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シークレット・ブラッド  作者: うさぎさん⭐︎
第2章 ミッドナイト・ブラッド

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7 愛のメモリー


 なぜだか、あんなに嫌いだった父親を呼んでいた。

 唇が、唇を塞ぐ寸前━━。


「ん……」

 目を覚ました牙は見た。


 大きな背中。


(あぁ、《《親父だったんだ》》……)


《美紅! 牙!》

 響き渡る声に、銀次は美紅から顔を離した。

「貴様、な、なぜ……」

《12年かけて、復活したのは、おまえだけじゃないぜ。

 ……時間がかかり、まだ、ほぼ霊体だが》

 

 目を覚ました若木も見ている。

 まだ、体が動かないが。


《美紅、牙。

 やっと会えたな。

 ……愛してるぞ》

 

「お父さん……」

 美紅の中に、父親との温かい記憶が蘇る。

 抱っこしてくれた、父。

 母に叱られて泣く自分に、優ししてくれた、父。

 いなくなって、本当は寂しかったことも……。

「お、お父さん……」

《美紅》

 美紅が、父親の腕の中で、泣きじゃくる。

 それを見た牙、若木も涙し━━、


 牙は。見た。


「……双葉さん?」

 <グール>が美少女になるのを……。


《さーて、ベイベー》 

 シークレット・ブラッド━━ポップが、銀次へ振り返る。

《俺の大事な子供たちになにした?》

 銀次が真っ青になる。

《なにした??》

 ポップの拳が、銀次の顔面にクリティカル・ヒットする。

「霊体なのに〜〜〜⁈

 こ、これで勝ったと、お、おもうなよぉぉ!!」

 鼻血が宙を舞った。


 ***


 聖地の帰り道。

 牙が訊いた。 


「とーちゃん、若木を元に戻す方法って、ないの?」

《うーん、愛する者の血を吸うんだったか、吸わせるんだったか……》

「どっち?」

 その時。

「待て。逃しません!」

 馬だった。真っ白い馬が、競馬ファン泣かせに走ってくる。

「主役の銀様をボコった報復、受けてください」


『主役⁈!』


 全員の顔色が変わる。 

《主役はパパだよーん》

「ばかいえ! 俺だ」

「僕」

「わたくし」


「銀河一閃!」

 馬が体当たりしてくる! 速い。

「きゃああ‼︎」

 美紅が早々に、目を回して倒れる。

「馬のくせに〜〜〜、きゅぅぅ」

「ああ⁈ 美紅さん‼︎」

《美紅!》

「ねーちゃん!」

 わなわなと双葉が振り向く。

「よくも、俺の美紅さんを……!」

《待て、美紅を譲った覚えはない!》

「あぁ、今泣けそだったのに! ……お父さん!」

《誰が、お父さんだよーん!》

 馬がいななく。

「再び! 銀河一閃!」

「銀河って、ただ体当たりじゃん!

 あぁれ〜〜〜‼︎」

「赤羽?!」

 今度は牙がダウン。

「くそ、弱キャラばっか狙いやがって! 

 こうなったら、お父さん。イエティー、トライアングルアタックを!」

《つーん》

「つーんって、お父さん?」

《君のお父さんじゃ、ないもーん》

「きゃ、ポップ様ったら、や・き・も・ち♡」

 馬がこちらを窺っている。

「申し遅れました。我が名は……」

「こなくそっ‼︎」

 双葉はなぜか、背負っていたリュックサックから、くまのぬいぐるみを取り出した。 

 古びた、利発そうかつかわいらしいぬいぐるみだ。

「頼む、みんな、ちょと見ないで……」


 双葉の瞳が潤み、涙と共に、瞬きひとつ許さないスピードで、グールチェンジする。


「ググググググググ!」


「えー、ここからは、コホン。わたくし、プリティーイエテー雪音立花ゆきねりっかが翻訳いたします! 出番も確保!

 さきほどのグググは、

 『そこいらの下級グールと一緒にされちゃ、困るぜ!』 ですわ♡」

《パパ、知らないよーん》


「ググググ、ググググ」

「『美紅さん。美紅さん』」

 気づくと、美紅は、グールに抱き起こされている。

「ググググググ。グググググウググ」

「『よかった、気づいて。不埒な馬はやっつけました』」

《……チッ、馴れ馴れしい》


「?」

「ねーちゃん、頼む。

 若木を元に戻すために、血を……かくかくしかじか」

「えぇ⁈ 血を吸うか、吸わせるか??」

 目の前には、死体のようなグール。

「ぇぇと……」

「まさか、やなの?」

「えーと……ごめんなさい」

「そんな! 若木はねーちゃんのために!!!」

 牙がいつもとは別人のように喰ってかかろうとする。

「グググググ」

「『いいんだ、赤羽』」

「……」

 美紅はため息をついた。

「わかったわよ。━━お吸いなさい」

 右手を差し出す。

「ググググ、ググググググ」

「『美紅さん、愛してます』」




 









 


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