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元社畜ADは女狐に転生し、狼王子を翻弄する  作者: 鷹居鈴野


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【第4話】女狐令嬢の作戦会議

自室に戻ったエミリアは、心臓がバクバクして、怒りと悲しみで感情の整理がつかなかった。


子供の頃から、エミリアは外傷にならない虐待で伯爵にいたぶられてたのね。許せない。目立つなですって? 上等よ。私の美貌で目立つな、なんてそもそも無理な話なんだから、こうなったらとことん目立ってやるし、絶対に伯爵をざまぁしてやる!!


23歳ナメんな! タフで狂気なテレビ業界で生き抜いてきたんだから、この世界でも私は生き抜いてやるわ!


「お嬢様〜? マリーです。今お時間よろしいですか?」


「マリー、入って! 聞きたいことがたくさんよ。お茶でも飲みながら、作戦会議しましょう」


マリーが淹れてくれたお茶も、添えられたスコーンも、異世界に来て心休まらなかった私を癒してくれる美味しさだった。


私は学院のサバイバル演習の対策を練るため、気になることをマリーに質問攻めにし、手持ちのノートに思いつく作戦を殴り書きした。


マリーは、私が思いついた作戦を聞くたびに――


「お嬢様、そんなえげつないアイディアを、いったいどうして思いつくのですか?!」


「お嬢様、その発想は天才です!!笑」


「お嬢様、過去に同じことをした人は、おそらくいません!」


「お嬢様、それは勝っても卑怯と言われて、不名誉ではありませんか?」


「お嬢様、その作戦のためには、ダッシュ家のディーン様の協力がないと無理です」


と、ナイスリアクションとナイスアドバイスをくれた。


「ねぇ、マリー。私、今日の食事会でクリスに女狐って言われたんだけど、おかしくない? フォックス家の娘なんだから、クリスだって女狐だと思うんだけど」


さっきの最悪の食事を思い出して、ふとマリーに話すと、マリーはまた少し言いにくそうな顔をして教えてくれた。


「お嬢様、実は……ドリス様とクリス様が、お嬢様の悪い噂を社交界で流しています。お嬢様は精神を病んでいて、美しいけれど狂って暴れるし、無礼でわがままに育っている、と……。メイドにも従姉妹たちにも暴力を振るい、メイドはくだらない理由でクビにし、養育してくださる伯爵様や夫人への感謝も忘れて贅沢三昧している――『フォックス家の性悪女狐』とは、エミリア様のことでございます」


「何それ!」


凄い、ドラマみたいなドロドロ展開が、私に起こってるじゃないの。


「私、学院に入学する前から超要注意人物じゃない! よし!!」


私がにんまりすると、マリーはひえっと息を呑んで聞いてきた。


「よし?? お嬢様、本当におかしくなったのですか?!」


「違うわよ、マリー! 私の評判は現在最低最悪なんだから、ヤンキー猫理論よ! 悪い人だと思ってた相手が、たまたま猫に優しくしてる所を見ると、ギャップで評価が上がりやすいのと一緒よ。私は見た目が天使なんだから、すぐにみんなを私の味方につけることができるわ。私、自分の噂を打ち消す新しいシナリオを考えるわ! タイミングを見て、マリーにも協力してもらいたいから、頼んだわよ。あと、ダッシュ家のディーンさんとか、その他もろもろ、サバイバル演習に必勝するための協力者にコンタクトを取りたいんだけど、どうしたらよいかしら? 手紙?」


「お嬢様、目が覚めてから本当に別人のように生き生きされていて、私、驚きっぱなしです。ダッシュ家のディーン様、シリル家のブライアン様、ドスラキ家のアッシュ様あたりにご連絡いたしますか? お手紙を書いていただければ、私が手配します。作戦は2番を実行されますか? ただ、お手紙を配ると、お嬢様の悪評がまた増えてしまうかもしれません」


「作戦は2番が無難かしらねぇ。私は3番が気に入ったけど、ちょっと危ないしね。……で、私の悪評? なんで?」


「協力のお手紙をお渡しする方々は、お嬢様の学院の、有望かつ美男子で有名な方ばかりです。巷でF4と呼ばれているうちの3人と連絡を取るのですから、話が漏れたら、お嬢様の悪評につながりそうです。またブライアン様は……クリス様の想い人でもあるので、サバイバル演習の協力者になっていただけて作戦が成功した場合……その後の報復が、ちょっと恐ろしいです……」


「F4?! Fってなに?! あと4人目だれなの?笑」


「お嬢様!笑 ツッコミ所そこですか! Fは、フェンリール王国のFですよ! 国で一番の美男子4人組って意味です。4人目は、第二王子様のことです。寵姫様のお生まれで王族内のお立場が複雑そうですが、寵姫様もお綺麗なので、ロブ王子は見たら気絶するくらいの美男子と伺っています!」


国の名前、今知ったわ。


「気絶するくらいの美男子って凄いわね! 早く見てみたいわ。私、早速手紙を書くから、悪いけど明日の朝一番に、それぞれ届けてもらえる? 私が手紙を出したことは隠さなくてもよいわ。悪評もどんどん広めてちょうだい。私は今の悪評も、利用してやるわ」


マリーが退出して、私は早速、手紙を書き始めた。

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