからないが、最低でも五十センチ、おそらくは六十センチや七十センチ、下手したらそれ以上の差がある。

 これだけ身長差があれば、俺の攻撃はたいてい腰や太ももあたりに集中するのだ。こんなに低い攻撃に対してはかなりやりにくいと思うのだが、父さんは今のところ問題なくさばいている。


「父さん、低い攻撃に対しても大丈夫なんだね」


「まあね。世界にはウォルより小さくても強い者がたくさんいるからね。それに、ドワーフは種族的に小さい者が多いからね。もちろん、混血でも純血でも僕ら人間の成人くらい大きい女性や男性もいるけど、平均身長は人間よりも低いしね。そんな人と戦ったこともあるし、人間にだって小さくても強い人はいるだろ。そういう相手と戦ってきたんだから、ウォルの高さにだってそこまで苦戦しないよ」


 なるほど。大きさ=強さではないからな。自分より小さい者や、逆に自分よりも大きい者など、様々な相手と会ってきたし、戦っても来たのだろう。


「それに、ウォルと似たような高さから攻撃してくる相手と最近までよくやっていたからね」


「似たような高さの相手?」


「シオンだよ。あの子とやっていたから、ウォルの高さにもすぐ慣れたね」


 姉ちゃんとやっていたのならば当然か。姉ちゃんは俺よりも身長が大きいが、三年前は同じくらいだったのだろう。しかも、俺はおそらく三年前の姉ちゃんよりも剣の腕に関しては下なので、父さんにしたら同じ高さから威力や技術の低い攻撃が来るわけで、全然戸惑いとかがなかったのだろう。


「それなら納得だね。それなら、俺が姉ちゃんよりも優れている部分を使うよ」


 俺は確かに姉ちゃんよりも剣は弱いかもしれないが、魔法ならば勝っている自信がある。


「魔法のことかい?今日は魔法を使ってはいけないよ」


「なんで?」


「今日の目的は、あくまでどれくらい剣を使えるようになったかだからね。ウォルの魔法がすごいのは聞いているけど、それだと純粋な剣の腕が見えにくくなるんだ。実戦では魔法を使うだろうけど、純粋に剣の腕だけを見たい時には魔法は禁止だよ」


 魔法を使いたい気持ちはあったけど、そこまで言われたら使うことはできない。


「わかったよ。魔法なしでもなんとか一太刀入れてみるよ」


「その意気だよ!」


 俺はより一層気合を入れて挑んだのだが、『大振りになりすぎだ』、『腕だけで振っている』などの注意を受けてしまい、結局父さんに一太刀も入れられないまま終わってしまった。


「初回にしては悪くなかったと思うよ。五年間あれば、そこそこ形にはなるだろうね」


「わかりました」


「それじゃあ、今日の修業はこれで終わりにする」


「「ありがとうございました」」





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